03 野菜「葉菜類−茎・葉柄」
 
            野菜「葉菜類−茎・葉柄」
 
                     参考:草土出版発行「花図鑑[野菜]」
 
〈葉菜類−茎・葉柄〉
 
◎アスパラガス
 和名:オランダうど,松葉うど,オランダきじかくし ユリ科 原産地:南ヨーロッ
 パからロシア南部
 プロフィール:アスパラガスは,枝や葉が出る前の若い茎を食用にします。グリーン
とホワイトがありますが,これは品種ではなく,栽培法の違いによるものです。発芽後
に盛り土をして軟白栽培しますとホワイトになり,そのまま日に当て続けて育てますと
グリーンになります。
 ヨーロッパにおいては紀元前から栽培され,春を告げる野菜として人気が高い。古代
ギリシャは野生のものを食用としていましたが,ローマ時代には農園栽培が始まってい
ます。北イタリアはアスパラガス名産地として知られ,ヴェネト州のバッサーノは特別
に太いホワイトアスパラガスで有名です。
 わが国に入ったのは,18世紀後半の江戸中期にオランダ人によってもたらされたのが
最初です。初期は食用と云うより,葉を楽しむ観賞用とされたようです。食用としての
普及は,明治初期にアメリカやフランスから種子として再導入された後のことです。大
正12年に北海道において本格的な栽培が始まり,2年後にはアジア最初の缶詰生産も始
まっています。主産地は長野,福島,北海道で,以前はホワイトが主流でしたが,現在
はグリーンが多い。ただし近年は,アメリカ,メキシコ,フィリピン,オーストラリア
からの輸入品や,中国からの缶詰に押されて,国内栽培は減少傾向にあります。
 
 △アスパラガスの主な品種
 @グリーン:発芽した後も日光を当てて,自然のままに育てたもので,栄養価はホワ
  イトより高く,香りや風味も勝っています。
 Aホワイト:発芽後に土寄せをして白く軟化させたもので,柔らかく味も円やかです。
  専ら缶詰専用でしたが,最近は生も出回り始めました。
 Bアスパラソバージュ:ヨーロッパの野山に春を告げる野生のアスパラガスの一種で
  す。30p程の長さで市場に出回りますが,利用されるのは芽先の部分のみです。
 
 △食べ方と効能
 アスパラガスの旬は春から初夏です。茎が太くて真っ直ぐに伸び,緑色が濃く艶のあ
るものが良質です。切り口に変色がなく乾燥していないもの,穂先のしっかりしまって
いるものを選んで下さい。細い品種のものは別として,あまり細い物は筋が多いので良
くありません。乾燥しやすい野菜ですので,きちんとラップに包んで冷蔵庫に保管し,
また出来るだけ早く召し上がって下さい。
 茎の下部は堅いので,切り落とすか,(鉛筆の削る要領で)皮を剥いてから料理して
下さい。たっぷりの塩湯に,茎の下部の方から入れて茹でます。鍋の中で曲がったり,
折れたりしないように大きな鍋を使って下さい。茹で過ぎますと折角の歯応えがなくな
りますので,一寸早めに引き上げるのがポイントです。水には晒さず,笊ザルに広げて扇
いで冷ましますと風味が良い。そのままマヨネーズを付けて食べたり,耐熱皿に並べて
ホワイトソースとチーズを掛けてグラタンにしても美味しい。
 また生のままフライにしたり,辛子和えにしても良い。大量に手には入ったときは茹
でて冷凍し,凍ったまま炒めたり,シチューやカレーなどの煮込み料理に利用します。
 野菜の中においては,蛋白質と糖質が多いのが特徴です。そのほか,ビタミンA・B1・
B2・C,食物繊維も豊富です。特殊成分としては,高血圧を予防するルチンを含みます。
 
◎タケノコ 竹の子・筍
 イネ科 原産地:ヨーロッパ,西南アジア,インド
 プロフィール:タケノコは,竹の地下茎から桿(茎)が枝分かれしたものを若いうち
に採って食用にするもので,一般に2月下旬〜5月に収穫されます。地面をビニールで
覆ったり,土中に電熱線を入れたり,温泉熱を利用するなどの栽培法も行われ,こうし
て作られた早掘りのものは,年末から出回り始めます。現在最も一般的な品種はモウソ
ウチク,原産地は中国江南地方で,18世紀初めに琉球に伝わりました。全国に広がった
のは江戸中期で,薩摩藩主島津公が琉球から入手した株を藩邸に植えたのが始まりとさ
れています。主産地の鹿児島県を始めとして各地において栽培されます。
 モウソウチクの次に多く作られるハチクとマダケも中国原産で,わが国においては17
世紀には一般に普及されていたらしい。多くのタケノコは地上に出る前に収穫されます
が,ハチクは地上に出てから採りますので,収穫シーズンはやや遅めです。カンザンチ
ク(寒山竹)は中国南部の原産で,わが国においては九州に多く,5〜8月に出回りま
す。
 なお中国料理に用いられる麺媽(シナチク)は,ビルマ原産のマチクを茹でて発酵さ
せ,天火乾燥したものです。
 
 △タケノコの主な品種
 @モウソウチク(孟宗竹 マダケ属):最も大型のタケノコで,2月から5月下旬ま
  で出回ります。各地において栽培されますが,中でも京都の山城タケノコが有名で
  す。
 Aハチク(淡竹 マダケ属):やや細いが寒さに強いので北海道南部まで栽培できま
  す。出回りはやや遅めです。
 Bネマガリダケ(根曲竹(チシマザサのタケノコ) ササ属):茎が根元で湾曲するのが特徴
  で,白く香りが良い。4〜6月に出回ります。
 Cマダケ(真竹 マダケ属):5〜6月に出回る晩生種で,北海道を除く全国におい
  て栽培され,苦竹と云われる位アクが強い。皮はおにぎりを包んだりして利用され
  ます。
 
 △食べ方と効能
 タケノコの旬は春,「朝掘ったらその日のうちに食べろ」と云われる位鮮度が大切で
す。時間が経つ程アクが出て苦味やえぐ味が強くなり,水分が減って風味も低下します。
新鮮なものは,穂先が黄色で外皮の色艶が良く,切り口が瑞々しいのが特徴です。穂先
が緑色のものは日に当たったためで,筋が堅くえぐ味が強い。
 掘りたてのものは生でも食べられますが,通常は茹でてアクを除いてから料理します。
皮を付けたまま穂先の部分を斜めに切り落とし,根元まで縦に切り込みを入れた後,鍋
にたっぷりの水と糠(又は米の研ぎ汁),赤唐辛子,タケノコを入れて火に架け1時間
程茹でてそのまま冷やします。完全に冷めてから皮を剥きます。穂先の柔らかい部分は
吸物の具に,真ん中は輪切りにして煮物や天麩羅テンプラ,筍ご飯や炒め物にします。特に
ワカメとの炊き合わせは,春の出会いの料理として馴染みが深い。下部の堅い部分は千
切りにして炒めたり,摺り卸してエビの白身,片栗粉と混ぜ合わせ,団子にして油で揚
げても美味しい。
 栄養的には,ビタミンB1が比較的多い程度です。独特の旨味は,チシロン,アスパラ
ギン,ベタインなどの成分によるもので,歯応えはセルロースによるものです。苦味や
えぐ味の主要因はホモゲンチジン酸で,この成分は,掘った瞬間から増えて行きます。
[次へ進んで下さい]