02 森の中の可愛いコビト軍団〈キノコとは〉
森の中の可愛いコビト軍団〈キノコとは〉
コケは,岩にぴったり寄り添って静的な生活を営んでい
ますが,キノコは,森の中の環境に敏感に反応して時々刻
々と生長活動する動的な生物です。
人間と,自然界とのインフォメーション役,すなわち縁
結び役を担っているのが,キノコなのです。
本稿では,家の光協会発行「きのこ 見分け方 食べ方
」を参考に,森の中の可愛いコビト軍団こと「キノコ」に
的をあててみました。 SYSOP
〈キノコとは(生態・分類・特徴など)〉
昔から私どもは,生物界を植物と動物の二つに分け,キノコは植物の一部門と安易に
捉えてしまい,自然界で有機物を無機物に還元する大事な役割を果たす菌類の全体像を,
ともすれば見落としていました。野生を舞台に営まれる物質の循環とは,次のような仕
組みによって成り立っています。
まず生産者である植物は,太陽エネルギーを活用し,光合成によって有機物を生産・
蓄積します。一方動物は,植物自体あるいは草食動物や鳥類を餌とする消費者として位
置づけられ,他方菌類(キノコ)は,動物や植物の諸々の遺体を無機物(土)に還元す
る分解者であり,この三者が遅滞なく循環してはじめて,地球上の生態系の繁栄とバラ
ンスが保たれることになります。そこで現代の生物学では,動物と植物から菌類を独立
して,新たに三界(五界とする扱いもあります)とするのが常識となっています。
キノコとは,葉緑素を持たない広義の菌類の中で,肉眼的な大形の子実体(キノコ)
をつくるものをいい,一般にキノコあるいは高等菌類と呼んでいます。この本体は,栄
養源となる腐植土や落ち葉又は枯れ木の組織の中に伸びています。顕微鏡的,微細な糸
状の菌糸から成り立ち,菌糸は葉緑素を持たないため,自分で栄養を生産する能力がな
く,専ら他力本願の寄生生活か,腐生生活を営み,やがて菌糸が成熟すると,繁殖に必
要な粒子(種子)を生産するために子実体(生殖器官)と呼ばれるキノコを形成します。
そこでこれを葉緑植物に例えてみますと,「菌類」は葉であり,茎や根に相当し,「キ
ノコ」は花であり,果実に相当します。なおキノコは胞子のつくり方で次の二つの分類
群に大別されます(別の分類ではキノコをつくりません)。担子菌類と子のう菌類がそ
れです。
〈担子菌類〉
この仲間を代表するハラタケ類で例を示しますと,胞子形成の機構は,ちょうど手の
ひらを広げたような担子器と呼ぶ4本(まれに2本)の小柄(突起)のある細胞の先端
に4個の担子胞子を生じ,担子器は傘の裏面にできるヒダ(ラッシアやアミヒカリタケ
では管孔)の表面に形成します。普通キノコ狩りの対象となるキノコの大部分がこの仲
間で,担子菌類はさらに次の六つの目に大きく分類されます。
△ハラタケ目:ハラタケ,シメジ,マツタケ,ヒラタケ,ハツタケ,ヌメリイグチ
△ヒダナシ目:ホウキタケ,アイズタケ,コウタケ,ハナビラタケ,サルノコシカケ
△フクキン(腹菌)目:ホコリタケ,スッポンタケ,キヌガサタケ,ショウロ
△キクラゲ目:キクラゲ,アミキクラゲ,ヒダキクラゲ,カミキクラゲ
△シロキクラゲ目:シロキクラゲ,クズノタマ,ハナビラニカワタケ,ヒメキクラゲ
△アカキクラゲ目:アカキクラゲ,ニカワホウキタケ,ツノタマタケ
〈子のう菌類〉
子のうと呼ばれる細長いか,球形,袋状の細胞の中に8個の子のう胞子を生じ,子の
うは,担子菌よりも複雑に分化するキノコ頭部(結実部)か,椀の内部に形成します。
この仲間も次の六つの目に大別分類されます。
△チャワンタケ目:チャワンタケ,ノボリリュウ,アミガサタケ,テンガイカブリ
△ビョウタケ目:テングノメシガイ,ズキンタケ,ホテイタケ,ヘラタケ,ゴムタケ
△バツカクキン目:バッカク,カエンタケ,タケリタケ,冬虫夏草トウチュウカソウのセミタ
ケほか
△セイヨウショウロ目:クルミタケ,クルミタケモドキ,ツチダンゴ
△タマカビ目:マメザヤタケ,ハマキタケ,シイノミタケ,アカコブタケ
△ホネタケ目:ホネタケ(オニゲナ),マユハキタケ,エダウチホコリタケモドキ
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