03b 野菜「葉菜類−茎・葉柄」
◎モヤシ 萌
マメ科ほか 原産地:世界各地
プロフィール:モヤシは,中国やインドネシア,ビルマなどでは古くから食べられて
いたマメの芽生えで,野菜として扱われます。わが国においては平安時代には薬用とし
て利用されていました。農村部においては可成り古くから食べられていますが,都市部
においては明治から大正時代に普及し始めました。ビタミンCは種子のときには殆どあ
りませんが,発芽すると急増し,また蛋白質やビタミンB,カルシウム,鉄分,食物繊
維も豊富です。「生命の芽」と云われる程の万能食品で,第二次世界大戦後は欧米にお
いても人気が高まっています。
モヤシと云うのは植物名ではなく,豆類や穀類などを発芽・伸長させたもの全般を指
します。原料はリョクトウ(グリーンマッペ)やブラックマッペ(ケツルアズキ),大豆ダイズ,小
豆アズキ,大角豆ササゲなどの豆類のほか,蕎麦ソバも用いられます。現在わが国において最
も多く出回っているのは,リョクトウです。リョクトウは熱帯地方の植物で,東南アジ
アやメキシコから輸入されています。
韓国料理において使われるのは大豆モヤシで,太く長い芽が特徴です。最も小さいモ
ヤシは紫ウマゴヤシと云う牧草の種子から作られる,アルファルファモヤシ(糸モヤシ)
で,生産量も増えてきました。
△食べ方と効能
ブラックマッペモヤシは,茎も豆も白く,豆が開いていないものが良質,大豆モヤシ
も白くて褐変していないもの,またグリーンマッペは豆の部分が薄い緑色をしているの
が特徴で,矢張り茎の部分が白く髭根が茶色になっていないもの,何れも長過ぎないも
のを選んで下さい。4〜5pの長さで太いものが甘くて美味しい。
大豆モヤシは髭根が長くしっかりしているので,面倒でも一本ずつ摘んで取り除いて
下さい。ブラックマッペモヤシやグリーンマッペの髭根はそれ程長くないので,気にな
らなければそのまま利用します。特有の臭いがありますので,流水に晒して丁寧に洗い,
水気をしっかり切ります。シャキッとした歯触りを残したい野菜なので,火の通し過ぎに注
意して下さい。炒め物にするときは,強火で一気に炒め上げます。
茹でるときは,茹でた後は水に晒さず,笊ザルの広げて冷やします。急激に冷やします
と,水っぽくなりません。ドレッシングや辛子醤油で和えたり,韓国風に豆板醤で和え
たりしますと,簡単な付け合わせになります。
水溶性のビタミンCが多く,大豆モヤシには蛋白質も含まれています。
◎カクタスリーフ
和名:うちわサボテン サボテン科 原産地:北米南部,中央アフリカ東部,カリブ
諸島
プロフィール:うちわサボテンのうち棘トゲがないか,あっても少ない品種のものが食
用となります。株全体は3mに達する程大型で,食用部は葉のように見える茎節です。幼
いうちは淡緑色ですが,生長しますと白い粉(ブルーム)を吹き,青味を帯びた色になりま
す。ブルームが出てきますと堅くなるため,幼いうちに収穫します。
原産地においては古くから食用に栽培され,特にメキシコとアメリカにおいては極一
般的な緑黄色野菜として利用されます。果実が食用となる品種もあり,カクタスペアー
と云う名前で出回っています。
△食べ方と効能
カクタスリーフにはオクラのような粘りがあるのが特徴で,若いうちは棘が軟らかい
ので,これを削り取って料理します。通常,両面をバターでさっとソテーしたり,茹で
てサラダにしたり,スープの具にしたりします。
またカクタスペアーと呼ばれるサボテンの実も食用になります。真赤なジュースを含
んだ実で甘く,堅い小さな種子が一杯入っていて食べ難いので,煮て裏漉しし,ジャム
やゼリーにします。濃いピンク色が美しく,カリフォルニアにおいてはお土産として売
られています。
◎コールラビ カブカンラン(蕪甘藍)とも
和名:カブキャベツ,キュウケイ(球茎)キャベツ アブラナ科 原産地:ヨーロッ
パ
プロフィール:コールラビはわが国に渡来したのは明治初期ですが,最近漸く店頭に
出回るようになりました。
冷涼性野菜ですが,同類のキャベツよりも暑さに強く,また寒さにも強い。形はカブ
似で,地上に成るのでカブの3〜4倍のビタミンCを含むなど,カブとはその成分が大
きく異なります。食用となるのは,球形で5〜10p程度のものです。果皮の色は白系と
紫系の2種があり,何れも中身は白い。
△食べ方と効能
コールラビは葉や茎の折れているもの,萎れているものは避けて下さい。新聞紙に包
んで冷暗所に置きますと2週間程保ちます。
葉触りが良いので,皮を剥いて薄切りにし,そのままドレッシングや塩を振ってサラ
ダや和え物にします。さっと茹でて,バターでソテーしても良い。
火を通すとトロッとしますが,煮崩れしにくいので,クリーム煮やスープ煮,グラッセに
しても良いし,油揚げなどと合わせて和風の煮物に仕上げても美味しい。
ビタミンCが多い。
◎ルバーブ
和名:食用大黄ショクヨウダイオウ,丸葉大黄マルバダイオウ タデ科 原産地:シベリア南部
プロフィール:ルバーブはフキに似た草姿で,細筋のある葉柄を食べます。コレステ
ロールを下げる効果や整腸作用があり,ギリシア,ローマにおいては紀元前から薬用,
食用のために栽培されていたと云います。生食もしますが,強い酸味や渋味があり,砂
糖で煮て,お菓子やジャムに加工することが多い。英名ルバーブとは,パイに使うこと
が多いからと云うことです。紅茎種(チェリールバーブ)と緑茎種に分けられ,加熱しますと
鮮やかなピンクになるものもあります。発芽前に盛土しますと,赤く柔らかいものがで
きます。
わが国に入ったのは明治初期ですが,渋味のためか当時は普及しませんでした。昭和
初期になって在日外国人によって再度導入され,長野において栽培が始まりました。
漢方薬の「大黄」は近縁種です。
△食べ方と効能
ルバーブは傷がなく,太さが均一で張りがあるものが良質です。
肉の消化を助ける酵素が含まれているため,食後のデザートとして利用されています。
水洗いさたものをざく切りにし,水と少しの砂糖を加えて軟らかく煮,そのまま冷まし
ただけで美味しい。ジャムにするときはたっぷりの砂糖で煮て下さい。ルバーブのジャ
ムは,パイの具としても使われます。そのほかバターで炒めて付け合わせにしたり,生
のまま薄切りにしてサラダにもします。
ビタミンCとカルシウムが多く,食物繊維もたっぷり含まれています。
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