◎ツケナ類 漬菜,菘ツケナ
 アブラナ科 原産地:地中海,中央アジア
 プロフィール:ツケナとは,アブラナ科アブラナ属の不結球性菜類の総称です。ただ
し本稿では,ナバナは除き,カブナ類は根よりも葉を主に利用するためツケナ類に含め
ました。
 ツケナ類は,大きくハタケナ類,コマツナ類,ミズナ類,体菜タイサイ類,タアサイ類,
不結球性ハクサイ類,及び別種のナタネ(洋種ナタネ)類の各グループに分けられます。
広義には,タカナやカラシナが含まれることもあります。
 このツケナ類は,中国に入ってツケナとして発達し,2世紀頃には体菜に似た小白菜
が登場しています。わが国には奈良時代以前に渡来し,以来各地において様々な地方種
が発達しました。寒さに強い品種が多く,霜に当てる程味が良いと云われます。最も原
始的なツケナはハタケナ類です。京都で古くから栽培されるミズナ類はわが国の固有種
で,ミズナ(京野菜の項参照),ミブナ(同)などがあります。何れも京料理には欠か
せない素材で,京菜とも呼ばれています。体菜類の野菜には雪白体菜セッパクタイサイ,二貫目
体菜ニカンメタイサイ,チンゲンサイ(中国野菜の項参照),パクチョイ(同)などがあります。
タアサイ類は第二次世界大戦中に導入され,関東地方北部,東北地方南部に順化しまし
たが,1970年代に再導入されて普及しました。タアサイのほかに,ビタミン菜などの品
種があります。
 
 △ツケナ類の主な品種
 @女池菜メイケナ:新潟市の鳥屋野地域において栽培されるコマツナ類の一品種,杓文字
  型の葉が特徴で,真冬から早春にかけて出荷され,漬物やお浸しに利用されます。
 A雪白体菜セッパクタイサイ(杓子菜・布袋菜とも):肉厚の白い茎が特徴の体菜群の一品
  種,明治初年に導入されたパクチョイ(長梗白菜)が改良されたものです。
 Bツマミナ:雪白体菜を若採りしたものの呼び名で,元は小松菜や大根の間引き苗を
  利用しました。現在では雪白体菜の多くはツマミナ用に栽培されています。
 C長崎白菜ナガサキハクサイ:タアサイと白菜が自然交雑して出来ました。長崎では唐人菜と
  呼ばれ,古くから栽培されています。
 D大阪シロナ:主産地は大阪,ハクサイとチンゲンサイの近縁種の雑種らしく,葉先
  は広がりますが,根元は結球します。
 E山東菜サントウサイ(べか菜とも):中国山東省原産の不結球ハクサイ,丸葉と切葉があ
  り,漬物以外の料理にもよく用いられます。
 F大崎菜オオサキナ:新潟県大崎で作られるコマツナに近縁の品種,出てくる脇芽を次々に
  収穫できます。
 Gのらぼう菜:東京都五日市市で作られる洋種ナタネで,柔らかさが特徴,江戸時代
  から栽培されており,五日市市の特産品です。
 H千宝菜センポウサイ1号:バイオテクノロジー技術でキャベツとコマツナを交配させたナ
  タネ群の不結球性葉菜,キャベツの甘味とコマツナの柔らかさを持ちます。同2号
  はキャベツとコマツナにベカナが交配されています。
 I野沢菜ノザワナ:長野のカブナの一種,加茂カブと在来のカブナの交雑後代から生まれ
  たものと云われています。カブナにはこのほかにイネコクナ,源助菜ゲンスケナ,鳴沢
  菜ナルサワナ,長禅寺菜チョウゼンジナなどがあります。
 
 △食べ方と効能
 ツケナ類の旬は晩秋から早春で,地域的には大株に作ります。
 癖のない味でいろいろな料理を楽しめます。塩を加えたたっぷりの湯で下茹でしてか
ら料理します。茹で時間は量と火力にもよりますが,1〜2分で十分です。元々柔らか
な葉なので,加熱し過ぎると歯触りが悪くなり,水っぽくなって美味しくない。保存は,
茹でたものを十分に水気を絞り,ラップに包んで冷凍します。利用する使うときは,凍
ったまま,出汁ダシや煮汁に入れて加熱します。
 茹でたツケナを醤油と鰹節で和えたお浸し,他の野菜やツナなどとマヨネーズで和え
たサラダ,生揚げと一緒に煮たり,酢の物やバター炒め,オムレツ,ラーメンの具など
に用います。
 ビタミンA効力のあるカロチンやビタミンCなどを多く含みます。
 関連リンク [野菜の全て[花図鑑 − 野菜 − 02葉]]

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