12a 和菓子の用語
[さ]
棹ものサオモノ ○棹ものとは,羊羹や琥珀羹,外郎などの,細長く棒状に固めた菓子の総
称で,流し物とも云います。
上新粉ジョウシンコ 上新粉は粳米を水洗いし,乾燥させて粉にしたもので,団子や草餅,柏
餅に用います。これより細かく砕いたものが上用粉で,薯蕷饅頭や蒸し菓子に用いま
す。
上生ジョウナマ 上生とは,上等な生菓子のことで,関西地方では上菓子,京都では京菓子
とも云います。練りきりや羊羹,薯蕷饅頭,求肥などを指し,日持ちしませんので,
大抵は作りたてを食べることを基本とします。
薯蕷ジョウヨ ○薯蕷とは,つくね芋や大和芋の名で呼ばれる,粘りの強い山芋のことで,
摺り卸して饅頭皮や餡の繋ぎに用いられます。薯蕷饅頭を,当て字を使って上用饅頭
と書くこともあります。
上用粉ジョウヨウコ ○粳米を乾燥させて粉にしたものを上新粉と呼び,しんこや団子,餅菓
子に用いますが,これをより細かくしたのが上用粉です。
白玉粉シラタマコ 白玉粉とは,水の浸した糯米を石臼で挽いてから乾燥させたもので,寒晒
し粉とも云います。求肥などに用いられます。
白餡シロアン 白餡とは,軟らかく煮た白小豆や白隠元で練り上げた餡で,そのまま,又は
着色して黄味餡や味噌餡の基ベースとしたり,きんとんなどに多用します。
しんこ ○しんことは,上新粉を水で捏ねて蒸すか茹で,臼で搗いた餅で,棒状にして
捻った形が多く,唐菓子の中の索餅サクヘイが原型と云われます。街道や門前の名物菓子
として各地に見られますが,祭や縁日には,しんこの細工菓子が人気を博しました。
州浜スハマ ○州浜の原料は大豆と青豆で,炒った大豆を粉にしたものが州浜粉となります
が,黄粉キナコよりも炒りが浅い独特の精製によるものです。州浜は州浜粉に砂糖と飴を
加えて練り,よく捏ねて,半割の青竹3本を使って固めた菓子です。切り口が有職ユウ
ソク州浜台に似ているため,この名が生まれ,目出度い菓子として評判を得ました。
[た]
大徳寺納豆ダイトクジナットウ ○大徳寺納豆は口中を爽やかにさせるとして,禅宗と共に大陸
から伝えられた食品です。京都大徳寺において多く作られていたためこの名で知られ
ます。発酵させた大豆を塩水に漬け,天火干ししした,乾燥納豆のような姿で,辛味
噌を凝縮したような独特の風味を持ちます。
丹波糸寒天タンバイトカンテン ○寒天とは,寒晒しの心太トコロテンの略称です。心太を寒中の冷気
に晒して凍らせ,乾燥させますと,軽く白い,保存の効く食料となります。この加工
法が生み出されたのは江戸時代万治マンジ年間(1658〜61)と云われ,寒天を用いるこ
とによって和菓子の製法は格段の発達を遂げました。昼夜の寒暖の差が激しく,風の
強い丹波では,この風を利用して細く良質の寒天を作り,丹波糸寒天の名で重用され
ます。
丹波栗タンバグリ ○丹波地方,殊に船井郡和知ワチ辺りは,古代より栗の名産地として名高
い。昼夜の寒暖の差の大きさが,実が大きく甘く粘着性の高い良質の栗を育むためで,
この地に早くより伝えられた接木の技術と,完熟して自然に落ちた栗だけを拾う収穫
法とも相俟って,栗の王者と云われる品質を保っています。
丹波大納言小豆タンバダイナゴンアズキ ○小豆は餡の原料となり,和菓子の主役として最も需
要の多いものです。粒の大きい順に大納言・中納言・少納言と,平安時代の官職名で
呼ばれています。丹波大納言は,皮が軟らかいのにハラキリ(皮が破れること)がな
く,風味,光沢が良いことで最高級と云われ,上菓子作りには欠かせません。
粽チマキ ○丹後の節句に欠かせない粽は,元は笹の葉でなく茅萱チガヤの葉で卷いたことか
らの名です。茅萱は菖蒲と同じく,魔除け・疫病除けの効果があると云われます。
中生チュウナマ 中生は,朝生に対して日持ちのするお菓子です。蒸し菓子や焼き菓子などが
あります。
つぶ餡(つぶし餡とも) つぶ餡は,小豆を軟らかく茹でて水に晒し,砂糖と水で作っ
た砂糖蜜に加え,煮詰めては小豆を戻し,を繰り返して,最後に練り上げたものです。
小豆の皮を付けたままなので,豆特有の風味が生きています。
糖芸菓子トウゲイガシ = 工芸菓子 ○糖芸菓子とは,生砂糖を中心に,本物と違わぬ姿を
菓子によって表現した飾り菓子です。平安時代からの伝統の技が受け継がれ,京菓子
技術の最高峰とも云われます。
道明寺粉ドウミョウジコ ○道明寺は,蒸した糯米を乾燥させた干し飯イイで,河内の道明寺に
おいて1000年余り昔から作られていた名物です。保存食や軍の携帯食として重用され
たものですが,近世に至りこれを荒挽き粉として,和菓子の原料に用いられるように
なりました。関西風の桜餅や椿餅などに用いられます。
[な]
中餡ナカアン 中餡とは,饅頭や焼き菓子などの中に入れる餡のことです。練りきりの中に
入れる餡は,中綿と云うこともあります。
並餡ナミアン 煮上げた豆を漉して皮を除いて絞った,砂糖を加える前の状態を生餡と云い,
生餡の6割の砂糖を加えたものを並餡と云います。
練りきり 練りきりとは,白餡に求肥,水飴を加えて練り上げたものです。様々な形に
作ったり,着色が自在なことから種類も多いが,細やかな細工を施すため,1個ずつ
手作りされます。茶席での主菓子の代表格で,関西地方では「こなし」とも云います。
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