05g 野菜「果菜類−未熟果・熟果・豆類」
 
◎エダマメ 枝豆
 マメ科 原産地:中国
 プロフィール:エダマメは大豆ダイズの若莢を未熟なうちに収穫したもので,これが完
熟しますと「畑の肉」と呼ばれるダイズになります。エダマメも蛋白質が豊富,またダ
イズには含まれないビタミンCも多く含んでいます。その上エダマメに沢山あるメチニ
オンと云う成分には,アルコールから肝臓や腎臓を守る働きがあります。またビタミン
B1・Cはアルコールの酸化を促し,肝臓の負担を軽減しますので,栄養面からもエダマ
メはビールの摘みに最適なのです。
 穀物用としてのダイズは東アジア原産で,中国においては紀元前2000年から栽培され
ている古い作物です。わが国への渡来は不明ですが,『古事記』や『日本書紀』にその
名前が載っていることからも,可成り昔から伝わっていたようです。
 エダマメとしての利用は17世紀末からです。次第にダイズ用とエダマメ用の品種が分
かれ,最近では200にも及ぶエダマメ専用品種が発表されています。専用品種は,1節に
莢が多く付き,莢当たりの粒数も3粒です。主な産地は東北地方,北海道,関東地方で
す。山形,新潟には,豆が茶色で香りも甘味も強いダダチャマメ,チャマメなどがあり
ます。「一人娘」とか,あまりにもおいしいので「いうなよ」などユニークな名前の品
種も多い。そのほか,黒豆(正月の煮豆用)をエダマメに用いることもあります。最近
は台湾などから輸入された冷凍ものも多い。
 
 △食べ方と効能
 エダマメは,夏の盛りに美味しくなる野菜です。豆が良く膨らみ,莢の緑色が濃く,
大きさの揃っているものが良質です。枝付きのものは,枝や葉に褐変がなく,枝と枝の
間隔が短いものを選んで下さい。莢の表面に付いている産毛は品種によって異なるため,
産毛の有無は味にはあまり関係がありません。一般に枝付きの方が鮮度が良いので,面
倒でも枝付きのものを求め,その日のうちに召し上がって下さい。長く保存するときは,
茹でて冷凍にし,食べるときはそのまま熱湯で解凍します。
 莢付きのまま塩茹でにするときは,枝から莢を離して両端を切り落とし,塩をたっぷ
り振って混ぜながら揉み,そのまま熱湯に入れて15〜20分茹でます。笊ザルに上げて熱い
うちに塩をまぶしますと,水切れが良く,美味しくなります。こうして茹でた莢付きの
エダマメは,出汁ダシと醤油,味醂で煮含めても美味しい。また茹でた豆を取り出して,
炒め物や掻き揚げ,豆ご飯にしたり,擂鉢で擦って砂糖で甘く味付けしますと,ずんだ
和えの衣になります。
 蛋白質やビタミンB1,カルシウムが多いほか,豆類には珍しくビタミンCも含まれて
います。
 
◎ササゲ
 和名:大角豆 マメ科 原産地:熱帯アフリカ
 プロフィール:ササゲは,見た目も利用法もインゲンに似ていますが,インゲンより
も暑い季節に実を結びます。東海地方から中国地方,四国にかけて出回り,玉すだれの
ような風情珍重されて,盆踊りなどにも使われます。若い莢サヤは野菜として利用する青
果用と,乾燥子実用とがありますが,青果用はインゲンよりやや味が劣ります。
 わが国へは,記録によりますと18世紀に中国経由で渡来しました。
 ササゲの中でも,莢の長いものがナガササゲ,莢の長さが30p前後で莢の中に16粒入
っていることから名が付いた十六ササゲ,35p程の姫ササゲ,60〜120pにもなる三尺サ
サゲなどがあります。長さ120p程の柊野(京野菜の項参照)は,莢がなかなか堅くなら
ないので品質が良く,サヤインゲンの生産の減る夏期に東海地方以西において珍重され
ます。煮物や炒め物,お浸し,料理の添え物などに用いられます。
 また乾燥子実は,蛋白質やビタミンB1を豊富に含み,小豆に似た味わいがあります。
小豆と違って煮崩れしませんので,赤飯に赤ササゲを入れることがあります。
 
 △食べ方と効能
 ササゲには,蔓なし種と蔓あり種がありますが,蔓なし種は莢が堅いので野菜として
用いません。野菜として利用するのは,蔓あり種の若い莢で,莢付きのまま料理します。
柔らかなものは,そのまま煮物や煮浸しに,和え物やお浸しにするときは熱湯でさっと
茹でて水気を切り,調味料と共に和えます。そのほか炒め物や汁の具,スープにもしま
す。
 ビタミンB1・B2・Cが含まれています。
 乾燥子実は煮崩れしませんので,小豆の代用品として赤飯に使います。
 
◎シカクマメ 四角豆 トウサイとも
 マメ科 原産地:パプアニューギニア説と東アフリカ説があります。
 プロフィール:シカクマメは,莢サヤの断面が四角形で,それぞれの角に翼状の襞ヒダが
付いているところから,この名が付きました。熱帯アジアにおいて広く栽培されており,
わが国へは最近導入され,沖縄や九州などにおいて栽培されています。
 インゲンと同様に,野菜として若い莢や種子,また茎や葉,花なども食べます。また
温暖な地方においては地下部に塊茎が形成され,これも食用となります。栄養価が高く,
多目的利用ができるマメ科作物として注目されています。莢の長さは一般に10〜15pで,
短莢系のものもあります。淡白な味で,仄かな苦味があるのが特徴です。乾燥子実は,
ダイズのように利用します。
 
 △食べ方と効能
 シカクマメの形はサヤインゲンに似ていて,利用法も殆ど同じです。莢が柔らかいう
ちに莢毎食べます。塩湯でさっと茹で,サラダやお浸し,和え物にします。揚げ物,煮
物や炒め物にするときも,火を止める直前に茹でたシカクマメを加えますと,彩りがよ
く,見た目が美しく仕上がります。
 カルシウム,リン,カロチン,ビタミンB1・Cが含まれています。
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