11 そのまた小さなコドモ達〈キノコ・カビとは〉
 
        そのまた小さなコドモ達〈キノコ・カビとは〉
 
               参考 「キノコ・カビの生態と観察」築地書館発行
 
〈キノコ・カビ・コウボは菌類の別名〉
 キノコ・カビ・コウボ(酵母)のことを菌類と読んでいます。キノコ・カビ・コウボ
という言葉が分かりやすいですので,菌類という言葉の代わりによく使われます。しか
し,この言葉は顕花植物を草・木と呼ぶのと同じであって,生物を分類する立場からみ
ると具合の悪い言葉です。人によっては,キノコ・カビ・コウボのほかに,変形菌を加
えて菌類と呼びます。さらに放線菌を含む細菌(バクテリア)を加えて菌類と呼ぶ人も
います。
 このように菌類という言葉を広い意味に用いるときには,キノコ・カビ・コウボだけ
について真菌類という言葉が使われます。本稿では,菌類,ときに菌という言葉を用い
ますが,この言葉はキノコ・カビ・コウボだけを意味することにします。
 ところで,キノコは××タケ,カビは○○カビと呼ばれる種類が多いので,××タケ
といえばキノコであり,○○カビといえばカビでしょうと考えがちです。例えば,イワ
タケという植物やハナタケ(鼻茸)という人間の病気があります。イワタケは,山の岩
場に生え,大きな葉状体をつくり,食品として珍重されます。この植物は菌類と緑藻と
の共生体で,地衣類の一員です。また,ハナタケは,人間の鼻孔の内にキノコ状の肉質
物が伸びてくる病気で,これは菌類とは全く関係がありません。また,カビと呼ばれる
生物にも,ムラサキホコリカビのように変形菌の仲間に付けられた名前があります。
 一方,まさしく菌類なのに,ほかの生物のような名前の付いたものがあります。たと
えば,ミズムシや冬虫夏草トウチュウカソウです。ミズムシは人間の足の裏などに寄生してかゆ
い病気を起こします。病原はカビとコウボの中間のような性質を持つ菌類です。冬虫夏
草は昆虫やクモや,ほかのキノコから生えるキノコです。この菌は,冬の間は虫の姿を
していますが,夏には植物に生まれ変わると,その昔,中国で信じられて,この名前が
付いたといわれています。
  
               参考 「キノコ・カビの生態と観察」築地書館発行

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