08 野菜「根菜類−鱗茎」
 
             野菜「根菜類−鱗茎」
 
                     参考:草土出版発行「花図鑑[野菜]」
 
〈根菜類−鱗茎〉
 
◎タマネギ 玉葱
 ユリ科 原産地:中央アジア
 プロフィール:タマネギは,鱗茎が肥大した部分を食用とします。エジプトやヨーロ
ッパには紀元前に伝わりました。アメリカに伝播したのは17世紀,中国には19世,わが
国においては明治時代以降,北海道と関西地方において本格的に栽培が始まりました。
現在では全国おいて栽培され,ダイコン,キャベツの次ぐ第3位の収穫量を示していま
す。
 品種を大別しますと,辛味が少なく生食向きの甘タマネギと,辛味のある辛タマネギ
に分けられます。また黄,赤,白の3種の色による分け方もあります。
 現在のわが国の主流品種は,明治初年にアメリカから導入されたイエローダンバース
系を基にしたF1品種です。黄色く辛味があり,球形なのが特徴です。その他灰白色,銅
黄色,紫紅色などもあり,形も偏球形,楕円形のタイプもあります。
 このほかに特殊な栽培によって小型にした小タマネギや,成長過程のタマネギを葉付
きのまま収穫し,長ネギの品薄を補う葉タマネギなどがあります。
 タマネギは貯蔵性が高く,品種によって収穫期間が異なるため,通年市場に出回って
います。アメリカ,オーストラリア,台湾などからの輸入も多い。
 
 △タマネギの主な品種
 @黄タマネギ:イエローダンバースを基に他品種が育成され,現在の主流になってい
  ます。形は腰高〜球で肉が締まり,貯蔵が利くものも多い。
 A赤タマネギ(レッドオニオン・紫タマネギとも):赤色種は辛味が少なく,表皮が赤紫をした
  もので,辛味が少ないのでサラダなどに利用されます。
 B小タマネギ:密集して栽培することによって鱗茎を小型化させたもので,愛知県知
  多地方において作られました。直径2〜3pで貯蔵性に優れています。
 C葉タマネギ:生長過程のまま収穫するもので,春先にのみ出回ります。白タマネギ
  を用います。
 
 △食べ方と効能
 タマネギの旬は春と秋の2回です。春に出回るのが新タマネギで辛味が少なく,皮が
軟らかいで瑞々しいのが特徴です。秋には,黄色や紫色のタマネギが出回ります。秋の
タマネギは,堅くて実の締まりが良いもの,表面の茶色の薄皮に艶があり,良く乾燥し
ているものを選んで下さい。押してみてブヨブヨしているものは腐っていることがありま
す。湿気に弱いので,網などに入れて風通しの良い処に置きます。冷蔵保管する必要は
ありませんが,新タマネギは日持が良くないので,出来るだけ早く召し上がって下さい。
 新タマネギは,薄切りにして水に晒し,鰹節と醤油で戴くのが持ち味を活かした食べ
方です。黄タマネギは,カレーやシチューなどの煮込み料理,ハンバーグ,炒め物,揚
げ物,薬味など,何でも用いられます。甘味を出したいときは,飴色になるまでじっく
りと炒めて下さい。色を付ける必要がないときは,電子レンジで加熱しますと短時間で
甘味が出ます。紫タマネギは辛味も刺激臭も少ないので,生のままサラダの彩りに用い
ます。
 糖質が多いのが特徴です。特有の香りを発するのは硫化アリルが含まれているためで,
加熱しますと変化し,糖質との相乗効果によって甘味がでるのです。また硫化アリルは,
ビタミンB1と結び付いてビタミンB1の吸収を良くします。このため昔からスタミナ食
品,強壮食品として利用されています。
 
◎ニンニク 大蒜 オオニンニク・オオビル・ヒルとも
 和名:蒜苔(茎ニンニク) ユリ科 原産地:中央アジアとの説が有力
 プロフィール:ニンニクは,古代エジプトにおいては早い時期から栽培が行われてい
ました。わが国には朝鮮半島経由で平安時代以前に渡来したと推定されます。最初は薬
用として栽培されていたと云う記録もありますが,香辛料として頻繁に食べられるよう
になったのは,第二次世界大戦後になってからです。耐寒性や耐雪性はありますが,暑
さに対してはあまり強くありません。世界各地において栽培されており,西洋において
は生のまま,又は粉末加工して香辛料に,東洋においては強壮薬として常食されて来ま
した。
 品種としては,現在最も多く栽培されている寒地系のホワイト六片種,暖地系品種の
代表壱州早生イシュウワセなどがあります。保存性があるため,市場には年中出回っています。
 鱗片を食用とするニンニクの他に,若い葉を収穫した葉ニンニクや,若い花茎を食用
とする茎ニンニクがあります。葉ニンニクは現在中国からの輸入品が主であり,蒜苗(
ソアンミャオ)とも呼ばれます。また茎ニンニクは,ニンニクの芽,又は蒜苔(ソアンタイ)の名で
呼ばれており,中国からの冷凍品が多い。
 
 △食べ方と効能
 ニンニクの旬は春から初夏にかけてです。粒が大きくて良く締まっているもの,薄皮
の色が白く艶のあるもの,傷がないものが良品です。乾いて軽くなったもの,芽が出か
かったものは古いので避けて下さい。蒸れますとカビが生えやすいので,風通しの良い
処に吊るして置きます。冷蔵保管のときは温度0℃,湿度60〜70%が目安(チルド室)
です。
 中国風の炒め物,イタリア料理の香り付けには欠かせない野菜です。炒め物にすると
き,必ずニンニクを先に炒めるのは,ニンニクの香りを十分に油に移すためです。その
際,高温の油では直ぐに焦げてしまい,香りは出ませんので,油を多量に使うか,又は
イタリア料理のように,油とニンニクを鍋に入れてから弱火でじっくりと火を通して下
さい。またニンニクの臭みは生のとき,しかも卸した状態のときが最も強い。加熱した
り,高密度の液に漬けますとぐっと弱くなります。健康にためにニンニクを食べたいが,
臭いが気になるときには,醤油漬けや蜂蜜漬けにしたり,揚げたり焼いたりして召し上
がって下さい。 
 古代エジプトにおいては,ニンニクは奴隷等のエネルギー源であったと云われる程,
スタミナ補給に効果があります。これはビタミンB1が多い上,ビタミンB1と臭いの元
の硫化アリル類のアリシンとが結び付いてアリチアミンとなり,ビタミンB1の吸収を良
くするためです。消化機能を健全にし,血液を綺麗にする働きもあります。また硫化ア
リルには強力な殺菌作用もあり,風邪などのウイルスにも効力を発揮します。
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