05c 野菜「果菜類−未熟果・熟果・豆類」
 
◎スイートコーン
 和名:玉蜀 イネ科 原産地:メキシコから南アメリカ北部
 プロフィール:玉蜀黍トウモリコシは,米と小麦と並ぶ世界三大穀物の一つです。栽培の歴
史はマヤ,アステカなど古代文明にまで遡ります。メキシコや中央アメリカにおいては,
現在でも玉蜀黍から作った「トルティーヤ」と云うパンケーキを主食にしてしています。
15世紀にコロンブスにより世界中に広まりました。
 多くの品種がありますが,現在わが国において食べられている殆どは,糖分の多い甘
味種のスイートコーンで,シルバー,ゴールデンなどが代表種でしたが,その後より糖
分の多いスーパースイートが誕生し,1970年代に爆発的な売れ行きを見せました。
 現在は更に甘味のあるバイカラーコーンが主流,黄色粒の中に白色粒が混じり合った
もので,ピーターコーンがその先駆けとなりました。そのほか,スイートコーンの若い
雌穂を摘み取ったヤングコーン(ベビーコーン),ホップコーン用の品種(スイートコーンの別種)
などもあります。
 
 △スイートコーンの主な品種
 @ゴールデン種:昔のトウモロコシの味と,歯切れの良さを懐かしむ声も多い。金色
  の粒が凹む位若いと美味しく,スープ,煮込み,コロッケなどに利用されます。
 Aシルバー種:小粒で艶がある白粒種,粒皮が柔らかく,甘味も強く,茹でたり,焼
  いたり,サラダなどに利用します。
 Bバイカラー種:現在のわが国の主流,黄色と白色の粒が3対1の割合で混じります。
  果皮が柔らかく,甘味が強い品種で,粒がびっしり並び,艶のあるものを選んで下
  さい。
 Cベビーコーン(ヤングコーンとも):生食用甘味種の二番雌穂を若採りしたもので,丸毎
 食べられます。サラダや中国料理,シチューなどに用いられます。
 
 △食べ方と効能
 スイートコーンの旬は夏です。鮮度の低下が激しい野菜で,時間と共に甘味がなくな
ります。収穫直後の甘味は,気温30の下に1日放置しますと半分に減ります。美味しく
戴くためには,買ったらその日のうちに食べて下さい。残ったら茹でて冷蔵保管します
と,美味しさが保てます。髭の一本一本が粒の一つ一つに繋がっていますので,髭の多
い程粒も多いことになれます。茶褐色で瑞々しい髭の付いているもの,皮が鮮やかな薄
緑のものが新鮮で,黄色に変色しているものは古いものです。
 新鮮なものは,塩湯で茹でて召し上がるのが一番です。粒を外して,豚肉や鶏肉と一
緒に炒めたり,掻き揚げやフリッターにしたり,グラタンにしても美味しい。コーン専
用の粒外し器具も売られていますが,包丁でも簡単にこそげ落とすことが出来ます。
 栄養的には糖質,中でも澱粉が主体で,胚芽の部分には脂肪やビタミンB1・B2・Eが
多い。また繊維も多く,便秘解消に役立ちます。漢方においては,髭の部分を日干しに
したものを南蛮毛と云い,利尿剤として急性腎炎や妊娠時の浮腫ムクミ解消に用いられま
す。
 
◎ズッキーニ
 ウリ科 原産地:アメリカ南部,メキシコ北部
 プロフィール:ズッキーニは,わが国においては1980年代から栽培され始められた新
しい野菜です。ヨーロッパにおいては春先に最も早く出回る野菜として,古くより珍重
されています。名の由来は,イタリア語「zucca」に起因します。濃い緑色の表皮に,薄
緑色の小さな斑点がある緑ズッキーニのほか,黄色いものもあり,ヨーロッパにはピン
クも見られます。
 見かけも味もキュウリに似ていますが,実はペポカボチャの仲間です。一般のカボチ
ャはは熟果を食べるのに対し,ズッキーニは開花後5〜7日の未熟果を食べます。
 収穫しないで置くと実はどんどん大きくなり,1週間から10日間で1m以上になりま
す。キュウリより一回り大きい150〜200gのものが収穫期で,現在においては国産品が年
中出回っています。
 果皮が緑色のものと,黄色のものがあり,何れも長さは約20pです。
 また,開花後の幼果を若採りしたものを花ズッキーニと呼んでいます。
 
 △食べ方と効能
 ズッキーニの旬は夏から秋,冬から春に出回るのはハウスものです。緑色のものと,
黄色のイエローズッキーニがあります。皮に張りがあって滑らかで,色艶が美しいもの,
上下の端が瑞々しいもの,あまり太くなく,太さの均一なものが良品です。ビニール袋
に入れるか,ラップに包んで冷蔵保管します。
 カボチャの仲間なので,生より加熱して食べるのが美味しい。仄かな苦味が特徴で,
ナスに似た食感です。火を通すと柔らかくなること,油と相性が良いこともナスに共通
する点があります。皮が美しいので,皮付きのまま料理します。
 簡単料理として,輪切りにしてバターで炒めてステーキの付け合わせにしたり,茹で
て塩とレモン汁を振ってサラダにしたり,またクリーム煮やトマト煮などの煮込み料理
にもよく合います。縦に薄く切って帯状にし,茹でて柔らかくして,サーモンやトマト
など彩りの良い素材を巻きますと,お洒落なオードブルになります。そのほかフリッタ
ーやフライにしても美味しく,ズッキーニの花の部分にチーズを詰めて揚げたフリッタ
ーは,イタリア料理の中においても絶品です。
 ビタミンAが豊富で,ビタミンCも含まれています。カボチャの仲間の中においては,
糖質,澱粉共に少なく,カロリーも低い。
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