05d 野菜「果菜類−未熟果・熟果・豆類」
 
〈果菜類−熟果〉
 
◎カボチャ 南瓜
 ウリ科 原産地:中央アメリカ(東洋種・和種),南アメリカ(西洋種)
 プロフィール:カボチャには大別して,日本カボチャ(東洋種),西洋カボチャ(西
洋種),ペポカボチャの3種類があります。日本カボチャは,16世紀にポルトガル船に
よって九州に渡来しました。このとき当時の人々にカンボジア産の野菜と伝えられ,そ
れが転じてカボチャになったと云われています。日本カボチャはわが国の気候に適し,
急速に各地に広がりました。一方西洋カボチャは南アメリカの高原乾燥地帯が原産で,
19世紀に渡来し,北海道を中心に分布しましたが,現在においてはこれが主流(9割)
です。ほくほくとして甘味が強く,栗南瓜とも呼ばれています。
 「冬至に南瓜を食べると長生きする」と云われていますが,ビタミン,カロチンなど
の豊富なカボチャは,とても栄養価の高い緑黄色野菜です。大抵の食物は新鮮なうちに
食べないと急速にビタミン類が無くなってしまいますが,良く実ったカボチャは厚く堅
い外側の外皮があるので,夏に採れたものを冬まで置いていてもビタミン類は失われま
せん。
  皮が堅くて爪の通らないものが良いものですが,品種によっては完熟していても皮の
軟らかいものがあります。カット売りされているものは種子が充実しているものを選び,
また果肉の黄色の濃いものの方がカロチンが多く含まれています。
 
 △カボチャの主な品種
 @バターナッツ:ピーナッツの形をした,重さ800g程の小型カボチャで,果皮は乳白
  色です。1本の蔓に2〜3個付き,家庭菜園でも作れます。バナナスカッシュ,タ
  ーバンスカッシュなどの品種もあります。
 A会津:東洋種の一つで,早生・中果,福島県会津地方において改良された小型の日
  本カボチャです。緑色地に白斑があり,浅い条溝があります。
 B菊座:東洋種,極早生で形が美しい。色は黒皮,小振りなので,丸のまま中を繰り
  抜いて,詰め物をして蒸す料理にも向いています。
 C黒皮:菊座よりやや大きく,黒皮の東洋種です。皮がゴツゴツと堅く,溝があります。
  ねっとりして甘味が少なく,水気が多い。
 D鉄かぶと(種間雑種):西洋種と東洋種の種間雑種。夏カボチャとして重視されて
  いましたが,嗜好の変化に伴い,現在は殆どが自家菜園用です。
 E黒皮栗カボチャ:えびす・みやこは西洋種の代表種です。重さ1.7sもあって作りや
  すく,ほくほくした肉質が特徴で,北海道のほか全国的に栽培されています。
 F青皮栗カボチャ(芳香青皮甘栗,近成芳香):皮は灰緑色,扁平な形の中型の西洋
  種です。関東地方を中心に出回っています。スープやお菓子にも向いています。
 G赤皮栗カボチャ:綺麗な橙赤色に淡色の縦縞の入る西洋種,重さ1.5s前後で,日持
  ちが良く,やや粘質です。
 H白皮栗カボチャ:西洋種の中において最も新しい種類で,果肉の色も白っぽい。黒
  皮栗より更に粘質で,サラッとした淡白な味が特徴です。西洋料理に最適です。
 I金糸瓜(そうめんカボチャ):ペポカボチャの一種で,長さ約20pの長球状,茹で
  ると果肉が糸状にほぐれるのでこの名があります。肉質は粗く,シャキッとした歯応え
  があり,三杯酢などで食べます。
 Jテーブルクイーン:ペポカボチャの一種で,掌テノヒラに載る程の小型サイズと,どん
  ぐり状の形で人気上昇中です。完熟まで育てますと800g程度になり,やや粘質で甘
  味があります。
 
 △食べ方と効能
 最も一般的なカボチャは栗カボチャで,中でもえびすカボチャと呼ばれる品種が出回
っています。旬は5月から11月,日本カボチャの代表黒皮カボチャは11月から6月にか
けて出回ります。
 手に取ってみてずしりと重いものがポイントです。蔕ヘタの周りが窪んでいるものは完
熟している証拠,皮は爪で押しても立たない位堅いものが美味しい。カット売りものも
は,種子の部分が引っ込んでいないもの,種子が蜜に詰まっているもので,果肉の部分
が厚く,黄色の濃いものを選んで下さい。丸毎なら1〜2カ月は保ちます。カット売り
のものは黴カビが生えやすいので,水気を残さないようにキチンとラップして冷蔵保管して
下さい。
 通常は煮物,ホクホクの食感を大切にするため,煮過ぎないようにして下さい。ところど
ころ皮を剥いて,出来れば面取りをしますと味が滲みやすく,煮崩れしません。そのほ
かバターソテーやスープ,天麩羅テンプラにしても美味しい。パイやプディングなどのお菓
子作りにも利用されます。
 主成分は糖質ですが,ビタミン類も多く,特にカロチン,ビタミンB1・B2・Cが豊富,
そのほかカルシウムや鉄も含まれています。
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