05b 森林の土を掌に〈土壌の調べ方 その2〉
 
 ・・化学沈澱岩
 化学沈澱岩は,水中に溶解していた物質が化学的あるいは生化学的に沈澱してできた
岩石で,生物岩は生物の遺骸並びに生物が生成したものが集まってできたものです。こ
れらに属するものとしてはチャートと炭酸塩岩が一般によく知られています。
 チャートはほとんど珪酸からなるち密な岩石で,中生層や古生層中に産します。大部
分のチャートは,放散虫や海綿骨針などの珪質遺骸からなる生物岩ですが,なかには海
水中の珪酸が化学的あるいは生化学的に沈澱してできた化学沈澱岩のものもあります。
 炭酸塩岩は,炭酸塩鉱物を50%以上含む堆積岩のことで,石灰岩や苦灰岩などです。
石灰岩には,炭酸石灰質の生物の遺骸からなるものと,化学的沈澱によってできたもの
と二つがあり,いずれも方解石CaCO3を主成分としています。
 苦灰岩は白雲岩とも呼ばれ,主として苦灰石CaMg(CO3)2からなる岩石です。大
部分の苦灰岩は,石灰中のCaCO3がCaMg(CO3)2によって置換される苦灰石化作
用で生成されたものですが,石灰岩と苦灰岩の間には両者の中間的な組成をもつ岩石が
連続的に存在します。
 
       石灰岩と苦灰岩の分類
 
  構成鉱物%            岩石名
 
  方解石95%以上(苦灰石5%以下) 石灰岩
  方解石95〜50%(苦灰石5〜50%) 苦灰石質石灰岩
  苦灰石50〜80%(方解石50〜20%) 方解石質苦灰岩
  苦灰石80%以上(方解石20%以下) 苦灰岩
 
 ・変成岩
 変成岩は,既存の堆積岩や火成岩が高温や高圧など,それらができたときとは異なっ
た外的条件の下で,構成鉱物が新しく結晶しなおしたり,別の種類の鉱物になったりす
る再結晶作用などにより,その鉱物組成や鉱物同志の組み合わせや並び方(組織)に変
化をきたしたものです。
 ・・接触変成岩
 接触変成岩(熱変成岩)は,主として既存の岩石中に貫入したマグマの高熱により,
その周囲の岩石に再結晶作用が起こってできたもので,このような作用は接触変成(熱
変成)作用と呼ばれています。
 泥岩や頁岩から変わってできたホルンフェルスや,石灰岩から変成した大理石,アル
コース的な砂質岩からできた珪岩,粘板岩が軽微な接触変成作用を受けた点紋粘板岩な
どがその例です。
 ・・広域変成岩
 広域変成岩(動力熱変成岩)は,既存の岩石が褶曲シュウキョクなどの構造運動による強い
圧力と,同時に発生する高熱の作用とによって変成したもので,岩石中の鉱物が再結晶
する際に,板状ないし棒状となって圧力に垂直な方向に並んで成長するため,その方向
に面構造いわゆる片状構造ができ,片理にそって剥離性が認められるのが特徴です。
 再結晶による結晶片岩は,その色によってさらに,炭質物を含む泥岩から変成した墨
が多いので黒く見える黒色片岩,変成温度がさらに高くなり黒雲母の再結晶が進んだ黒
雲母片岩,苦鉄質凝灰岩など塩基性〜中性火山噴出物の変成したもので角閃石や緑泥石
のために緑石に見える緑色片岩,砂岩に由来する砂質変岩,チャートなどの珪質岩起源
の石英片岩,及び石灰質岩起源の石灰片岩などに分けられます。
 ・・変位変成岩
 変位変成岩(動力変成岩)は,断層運動などによる圧砕作用で既存の岩石中の鉱物が
すりつぶされてできる変成岩で,肉眼でも認められる不鮮明な狭い縞状構造をもった細
粒ち密な岩石です。このようにして生成された岩石は圧砕岩と呼ばれ,一般に大規模な
断層に沿って分布しています。
 
 △植生
 木本や草本などの植生は,他の生成因子とは大きく異なり,落葉,落枝などの有機物
を供給するなどして土壌生成に参加すると同時に,逆にその種組成や構造が土壌の性質
に大きく影響されるなど,植生は土壌と互いに影響を及ぼしあいながら共に変化してい
くという特徴があります。
 植生調査は,試孔点を中心として10m四方の正方形を区画し,高木階,亜高木階,低
木階,草本階及び地表階に分け,それぞれの構成種を調べ,次いで高木及び亜高木階に
ついては,樹高及び胸高直径を測定し,それらの成長状態を明らかにします。
 
  優先度  植物体が地表を覆う割合   個体数
 
  5    3/4以上           任意
  4    1/2〜3/4          〃
  3    1/4〜1/2          〃
  2 (1)   1/20〜1/4          〃
        (2)   1/20未満                    非常に多数
  1  (1)   1/20未満で比較的大型    比較的少数
    (2)   1/20未満で比較的小型    比較的多数
       非常に少          非常に少数
 
             参考 「森林土壌の調べ方とその性質」林野弘済会発行

[次へ進む] [バック]