02g 野菜「葉菜類−葉」
◎エンダイブ
和名:菊萵苣キクチシャ,苦萵苣ニガチシャ,花萵苣ハナチシャ キク科 原産地:ヨーロッパ(地
中海沿岸地域東部)
プロフィール:エンダイブは古代エジプトやギリシャにおいても栽培され,16世紀に
はヨーロッパに広く分布していたと云います。その後アメリカに普及し,アメリカ経由
でわが国に入ったのは明治初年,当時はあまり普及しませんでした。国内需要が増えた
のは最近のことです。
品種によって葉の形や色が異なり,わが国において多く栽培され,縮れた葉に深い切
れ込みが入る縮葉種と,葉が広く縮れのない広葉種に分けられます。どちらも独特のほ
ろ苦さが特徴です。
カロチンやビタミンB2・Cのほか,カリウムや鉄分,食物繊維も豊富です。
ある程度育った外側の葉が緑色に成ったら,内側に日が当たらないように葉を株の上
部で束ね,内部の葉を白く仕上げます。内部が緑色に成るまで日を当てて育てますと,
葉触りが硬く,苦味も強くなります。
高冷地において作られることが多いのは春蒔き栽培,一般の平坦地において作られる
ことが多いのは夏蒔き秋採り栽培,暖地においては秋蒔き冬採りが多い。主な産地は千
葉,静岡,長野で,出回り時期は10〜3月です。
園芸的にはエンダイブと云いますが,調理業界においてはシコレと呼ばれます。同属
のチコリ(アンディーブ)と混同されやすい。フランスでは広葉種のエンダイブをエスカロ
ールと呼び分けています。わが国の市場においては,アメリカから入ったと云うことも
あり,メリケンサラダと呼ばれることもあります。
△食べ方と効能
エンダイブは11〜3月頃まで出回りますが,旬は12〜1月で,冬から春にかけては野
菜の少ない時期ですので,上手に利用したい葉野菜です。
茎の白い部分が多く,葉が細かく縮れているものが柔らかくて味もソフトです。緑が
濃過ぎるものは収穫期が過ぎたもので,硬くて苦い。また葉先が黒くなっているものは
鮮度が落ちています。苦味が特徴の野菜ですが,あまり苦過ぎるとサラダなど生で食べ
る料理には適しません。
利用しやすい料理は,何と云ってもサラダで,緑が浅く柔らかな部分を選び,手でち
ぎって使います。レタスよりシャキッとした葉触りと特有の苦味が楽しめます。マヨネーズ
など酷コクのあるソースで和えるか,ドレッシングなら胡椒の辛味を抑え,砂糖を加えて
ソフトな味にすると良く合います。煮込み用の品種もあり,スープ煮にしたり,肉や他
の野菜と合わせて煮物にも利用できますが,苦味が気になるときは砂糖を少し加えると
中和されます。またベーコンなど癖クセのある素材と炒め合わせても美味しい。
栄養的にはビタミンA効力のあるカロチン,鉄分が豊富です。
◎チコリ(アンディーブとも)
和名:菊苦菜キクニガナ キク科 原産地:地中海沿岸,中央アジア,シベリア南部
プロフィール:チコリの野生種は地中海沿岸を中心とするヨーロッパに広く分布し,
フランスにおいては早くから栽培しています。
わが国には江戸時代末期に入りましたが,独特の苦味を嫌ってか普及せず,最近にな
って広がりました。
チコリの葉色が乳白色をしているの,軟白栽培されるためです。これはベルギーにお
いて考案された栽培方法で,畑で育てた根株を掘り採り,一旦低温貯蔵してから,順次
軟化床に植え替えて新芽を出させる栽培法です。光を当てずに育てるために,白く柔ら
かいものが出来ます。
葉を一枚ずつ剥いで,サラダにしたり,オードブルの受け皿として利用するほか,煮
物や炒め物ね蒸し物などにも使います。また根を刻んで粉末にして乾燥したものが飲料
用にも利用され,また代用コーヒーとしても知られています。フランスやドイツにおい
ては,コーヒーに混ぜ込んで苦味付けにすることもあります。
△食べ方と効能
チコリの旬は冬から春先にかけてですが,輸入品は年中出回っています。太くて艶が
あり,傷のないもの,緑色に変色していないものが良質です。葉先まで瑞々しく,萎れ
ていないこと,巻きがしっかりしていること,張りがあることが鮮度の条件です。
特有の仄かな苦味と,シャキッとした歯触りを楽しむ野菜です。生のままサラダにするの
が一般的で,十分に冷やしてシンプルな味のドレッシングと合わせるのがポイントです。
また,葉を一枚ずつ剥がしてボート(小舟)に見立て,キャビアやトマトの微塵切り,
クリームチーズや,茹で卵をマヨネーズで和えたものなどを載せますと,一寸したオー
ドブルにもなります。
加熱しても美味しいが,加熱すると独特の苦味が増すので,クリーム煮やグラタンな
ど酷コクのあるソースと合わせて下さい。グラタンにするときはブイヨンで下煮をしてか
ら焼くと旨味が増します。フランスにおいては煮物にすることが多く,ドイツにおいて
は根の部分を乾燥させて焙煎,粉砕したものをコーヒーの代用品にしたり,料理の苦味
付けに使用しています。
栄養的には,食物繊維以外にこれと云った価値はありません。
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