05h 野菜「果菜類−未熟果・熟果・豆類」
 
◎ソラマメ 空豆
 マメ科 原産地:中央アジア又は地中海沿岸
 プロフィール:ソラマメは柔らかな口当たりで仄かに甘い,初夏の味覚の一つです。
莢が空に向かって実るので「空豆」とも,蚕が作る繭の形に似ているから「蚕豆」とも
云われます。調味料の豆板醤は,中国四川地方名産のソラマメから造られたものです。
 栽培の歴史の古い豆の一つで,エジプトなど地中海沿岸において栽培されていました
が,現在は約70%が中国において生産されます。わが国の主産地は鹿児島,千葉,茨城,
宮城など,完熟した豆を利用する種類と,若い豆を利用する野菜用の種類があります。
現在は莢が大型で大粒の一寸ソラマメが主流,一つの莢に同粒大の豆が三つ入っている
のが上質で,軸が緑色のものが新鮮です。
 
 △食べ方と効能
 ソラマメは,「美味しいのは三日だけ」と云われる程,鮮度の大切な野菜です。莢の
色が濃く,艶の良いものを選んで下さい。背筋が茶色に変色しているものは,古くなっ
たものです。莢から取り出すと堅くなるので,直ぐに茹でます。茹でてから保存すると
きは,1〜2日間は冷蔵保管にし,冷蔵もできますが味が落ちます。
 ソラマメは莢から出して茹で,皮を剥いて食べるのが一般的です。茹でるときは,黒
い筋のある方の反対側に切れ目を入れますと,茹でた後に皮が剥きやすくなります。た
っぷりの塩湯で茹で,直ぐに冷水に晒しますと,緑色が鮮やかになります。
 主成分は蛋白質と糖質,ビタミンB1・B2,リンなども含まれています。
 
◎ナタマメ 鉈豆
 マメ科 原産地:熱帯アジア
 プロフィール:ナタマメは,莢サヤの形が鉈ナタに似ていることから名付けられました。
強健な大型の蔓性植物です。最も栽培の多い地域はインドですが,大規模な生産は見ら
れず,世界的に経済的重要性の低い豆です。
 わが国においては若い莢を福神漬けに用いますが,インゲンマメやソラマメの代わり
に若い莢を食べる国もあります。淡紅色種と白色種があり,白色種のシロナタマメの方
が若莢が柔らかく,漬物に適しています。花も酢漬けにして,料理の飾りなどに利用さ
れます。熟した実は蛋白質,炭水化物とも豊富ですが,有毒性のアミノ酸や微量の青酸
を含んでいるので,十分水に晒して食用にします。
 
 △食べ方と効能
 ナタマメの旬は夏の終わり頃です。巨大な鉈の形をした莢の中に,紅色又は白色の扁
平な種子が付いています。若い未熟な莢を野菜として食します。一般に味噌漬けや塩漬
け,粕漬けなどの漬物にします。輪切りにしたものは,福神漬けに混ぜます。莢が柔ら
かいので,漬物にはシロナタマメが適しますそのほか,煮物やきんとんに利用します。
 糖質が主体で,蛋白質も多い。特殊成分としてアミノ酸のカナバニンを含み,カナバ
ナーゼやウレアーゼ,アミラーゼ,ベクターゼなどの酵素も豊富です。
 
◎ハナマメ 花豆
 和名:ベニバナインゲン マメ科 原産地:中央アメリカ及び南アメリカ
 プロフィール:ハナマメはインゲンマメの仲間で,花が綺麗なところからこの名が付
きました。普通インゲンマメの花は白色か薄桃色をしていますが,ハナマメは綺麗な赤
緋色をしているのが特徴です。白色種もあります。
 ヨーロッパには17世紀前半に紹介され,わが国には江戸児末期に導入されましたが,
当時は観賞用であったらしい。寒冷地でないと結実しませんので,北海道,東北地方,
中部地方高冷地において栽培されています。
 
 △食べ方と効能
 ハナマメは莢が大きく,その中に紫黒地に赤い斑点,又は黒色の豆が入っています。
未熟な若莢を野菜として食します。インゲンなど他のサヤマメと同様,さっと茹でて和
え物やお浸しにしたり,煮物や漬物のして戴きます。
 
◎フジマメ 藤豆
 マメ科 原産地:熱帯アジア
 プロフィール:フジマメは,花が藤の花房を立てたように咲くため,この名がありま
す。関西においてはインゲンマメと呼ぶこともありますが,本来のインゲンマメとは別
種です。わが国へは江戸時代初期に渡来しました。高温で乾燥した気候を好み,関西地
方以西において小規模に栽培されます。千石豆,芭蕉成,緑大莢など,極限られた地域
毎の品種があり,大量生産されないために値が高い。
 
 △食べ方と効能
 フジマメの旬は盛夏から晩秋までです。若い莢を野菜として食します。塩湯で茹で,
ごま和えや味噌和えなどの和え物やお浸しにします。また二つに切って他の野菜と一緒
に炒め物にします。そのほか茹でたものを味噌汁の彩りに加えたり,煮物の仕上げの彩
りにもなります。

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