31c 川魚料理の四季
 
ヘラブナ
 ※ヘラブナは,琵琶湖淀川水系原産のゲンゴロウブナを養殖改良した品種で,ゲーム
  フィッシングとして楽しむ魚ですので,食べたりしません。
 形態:最大全長40p。キンブナなどに比べて目はやや下方に位置し,体高が高く,鰓
  耙サイハ数が著しく多いです。
 生態:日本各地の湖沼,河川の淀みに棲みます。中層を群れを為して泳ぎ回りながら,
  植物プランクトンを多数の鰓耙で濾し採って食べます。産卵期は4〜7月,別名カ
  ワチブナともいいます。
 
マブナ・フナ
 ※マブナとは,関東でのギンブナの別称です。
 形態:最大全長30p。ゲンゴロウブナに次いで体高が高く,鰓耙数は45〜57枚です。
 生態:日本を含む東アジアの温帯部全域に分布します。雄の数が極めて少なく,特に
  関東では殆ど見られません。関東系ギンブナの場合,他のコイ科魚類の精子に刺激
  されて卵が発生を始めるといわれています。「雌性発生」によって世代交代してい
  るものと考えられます。雑食性で,産卵期は3〜6月です。
 近縁の魚:キンブナは最大全長16pと小型で,体高が低く,背鰭基底が短く,関東以
  北に分布します。
   ナガブナは最大全長25p。諏訪湖に多いアカブナはこれです。
   ニゴロブナは最大全長40p。体高は低く,目は体のやや下方に位置します。琵琶
  湖特産で岸から離れた底層近くを泳ぎ回っています。
 調理:綺麗に水洗いし,あまり大きくなければ鱗は取らず,また内蔵も無理には取り
  ません。生食は避けて下さい。
   白焼きにして甘露煮とし,番茶で煮て下さい。
 
モツゴ
 形態:最大全長10p。口は小さくやや尖った吻端にあり,下顎が上顎よりも突き出て
  おり,口髭はありません。体側中央に1縦帯のあるものもいます。普通体色は銀灰
  色ですが,産卵期の雄は紫黒色となり口辺に追星を生じます。
 生態:天然分布は関東以西の本州,四国,九州ですが,現在では移殖されて日本各地
  で見られます。平野部の池沼,小川などに棲み,雑食性で付着藻類や動物プランク
  トンを食べています。産卵期は3〜8月です。イシモロコ(琵琶湖),クチボソ(
  東京)とも呼ばれています。
 調理:すずめ焼きなどにして食べます。
 
ヤマメ
 ※ヤマメは淡水で一生を過ごす河川型で,降海型はサクラマスと呼ばれます。
 形態:最大全長30p。一生を通じて体側のパーマークに消失しません。
   サクラマスは最大全長60p。海へ下りますとパーマークは消えて,銀白色になり
  ます。
 生態:天然分布は北海道,本州,九州,台湾で,イワナよりもやや下手の河川上流域
  (北海道では下流域)の棲みます。餌は主に昆虫類で,小魚やカニなども食べます。
  産卵期は9〜10月,サクラマスは産卵後死にますが,ヤマメは死なないで数年に亘
  って産卵します。
   ヤマベ(北海道,東北),エノハ(九州)とも呼ばれます。
 調理:内蔵は不味いので食べませんので,取り除きます。
   味噌焼きはそのままの棒焼きで,白焼きし,味噌を塗ってさっと炙って乾かして
  食べます。
   味醂干しは腹開きし,1時間塩をし,味醂2・醤油1に合わせた中に30分浸けま
  す。一夜干しにしてさっと焼き,味醂を一度塗って照りを出します。
   木の芽焼きは糞を出して登り串を打ち,薄塩にして焼き,木の芽をまぶして,木
  の芽酢又は塩酢で食べます。
 
ライギョ
 ※タイワンドジョウとカムルチーの総称で,タイワンドジョウは今では姫路付近の池
  にしか生息していないため,普通目に触れるのはカムルチーです。
 形態:最大全長85p。体側の斑紋は2列。頭部だけでなく模様や鱗までがヘビを連想
  させます。
 生態:原産地はアジア大陸東部で,日本へは1923年に朝鮮半島から移殖され,現在本
  州以南の各地に分布します。極めて貪食で,魚,甲殻類,カエルなどを捕らえて丸
  呑みにします。6〜7月頃,水面に産卵床を作って産卵し,親魚は卵と稚魚を保護
  する習性があります。空気呼吸を行います。
 近縁の魚:タイワンドジョウは体側の暗斑が3列に並び,1906年に関西へ移殖されま
  した。
 調理:身はしっかりした美味しい魚です。寄生虫がいますので生では食べません。
   天ぷら,フライ,エスカベーシュ,中華風煮つけなどにして食べます。
 
レンギョ
 ※ハクレンとコクレンを合わせてこのように呼びます。
 形態:ハクレンは体が銀白色で咽喉部から肛門にかけての腹面に隆起線があります。
  コクレンの場合,隆起線は前端が腹鰭までしかなく,体色もやや黒ずんでいます。
  ともに最大全長1mに達します。
 生態:どちらもアジア大陸東部原産で日本へはソウギョとともに移殖され,1947年頃
  利根川水系での繁殖が確認されました。餌はコクレンが動物及び植物プランクトン,
  ハクレンが植物プランクトンです。別名シタメともいいます。
 調理:ソウギョなどと同様,フライ,中華風煮つけなどにします。
 
ワカサギ
 形態:最大全長15p。普通上顎の長さは頭長の38%以上で,その後端は目の中心の真
  下で終わります。腹鰭起点は背鰭起点の真下かやや前方にあります。
 生態:天然分布は本州北部,北海道ですが,現在では移殖によって,諏訪湖,中禅寺
  湖,芦ノ湖,山中湖,霞ヶ浦など日本各地の湖沼に分布しています。淡水型,気水
  型,降海型の三つのタイプがあります。主な餌はプランクトンで,産卵期は冬から
  春で,孵化した幼魚は約1年で成熟します。
   地方名はサギ(水戸),コワカ(福島県小名浜),メソグリ(北陸)などです。
 近縁の魚:本邦では石狩古川からのみ知られていますイシカリワカサギは,上顎長が
  頭長の35%以下で,吻長がワカサギよりも短いことから見分けられます。
   海産のチカもよく似ていますが,腹鰭起点が背鰭起点の真下よりも後方にあるこ
  とで識別できます。
 調理:10pのものが最も手頃な大きさです。普通鱗は落とし,必要により内蔵も取り
  除きます。天ぷら,フライ,から揚げ,フリッターや,揚げてから南蛮漬け,エス
  カベーシュなど,骨まで食べます。
   天ぷらは鱗を落とし,内蔵をつけたまま,堅めの衣につけて160度位で揚げます。
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