50a 資源植物〈資源植物学研究方法への誘い2〉
B総合植物園
総合植物園のなかで世界三大植物園と数えられるのは,イギリスの王立キュー植物園,
アメリカのニューヨーク植物園,ドイツのベルリン・ダーレム植物園です。
A ニューヨーク植物園
研究部門はアメリカ部,アジア部,標本庫,実験所,図書館からなり,熱帯植物
の研究に力を注いでいます。
B 王立キュー植物園
植物の情報源は世界中ですが,インド亜大陸,マレーシア,オーストラリア,中
国大陸,熱帯アフリカを中心とした旧イギリス植民地の情報が抜群です。
C パリ植物園と自然史科学博物館
植物の情報源として自然史科学博物館の植物標本庫は全世界から,なかでも中国
大陸,東南アジアの植物標本の収集は優れています。
D ベルリン・ダーレム植物園
情報源は南太平洋諸島,パプア・ニューギニア,東アフリカに優れています。
E レニングラード植物園
アジア,南アメリカ,極東地方の植物標本が優れています。
F インド国立植物研究所
油科植物,スパイス植物,薬用植物に特に優れています。
G カルカッタ植物園(インド)
インド亜大陸,東南アジアの植物が中心で,このほかヤシ,タケ,タコノキ類の
コレクションが優れています。
H ペラデニア植物園(スリランカ)
木本性の資源植物が卓越し,このほかタケ類,ヤシ類,裸子植物,ランや熱帯花
木類などが多いです。
I シンガポール植物園
マライ半島,インドネシア地区の植物のほか,ヤシ類,有用木本類,タケ類が豊
富です。
J ボゴール植物園(インドネシア)
東南アジアからインドネシア地域にわたっての有用植物のコレクションが優れて
います。
K メルボルン植物園など
主としてオーストラリアの植物で,特にアカシア類,ユーカリ類,カシ類などの
樹木,多肉植物が豊富です。
L リオ・デ・ジャネイロ植物園
ブラジルを中心とした有用植物がよく集められ,特にサトイモ科,ヤシ科植物と
薬用植物の収集に力を入れています。
C特殊植物園
特殊植物園には樹木を集めた樹木園,薬用植物を植えた薬草園,観賞用植物中心の園
芸植物園,樹木や観賞花卉類を集めた見本園,理科教育用の教材植物中心の教育園など
様々あります。
A 米国国立樹木園
ツバキ属,ムクゲ属,サクラ属,モクレン属,サルスベリ属,モチノキ属,リン
ゴ属,ガマズミ属,ツツジ属などのコレクションが優れています。
B ハーバード大学付属アーノルド樹木園
中国の樹木の生植物のコレクションに優れ,リンゴ属,レンギョウ属,ハシドイ
属,ボケ属,スイカズラ属,ツツジ属,カバノキ属,カシ属,裸子植物などを収
集しています。
C ブラジル・パラ博物館
アマゾン盆地産の樹種を栽培しています。
D マレーシア・ケポン林業研究所
フタバガキ科の植物の優秀なコレクションがあります。
E フィリピン・マキリン植物園
ヤシ類のコレクションが特に優れています。
D農業研究所
主要作物について,作物自体の各品種,その起原種とその関連種について遺伝子源を
集め保存している研究機関に農業研究所があります。
A 国際稲研究所(フィリピン)
イネ属の野生種,栽培品種の系統保存をしており,種子の冷凍貯蔵庫も持ってい
ます。
B 国際トウモロコシ。コムギ改良センター(メキシコ)
トウモロコシ,コムギ,オオムギ,ライコムギの品種改良研究を行っています。
C 国際ジャガイモセンター(ペルー)
ジャガイモの種イモ生産技術に関する研究などをしています。
D 国際半乾燥熱帯作物研究所(インド)
モロコシ類,ピジョンピー,チックピーなどの豆類,パールミレット,ナンキン
マメ,ヒユなど半乾燥地に適した農作物の遺伝子源収集,育種研究,水管理など
の農法の研究を進めています。
E 国際熱帯農業研究所(アフリカ)
豆類,サツマイモ,ヤマノイモ類,トウモロコシ,キャッサバ,陸稲などの研究
を行っています。
F アジア蔬菜研究発展センター(台湾)
トマト,ダイズ,マングビーン(緑豆),サツマイモ,広義のハクサイについて
育種を中心とした手広い農業研究をしています。
G 台湾糖業研究所
サトウキビの農業研究,植物学的研究,育種開発では世界をリードしています。
H スリランカのゴム研究所
パラゴムの遺伝子を集め,特に耐病性・多収性の品種の開発を進めています。
I スリランカの茶研究所
アッサムチャの遺伝子を集め,紅茶用のチャの育種や栽培法を中心に研究してい
ます。
J タイのチーク改良センター
インド,タイ,インドネシアにわたるチークの分布域全域から集められたチーク
に関する大きな遺伝子源の林を保持し,チークの優良品種の開発,増殖を行って
います。
[次へ進んで下さい]