03 米代川の野鳥〈水辺の鳥〉
 
                  参考:無明舎出版発行「米代川の野鳥」
 
                    本稿は、無明舎出版発行明石良蔵著写真集
                   「米代川の野鳥」を参考にさせていただきま
                   した。
                    米代川は、鹿角から北緯をおおむね等しく
                   して、西の方の能代海岸へ流れています。従
                   って、本稿で採り上げた鳥類のほとんどは、
                   鹿角でも見られるものと思います。
                    前掲「02鹿角を飛び交う野鳥たち」とも併
                   せて、バードウォッチングの際にご活用下さ
                   い。               SYSOP
 
〈水辺の鳥〉
 
ハクセキレイ
 水辺にいるセキレイの仲間は、どの種類もスマートで清楚な鳥です。ハクセキレイは、
 餌場などをめぐってセグロセキレイと競合することが多い。水辺の良い所はセグロセ
 キレイの方が優占する傾向が強いので、ハクセキレイは川原から離れて住宅地等に棲
 み家を拡大しています。地鳴きはチュチュン、チュチュン。
 
セグロセキレイ
 雪国の川縁カワベリの氷結が止む頃になると、水際をいろいろな野鳥が訪れる。ジェー
 ン、ジェーンとやや濁った声で鳴きながら大きい波形を描いてやって来るのはセグロ
 セキレイです。上面黒、下面白のツートンカラーのこの鳥は、早春の水際を忙しく歩
 いて餌を探し、時々小石の上に乗って鳴き始めます。
 
タゲリ
 春3月、米代川の南側に広がる田園地帯の雪が解け、何箇所かに黒い土が見え出すと、
 其処ソコに毎年決まっているかのように、北へ帰る途中のタゲリが4、5羽降りて休息
 しています。近付くとミューと子猫のように鳴いてヒラヒラと舞い上がります。
 
シノリガモ
 シノリガモは、ブナ林の生える北国の山奥の清冽な渓流に繁殖することがあります。
 雄はサイケ調の大変派手な配色ですが、渓流に入ると、白い波飛沫ナミシブキと大きな岩
 肌の色に融け合って、迷彩色になるのです。
 
イソシギ
 春の川原は、野の花と野鳥の鳴き声の賑わいで漸ヨウヤく生き生きして来ます。イソシギ
 は、ヒリリ・・・・・・と鳴き、翼を小刻みに震わせながら川面を渡ります。子育て中の親
 鳥は、ピイーッ、ピイーッと警戒音を発します。鳴き声はツィリーリー。
 シギやチドリの子供たちも、川原で元気溌剌ハツラツです。
 
コヨシキリ
 水辺にヨシ(葦アシ)原が広がっていると、多種多様な生き物が生育出来ます。枯ヨシ
 群落からカサカサと云う葉音に混じって、キョシキョシという微かな小鳥の声が聞こ
 えて来ます。そしてコヨシキリが姿を現し、ジュジュッ(さえずりはピッピピピケケ
 シ)と鳴き出します。陽光を浴びて、喉の奥が橙色に見える位に口を大きく開けて鳴
 きます。オオヨシキリはギョギョシ(行々子)とさえずります。
 
イカルチドリ
 川原と紛らわしい色をしているイカルチドリはピオッ、ピオッ、ピッ、ピッと声高に
 鳴いて飛び回ります。
 
コチドリ
 コチドリは干潟や水田、川原などに棲息し、綺麗キレイな黄色に縁取られた目が輝いてい
 て、ピオ、ピオと鳴きます。
 
カワセミ
 カワセミは、川岸のヤナギやアシに掴ツカまって、小魚を狙って急降下します。急降下
 の突入は何回か繰り返しますが、成功は3回に1回で、その度に川面に波紋が広がり
 ます。チーと鳴きます。
 
コアジサシ
 カモメの仲間のコアジサシは、米代川の中州などに集団営巣します。上空を親鳥が編
 隊を組んで、キリッキリッと鋭く鳴きながら、絶え間なく飛び交います。
 
ササゴイ
 ササゴイは、川の流れが少し白波を立てる早瀬の岸や、水田の遊水が流れ込む樋門の
 せせらぎの中に、弓なりの姿勢で小魚が通るのをジッと狙っています。繁殖期には飛
 びながら、キュウーと鋭い声で鳴きます。
 
オオヨシキリ
 オオヨシキリは、ヨシ原の「行々子」と云う名前で広く知られ、ギョギョシとさえず
 ります。
 「チョチョジのあだまさ鈴コ結い付けたようだ」と云い、大館地方の盆踊り歌カラカ
 ランズの中で「チョチョジカラカランズ、どで口止まった。口の中まで、サーハイ、
 土用へえたあ(入った)」と揶揄ヤユされています。
 夏の盛りが過ぎると、さえずりはハタと止みます。
 
ゴイサギ
 ゴイサギは若いスギ林に集団で営巣します。夜中にグェーイと云う不気味な声を発し
 たり、スギの梢から悪臭の強い糞をしたりします。夕方に水辺に現れます。
 ゴイサギはその昔、神様から「五位」の位を授けられたと云います。
 
バン
 バンはヨシ原の中で、クルルと鳴きます。親鳥がキャッと警戒音を発すると、雛たち
 は一斉にヨシ原の中に隠れます。夏の終わりに、この地方から姿を消します。
 
カイツブリ
 カイツブリは、大館地方の農村では「馬鹿潜り」と呼んでいます。一つの沼に大体一
 番ヒトツガイが棲息し、いわゆる沼の監視人です。鳴き声はキリキリキリキリです。
 
カルガモ
 カルガモは稲田の苗を踏み倒したり、早稲の穂をしごいたりするなど、湖沼などに普
 通に見られます。グワーグワーグワーと鳴きます。
 
キセキレイ
 春の川原には、セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイの3種類が、どれも尾を
 忙しく振りながら水辺を歩いています。真夏になると、十和田湖などの山の湖の渚で
 よく見かけます。チチン、チチンと鳴きます。
 
カワガラス
 カワガラスは米代川水系の渓流では、どこでも普通に見られます。ビーッビーッと鳴
 きます。
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