04a 野菜「葉菜類−花・蕾」
 
◎ブロッコリー
 和名:緑花野菜ミドリハナヤサイ アブラナ科 原産地:地中海沿岸
 プロフィール:ブロッコリーは,大きな蕾ツボミの塊(花蕾カライ)と茎を食用とします。
ビタミンCがレモンの2倍も含まれるほか,カロチンや鉄分も豊富で,栄養価の高い緑
黄色野菜として人気が高い。
 キャベツと同じ仲間ですが,キャベツの中においては進化の遅れたグループになりま
す。イタリアやフランスにおいて改良され,ヨーロッパにおいて重要野菜となったのは
15〜16世紀頃です。形状が良く似たカリフラワーも矢張り同じ仲間で,カリフラワーは
ブロッコリーが突然変異して白くなったものです。ブロッコリーはカリフラワーより寒
さに強い。
 明治時代にわが国に入り,本格的に栽培が始まったのは第二次世界大戦後で,1980年
代になって急速に大衆化が進みました。 冬〜春蒔き春夏収穫(早生),夏蒔き夏〜冬
収穫,秋蒔き冬〜春収穫の3パターンがあり,輸入品を含めますと周年出回っています。
 主流は頭部の大きな蕾を食用とする頂花蕾型チョウカライガタ品種ですが,腋芽が多く出て沢
山の花蕾を付ける側花蕾型ソクカライガタ品種,この両者の中間種などがあります。
 また,スティックブロッコリーは,キャベツの仲間である中国野菜カイランとブロッ
コリーを交配して出来た品種で,アスパラガスのように茎の部分が長くて柔らかく,茎
まで食べられるのが特徴です。一般のブロッコリーよりも暑さに強いので,真夏におい
ても収穫出来ます。スティックセニョールなどの品種も出回っています。
 
 △食べ方と効能
 ブロッコリーの旬は冬から春先にかけてです。全体にこんもりとしていて蕾が小さく
締まっているもの,緑が濃いものは,柔らかくて甘味もあります。花が咲いたように蕾
が開いて黄色味がかったものや,熟し過ぎると茎にスが入るので,これらは味も歯触り
も良くありません。紫がかったものは,低温で育てられたためで,茹でますと緑色にな
り味に差はありません。冷蔵保存は1〜2日程度,さっと茹でて冷蔵保管しますと4日
間位は保ちます。
 料理するときは,まず小房に分け,茎の部分も捨てずに縦二〜四つ割りにして使いま
す。茹でるときは,たっぷりの塩湯でまず茎の部分を茹で,次に蕾を入れて2分程茹で
て笊ザルに広げて冷まします。水に晒すと水っぽくなり,折角の風味も悪くなります。茹
でたものはそのままサラダや和え物にします。またベーコンや他の野菜と炒め合わせた
り,グラタンやフライにしても美味しい。
 カリフラワーよりも栄養的には優れ,特にビタミンCはカリフラワーの3倍,キャベ
ツの4倍,グリーンアスパラガスの13倍,レタスの27倍も含まれています。そのほかカ
ロチン,カルシウムや鉄分などのミネラルも豊富です。
 
◎アーティチョーク
 和名:朝鮮薊チョウセンアザミ キク科 原産地:地中海沿岸
 プロフィール:わが国においては,古くから野生薊の茎や根を山菜として食用にして
きましたが,アーティチョークは葉や茎が大型のため花の部分を食べます。食用となる
肉厚の総苞片と花托は殆ど澱粉質,食物繊維はとても豊富でファイバーフードとして人
気があります。胆汁分泌を促進したり,利尿作用,コレステロール値を下げる作用もあ
り,ヨーロッパにおいては動脈硬化の治療に利用されます。
 開花しますと堅くなるため,開花前に収穫します。茹でてから総苞片を一枚ずつ剥が
して食べますが,頭部が小さい若採りのものはそのままで,直径10p以上に育ったもの
は,尖った先端を2pほど切り落としてから茹でます。
アーティチョークと云う名前は,大きな薊と云う意味のアラビア語「アル・カルチュフ
」を語源とし,これがスペイン語の「アルカルチョーフ」に転化し,更に英語になりま
した。紅紫色の大輪の花もなかなか美しく,観賞用に栽培されることもあります。若い
花茎を食用にする品種もあります。
 ギリシャ・ローマ時代には既に用いられており,15世紀頃にはイタリアにおいて栽培
され始め,その後フランス,イギリス,アメリカ大陸へと伝わり,極一般的な野菜とな
りました。特に南ヨーロッパにおける消費量が多い。
 わが国においては江戸時代中期に栽培の記録がありますが普及はせず,現在も国内に
おける栽培量は非常に少ない。
 
 △食べ方と効能
 アーティチョークは総苞片の基部と花托を食べる野菜で,初夏から夏が旬です。需要
はレストランに限られているため,一般にはあまり売られていません。萼が大きく揃っ
ていて,色が鮮やかなものを選んで下さい。灰色がかっているものは古くなりかけてい
ます。
 味は茹でた芋や豆に似ていて,ホクホクとした食感があり,萼の部分も歯でしごいて中身
を出して食べます。下処理としては,まず頭の部分と茎の付け根の部分を切り落とし,
切り口の変色を防ぐためにレモンの輪切りを載せて凧糸で十文字に縛ります。こうしま
すと,アーティチョークがバラバラになりません。これをたっぷりの湯で20〜25分茹でて,
そのまま冷まします。冷めたら凧糸を解いて外側と内側の萼を除きます。萼は食べられ
るので取って置き,中の花芯に付いている毛のようなものを毛抜きで取り除いて下さい。
こうしてできたアーティチョークの器にソースを入れたり,ドレッシングを掛けたりし
て花芯を食べるのです。萼は付け合わせにしたり,ソースをつけてオードブルにします。
ソースは,バターソースやクリームソース,マヨネーズなど酷コクのあるものが合います。
 カルシウムが多く,野菜の中では糖質も多い。中でも多糖類のイヌリンが多く含まれ,
血中のコレステロールを下げ,血液を浄化させる働きがあります。葉や根を煎じて飲み
ますと,肝機能の活性にも良いと云われています。
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