05f 野菜「果菜類−未熟果・熟果・豆類」
 
◎フィサリス(食用ホオズキ)
 ナス科 原産地:北アメリカ
 プロフィール:フィサリスは一年草で茎葉に短毛があり,茎は地上近くを這い,とき
に30p程の高さに立ち上がることもあります。萼は開花・結実の後,提灯のように大き
く果実を包みます。果実は1.5〜2pの球形で,熟すと黄色になり,粘質がありません。
 
 △食べ方と効能
 フィサリスの旬は6〜7月です。果実には甘味と酸味,トマトの風味があり,ビタミ
ンAを多く含んでいます。通常は生食し,また砂糖で甘く煮てソースを作ったり,砂糖
漬けにしたりしますと保存ができ,何時でも楽しめます。ケーキやアイスクリームに添
えて戴きます。
 
〈果菜類−豆類〉
 
◎インゲン 隠元 インゲンマメ・サンドマメとも
 マメ科 原産地:メキシコ南部,中央アメリカ
 プロフィール:インゲンは江戸時代に中国から帰化した隠元禅師が伝えたことから,
名付けられたとされています。収穫期までの期間が短く,一年に3度も収穫出来ること
から,関西においては「サンドマメ」とも呼ばれています。原産地の先住民の重要な作物の
一つでした。17世紀にヨーロッパ全域に広まりました。
 かつては完熟豆として収穫するために栽培していましたが,明治時代に若いインゲン
を莢サヤ毎に食べるサヤインゲンが導入されました。多くの品種がありますが,完熟した
豆を乾燥させ,煮豆や甘納豆などに利用する乾燥種子用と,若い莢を利用する野菜用に
分けられます。蔓のある種類と,蔓のない種類があり,莢の形では丸莢,平莢に大別で
きます。蔓ありの代表種で丸莢のドジョウインゲン,1980年頃に登場したサーベルイン
ゲン(丸莢,細丸)とモロッコインゲン(平莢,超広幅)などがあります。また最近は
筋を取る手間のかからない改良種が主流で,市場の9割が筋無し(ストリングレス)です。主
な産地は福島,鹿児島です。
 
 △インゲンの主な品種
 @ドジョウインゲン(ケンタッキーワンダーとも):蔓ありの代表種で丸莢,泥鰌に似た形から
  このように呼ばれます。長さ23〜25pで柔らかく味が良い。
 Aサーベルインゲン:極細い丸莢のインゲン,若採りのものや筋の無いものもありま
  す。甘味が強く,柔らかいのでサラダなどに最適,比較的新しい品種です。
 Bモロッコインゲン:サーベルインゲンと同時期に導入された平莢種,良質の蛋白質
  とビタミン,ミネラルが含まれ,美味しい。家庭菜園に最適です。
 
 △食べ方と効能
 蔓ありインゲン,蔓なしインゲンが産地を替えて年中出回っていますが,旬は春から
夏です。緑色が濃く,細めで瑞々しいもの,豆の形がはっきり出ていないもの,先端が
ピンとしているものが良品です。染みや黒ずみのあるものは古い。風に当たると萎びるの
で,ラップに包んで冷蔵保管します。
 煮物やお浸し,和え物,天麩羅テンプラ,サラダなど,何でも用いられる重宝な野菜で
す。茹でてから料理するときは,キュウリ同様板摺りをします。インゲンをまな板の上
に並べて塩を振り,軽く押しながら転がし,そのまま熱湯に入れます。こうしますと,
塩茹でしたときより色良く茹で上がり,細かい産毛も取れます。くれぐれも茹で過ぎな
いように注意して下さい。お浸しや和え物,サラダは勿論,ソテーするときも煮物にす
るときも,一旦茹でてから料理した方が,青臭さが取れます。茹でたインゲンを煮物な
どにするときは,他の素材よりも後に,つまり最後の仕上げに加えますと火が通り過ぎ
ず,色美しく,丁度良い歯応えが残ります。
 中華料理の炒め物に用いるときは,普通は茹でずに炒めますが,このときは油でじっ
くり炒めて火を通して下さい。
 栄養的には,特に目立つものはありませんが,蛋白質のリジン,カルシウム,リン,
カロチン,ビタミンB1・Cなどが含まれています。
 
◎エンドウマメ 豌豆
 マメ科 原産地:中央アジアから中近東地域
 プロフィール:エンドウマメは,古代エジプトのツタンカーメン王の王陵を発掘した
とき,その副葬品の中からも発見されたと云います。ギリシャ時代においては既に栽培
されており,地中海地方と中国において栽培種が発達しました。わが国へは10世紀に穀
物として伝えられたとされていますが,野菜としては江戸時代からで,一般に普及した
のは明治時代と云われています。
 野菜用のエンドウには,若い莢サヤを食べるサヤエンドウと,色が濃く未熟果の実を食
べるグリーンピースとがあります。莢用の品種も大莢種(オランダ,仏国大莢)と絹莢
種に分けられますが,わが国においてエンドウマメと云いますと,普通は絹莢種を指し
ます。また近年,実も莢も食べられるスナップエンドウ(スナックエンドウ)も登場,この種は
実が大きくなっても莢が堅くならず,甘味の強い新しいタイプで人気が出ています。
 ビタミンCはトマトの3倍,カロチンや糖質も多く,堂々たる緑黄色野菜です。また
グルタミン酸が非常に多いことも特徴で,トマトの6倍が含まれています。枝豆と異な
り,保存は容易で,1カ月以上は鮮度を確保出来ます。ポリ袋に入れて,温度を0℃,
湿度90〜95%の条件を満たしますと更に長期間保存出来ます。
 
 △エンドウマメの主な品種
 @絹莢:若莢を早採りしたもので,莢同士が擦れ合う音が衣擦れの音に似ていること
  から,この名が付きました。新鮮なものは,手で掴むとキュッキュッと音がします。
 Aグリーンピース:一般には缶詰や冷凍品として売られていますが,生のものは4〜
  6月が旬です。風に当たると実の表皮が堅くなりますので,莢毎買い求めて下さい。
  ウスイが代表的品種で,またプランターでも作れます。
 Bスナップエンドウ(スナックエンドウ):アメリカ産の新しい品種で,莢も実も食べられま
  す。莢は肉厚で柔らかく,甘味と風味があります。塩茹でや,バター炒めにします
  と美味です。
 C大莢種:莢の長さが12〜13pで幅の広い仏国大莢や,長さ15pにもなり関西地方に
  おいて人気のオランダなどの品種があります。柔らかで品質が良いが,現在は主体
  の絹莢に押されて,減少しています。
 
 △食べ方と効能
 エンドウマメの旬は春から夏です。絹莢は,莢に張りと艶があってポキッと二つに折れ
る位瑞々しいもの,色が濃くて豆が未熟なもの,蔕ヘタも髭ヒゲもピンとしていて元気なも
のが新鮮です。
 絹莢は,必ず蔕ヘタと筋を取り除いてから茹でます。莢毎食べますので,筋があります
と食味が良くありません。
 グリーンピースは,莢が瑞々しく萎びていないものを選んで下さい。豆が端から端ま
で詰まっていること,形に凹凸がなく,粒が揃っていて青々と艶のあるものが良品です。
 グリーンピースのときは莢から豆を出して料理します。豆ご飯は,炊く前に生のまま
の豆を加え,甘煮にするときは水から煮始めますとふっくらと煮上がります。また炒め
物や飾りに用いるときは,塩湯で茹でてから用います。
 スナップエンドウも絹莢同様瑞々しく,柔らかいものを選んで下さい。莢付きのまま
塩湯で茹でて,枝豆のようにそのまま戴きます。
 エンドウマメは手に入りましたら,出来るだけ早く召し上がって下さい。保存すると
きは,新聞紙に包んでポリ袋に入れて冷蔵保管します。グリーンピースのときは,さっ
と茹でて茹で汁毎冷蔵するか,茹で汁を切って密閉状態で冷凍します。
 グリーンピースの主成分は,蛋白質と糖質,その他ビタミンB1・B2・Cも比較的多く
含まれています。絹莢は,グリーンピースに比べると,ビタミン,ミネラル類の含有量
は低い。
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