08a 野菜「根菜類−鱗茎」
 
◎ラッキョウ 辣韮 オオニラ・サトニラとも
 ユリ科 原産地:中国
 プロフィール:ラッキョウは,わが国には9〜10世紀頃の『新撰字鏡』と云う書物に
ナメミラ,『本草和名』にオホミラと云う名で記載されています。当初は薬用として利
用されて来ました。野菜として普及したのは,江戸時代に入ってからです。また明治時
代に入ってから,現在の名産地にもなっている福井県三里浜において栽培され始められ
ました。
 ラッキョウは,タマネギと同じく地下の鱗茎が肥大したものです。鱗茎の色は白色若
しくは淡紫色で,長さ2〜4pの紡錘形をしています。秋に新しい葉や花茎を出し,冬
には枯れずに夏に枯れて休眠します。収穫時期は休眠前で,2年目のものを収穫します。
これは,1年目は鱗茎の大きいものができますが,翌年になりますと分けつして品質の
良い小粒のものができるためです。ラッキョウにもネギ類に共通する特殊な臭気があり
ます。
 品種にはラクダ,玉ラッキョウ,八房ヤツブサ,九頭竜クズリュウなどがあります。このうち
代表的なのはラクダで,大粒で長卵形をしており,各地において栽培されています。小
粒のラッキョウの酢漬け(花ラッキョウ)には,玉ラッキョウや,専用種として開発さ
れた九頭竜が用いられます。酒の肴とするエシャロット(エシャレット)は,ラッキョウを若
採りしたもので,本来のエシャロット(シャロット)とは全く異なります。
 
 △食べ方と効能
 ラッキョウの旬は初夏です。出来れば泥付きのものを求めて下さい。ずんぐりと太く
大粒で,傷がなく,切り口が伸びていないものが良質です。芽先が伸びて緑色になって
いるものは避けて下さい。
 一般には酢漬けや塩漬け,醤油漬け,砂糖漬け,ピクルスなど漬物にします。まず数
日下漬けをして乳酸発酵させ,風味を十分に出してから本漬けをしますと,美味しく漬
かります。その他生のまま小口から薄く切って鰹節をまぶし,醤油を掛けて食べても美
味しい。甘酢漬けにしたものは,細かく刻んでマヨネーズと混ぜ合わせたり,炒め物に
入れたりしますと,風味付けになります。
 糖質が多く,ビタミン,ミネラルは少ない。ニラやネギ,ニンニクなどと同様,臭い
元となる硫化アリルがビタミンB1の吸収を良くしますので,強壮食品,スタミナ食品と
して愛好者は多い。その他健胃,整腸,利尿,駆虫作用があります。
 
◎ユリネ 百合根
 ユリ科 原産地:中国(日本)
 プロフィール:ユリネはユリの鱗茎(球根)のことで,ニンニクと同じく鱗片が重な
り合って球形になったものです。食用にするものは,苦味がないか,又は苦味の少ない
ものです。ユリには,ヤマユリのように観賞用と食用を兼ねるものと,中国原産のオニ
ユリ,コオニユリなどの食用ユリがあります。食用としての主流は,コオニユリで,圧
倒的に関西地方において消費が多い。オニユリ(テンガイユリとも)のユリネは,白く偏球形
で鱗片の幅は広く,直径は5〜8pと大型で,少し苦味があります。コオニユリも色,
形とも似ていますが小型で,珠球が付きません。ヤマユリは黄白色で偏球形,鱗片の先
に桃色の斑点があるの特徴です。
 
 △食べ方と効能
 ユリネの旬は冬です。形が丸く,堅く締まっていて重いもの,表面に傷のないものを
選びます。古いものは茶色に変色しています。
 ホクホクしていてほろ苦いのが食味の特徴で,含め似や甘煮,汁の具や茶碗蒸しの具など
に利用します。和え物や添え物にするときは,一枚ずつ剥がし,蒸し器に入れて3〜4
分蒸し,塩を振ってそのまま冷ましてから用います。茶碗蒸しや汁の具など加熱すると
きも,さっと蒸してから用いますと風味が良い。塊のまま含め煮にするときは,アクが
強いので,焼明礬を加えた水に浸けてからさっと茹でます。

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