学名解説(属名)[S〜T]
Sciadopitys f.<g. scias,sciadoc(傘)+pitys(マツ)。傘形のマツの意。葉状
の短枝がほぼ輪状に付くことによる。スギ科
Sciaphila f.<g. scio(影)+philios(好)。影を好むの意。生態から来た名。ホ
ンゴウソウ科
Scilla f.<g. 或植物名(今の Urginea Scilla)の転用。ユリ科
Scinaia f.<人名 D.Scina の名に基づく。ガラガラ科
Scirpus m.<1. イグサ又はそれに似た植物のラテン名を転用したもの。カヤツリグサ
科
Scleria f.<g. skleros(硬い)に由来する語で,丸くて硬い果実から付いた。カヤ
ツリグサ科
Scleroderma n.<g. skleros(硬い)+dermos(皮)。子実体の皮が硬いことから。
ニセショウロ科
Scolopendrium n.<g. skolopendra(ムカデ)。葉面に規則正しく茶色の嚢堆が左右
に多く並ぶ有様をムカデの足に見立てたもの。ウラボシ科
Scopolia f.<人名 オーストリアの学者J.A.Scopoli(1725〜1788)の名に因む。ナス
科
Scrophularia f.<1. この属の S.nodosa の肉質の塊根が瘰癧ルイレキ(scrophula)を治
すことから付いた名。ゴマノハグサ科
Scutellaria f.<1. scutella(小皿)。宿存萼に円い附属物があることから付いた。
シソ科
Scytosiphon m.<g. scytos(革)+siphon(管)。植物体が一見革質の管状を呈する
ことによる。カヤモノリ科
Secale n.<1. sedo(切る)に由来する。家畜の餌とするために細かく切断するため
と云う。イネ科
Sechium n.<g. sekos(垣根,囲い,また家畜を畜舎で太らす意)。果実が家畜の飼
料となるからだと云う。ウリ科
Securinega f.<1. securis(斧)+negare(拒む)からなる語。材が堅いのを斧を受
け付けぬと表現したもの。トウダイグサ科
Sedum n.<1. sedere(座る)から来た名で,多くの種が岩や壁に張り付いている様子
を表したもの。ベンケイソウ科
Selaginella f.<属名 ヒカゲノカズラの古名 Selago(属名)の縮小形。イワヒバ科
Semiaquilegia f.<1. semi(半分)+Aquilegia(属名)からなる語。Aquilegia に
近いが別の意。キンポウゲ科
Semiarundinaria f.<1. semi(半分)+Arundinaria(属名)からなる語。イネ科
Senecio m.<1. senex(老人)に由来するラテン名。多くの種に灰白色の毛又は白色
の冠毛のあることによる。キク科
Serissa f.<ind. インド名。一説に18世紀のスペインの植物学者Serissa の名に因む
とも云う。アカネ科
Serratula f.<1. serratus(鋸歯ある)の女性縮小形から導かれた植物名で,Pliny
はスペイン産の Betonica に使用したのが後に転用された。キク科
Sesamum n.<g. 古名。ギリシャ語の zesamm,アラビア語の sessem など,ゴマを指
す古名に基づく。ゴマ科
Seseli f.<g. ギリシャで古く Tordylium の一種を指した名であったのが転用され
た。セリ科
Setaria f.<1. seta(剛毛)に由来する名。小穂基部を囲む剛毛から付いた。イネ科
Shibataea f.<人名 わが国の植物生理化学の基礎を築いた K.Shibata(柴田桂太,
1877〜1949)の名に因む。初め牧野富太郎と共に竹の解剖学的研究をしたので,オカ
メザサにその名が付いた。イネ科
Shiia f.<jap.日本語のシイ(椎)から来た名。ブナ科
Shishindenia f.<jap. わが国の園芸名「紫宸殿」をそのまま使用したもの。ヒノキ
科
Shortia f.<人名 アメリカの植物学者Charles W.Short(1794〜1863)の名に因む。
イワウメ科
Sibbaldia f.<人名 イギリスの医者で植物学者Robert Sibbald(1643〜1720)に因
む。バラ科
Siegesbeckia f.<人名 ロシアの植物学者 John Georg Siegebeck(1686〜1755)に因
む。キク科
Sieversia f.<人名 ドイツの旅行家で植物学者Joh.Sievers(18世紀)の名に因む。
バラ科
Silene f.<g. この属の植物に粘液性の分泌液を出すものが多いので,これを神話の
Silenes(酒の神 Bacchas の養父)が酔って泡だらけになった様子に譬えたもの。ナ
デシコ科
Siler n.<1. 属名 Sium 又は Selinum の変形した形。セリ科
Sinningia f.<人名 ボン植物園の W.Sinning(19世紀)の名に因む。イワタバコ科
Sinomenium n.<1. Sina(支那)+menis(半月)。果実の核が半月形をなし,支那産
であるため。ツヅラフジ科
Siphonosregia f.<g. siphon(管)+stege(蓋)。長い管状の萼筒に基づく。ゴマ
ノハグサ科
Sisymbrium n.<g. 香りの良い水草のギリシャ名,それが転用されラテン語化した形。
アブラナ科
Sisyrinchium n.<g. Theophrastus が恐らく今の Iris Sisyrinchium に使った名が,
後にこの属に移されたもの。アヤメ科
Sium n.<g. 沼沢性の植物,多分今の Sium angustifolium とカワジサの両方に対す
るギリシャ名 sion に由来する語。その語源はケルト語の siw(水)である。セリ科
Skimmia f.<jap. 日本名シキミ(ミヤマシキミ)に由来して付けられた名。ミカン科
Smilacina f.<属名 Smilax の縮小形。葉形が似るところがあるから。ユリ科
Smilax f.<g. 常緑のカシのギリシャ古名から転用。ユリ科
Smithia f.<人名 イギリスの J.E.Smith の名に因んだ名。マメ科
Solanum n.<1. 意味不明のラテン古名。一説にはこの属の植物に鎮痛作用を持つもの
があるので,solamen(安静)から付いた名とも云う。ナス科
Solidago f.<1. solidus(完全)に接尾語の ago(状態)の付いた形。多分傷薬とし
ての評判による名。キク科
Sonchus m.<g. このものやアザミなどを一括したギリシャ古名。キク科
Sophora f.<ar. Linne がアラビア語の或種類の名を転用した。マメ科
Sorbaria f.<属名 属名 Sorbus(ナナカマド属)に由来する。葉が似ているところか
ら。バラ科
Sorbus f.<1. この植物の古いラテン名。バラ科
Sorghum n.<1. sorgo(サトウモロコシの古名)から。イネ科
Sparganium n.<g. sparganon(帯,バンド)の縮小形 sparganion に由来する。リボ
ン状の葉の形に基づいて付けられた名。ミクリ科
Spartium n.<g. spartos(植物名)。ロープを作るによい植物の総称。マメ科
Spathoglossum n.<g. spatha(刀)+glossa(舌)からなる語。葉の裂片の形から。
アミジグサ科
Spergura f.<1. spargere(撒き散らす)から来た語。速く生長して馬草とするため
に種子を撒き散らすことから。ナデシコ科
Spergularia f.<属名 Spergula(属名)の縮小形。ナデシコ科
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