02f 野菜「葉菜類−葉」
 
◎ホウレンソウ 菠薐草・菠菜草・法蓮草・鳳蓮草
 和名:唐菜カラナ,赤根菜アカネナ アカザ科 原産地:西アジア
 プロフィール:ホウレンソウは,ペルシャ(現在のイラン)では可成り古くから栽培
されており,これが回教徒の聖地巡礼によって東西に広がったと云われています。中国
には唐代にネパールから伝えられたらしい。7世紀には栽培が始まっていますが,シル
クロードを通じて華北へと伝わるうちに品種が分化し,剣葉の東洋種が生まれました。
ヨーロッパにはアフリカを経由して伝わったため,スペインには11世紀,英仏には16世
紀からと,歴史は割合浅い。特にオランダにおいて改良が進み,西洋種が成立しました。
 わが国に最初に入ったのは東洋種で,16世紀中頃に中国から長崎に伝えられました。
西洋種が入ったのは1860年代の江戸時代末期で,フランスから導入されています。明治
時代までは高級野菜として扱われており,一般に普及したのは大正時代中期からです。
本格的に栽培が始まったのは昭和以降で,昭和40年代から栽培量が急増し,すっかりお
馴染みの野菜となりました。最近は西洋種若しくは東西の利点を活かした病気にも強い
交配種が主流で,純東洋種は殆ど出回っていません。
 
 △ホウレンソウの主な品種
 @禹城ウジョウ:東洋種の中の一品種,秋蒔き種で冬場が旬です。現在は西洋種との交雑
  種を作るための東洋種側の親品種として利用されています。西洋種よりアクが少な
  い。
 A山形赤根ヤマガタアカネ:東洋種の中の一品種,株元が鮮紅色で,葉は深い切れ込みが入
  る剣葉型です。
 Bビロフレイ:西洋種の一品種,ヨーロッパにおいて成立した春蒔き種で,葉柄が短
  く,葉は丸い肉厚です。東洋種より保ちは良いが,アクが強くお浸しには向きませ
  ん。薹トウ立ちはしにくい。
 C東洋種と西洋種を交配したもので,主流は一代雑種(F1)のものです。多くの品種
  があり,ほぼ周年出回りますが,盛夏の出荷量は少ない。
 
 △食べ方と効能
 ホウレンソウの旬は冬から春先にかけてです。葉が大きくて瑞々しく,ピンと張りがあ
るもの,緑色が鮮やかで,黄ばみや萎れがないものを選んで下さい。茎が太いものは育
ち過ぎで,葉も硬くアクも強い。葉の表面から水分がドンドン蒸発するので,乾燥には注
意して下さい。濡らした新聞紙に包んでビニール袋に入れて冷蔵庫へ入れて下さい。な
お根を下にして立てて置くと長持ちします。
 アクが強いのはシュウ酸が含まれているためで,そのため茹でてアクを抜いてから料
理します。ただし,茹で過ぎると折角豊富に含まれている栄養素が流出しますので,短
時間に一気に茹でて下さい。タップリの熱湯に塩を加え,茎から入れて次に葉を沈めます。
蓋をしないで強火で茹で,水に晒して急激に冷まし,水気を十分に絞ります。
 最近出回っているサラダホウレンソウは,アクも少なく,生食出来ます。サラダ油で
ベーコンを炒め,塩胡椒して,厚いドレッシングを掛けます。
 カロチン,ビタミンB1・B2・C,蛋白質,鉄,葉酸,カルシウム,ヨードなど,いろ
いろな栄養素をバランス良く含みます。カロチンは油と一緒に摂ると吸収が良いので,
バターソテーや炒め物などは,理に適った食べ方と云えます。また鉄分が多いので,女
性は積極的に食べたい野菜です。
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