学名解説(属名)[P〜R]
 
             学名解説(属名)
 
                    参考:北隆館発行「牧野新日本植物圖鑑」
 
 P
 
Pachyrhizanthe f.<g. pachys(太い,厚い)+rhiza(根)+anthos(花)からなる
 合成語。地下茎から大型の花序だけが立つから。ラン科
Pachysandre f.<g. pachys(太い)+andros(雄蘂)からなる語。雄蘂の花糸が目立
 って太いことから来た名。ツゲ科
Padina f.<g. padinos 又は pedinos(扁平に生活する)。体形から付いた名。アミ
 ジグサ科
Paederia f.<1. paidor(悪臭)。体全体に悪臭のあることに基づく。アカネ科
Paeonia f.<g. ギリシャ神話の医神 Paeon に由来する名。根を薬用にするため。キ
 ンポウゲ科
Paliurus m.<g. paliouros(利尿の),これから出たギリシャ名をラテン語化したも
 の。クロウメモドキ科
Pallavicinia f.<人名 Pallavicini の名に因む。苔類
Palura f.<? (語源不明)。ハイノキ科
Panax n.<g. pan(総て)+akos(治癒)。即ち全治,万能薬の意はチョウセンニン
 ジンの薬効から来た名。ウコギ科
Pandanus n.<土名 マレーの土名から付いた。タコノキ科
Panicum n.<1. panus(キビの穂)に由来する名。イネ科
Papaver n.<1. 古名。papa は幼児に与える粥カユで,ケシの乳汁に催眠作用があるた
 め,粥に混ぜて子供を寝かしたと云う。ケシ科
Parabenzoin n.<g. para(異なった(+Benzoin)属名)。Benzoin と異なり果皮が
 割れるから。クスノキ科
Parageum n.<g. para(異なった)+Geum(属名)。異なった Geum の意。バラ科
Paraixeris f.<g. para(異なった)+Ixeris(属名)。Ixeris とはやや異なったの
 意。キク科
Parexuris f.<g. para(異なった)+Hexuris(属名)。Hexuris 属に似る別物。ホ
 ンゴウソウ科
Paris f.<1. par(同)。花被が同形であるため,又はギリシャ神話の Paris の名に
 基づく。ユリ科
Parmelia f.<1. parmia(小さな楯)。子器の形に基づく。ウメノキゴケ科
Parnassia f.<地名 ギリシャの Parnassus 山の名に因む。Dioscorides の云う par-
 nassus の草が初期の学者等によって P.palustris であると考えられたため。ユキノ
 シタ科
Parthenocissus f.<g. parthenos(処女)+cissos(ツタ)。フランス名の vigne-
 vierge,イギリス名の Virginia creeper に基づく。ブドウ科
Pasania f.<土語 Java の土名。ブナ科
Paspalum n.<g. 多分ギリシャ名の paspale(キビ,碾割ヒキワリ)から来た名。イネ科
Passiflora f.<1. flor della passione を訳した情熱の花の意で,磔刑タッケイにされ
 たキリストに雌蘂の柱頭を譬え,多数放射状の副花冠をキリストから出た後光に譬え
 た。トケイソウ科
Pastinaca f.<1. pastus(食物)に由来する語。太い根茎を食用にするから。セリ科
Patrinia f.<人名 フランスの植物学者E.L.M.Patrin(1742〜1814)に因む。オミナ
 エシ科
Paulownia f.<人名 Siebold が後援を受けたオランダの Anna Paulowna 女王(1795
 〜1865)の名を記念したもの。ゴマノハグサ科
Pecteilis f.<1. pecten(櫛の歯)。唇弁が櫛の歯状に切れ込むため。ラン科
Pedicularis f.<1. pediculus(シラミ)に由来する語。昔ヨーロッパで,この属の
 一種の P.palustris の沢山生えた所で草を食べる家畜には,シラミが一杯集タカると信
 じられていたことによるもの。ゴマノハグサ科
Pelargonium n.<g. pelargos(コウノトリ)。果実の形が嘴クチバシに似るため。フウ
 ロソウ科
Pellia f.<人名 Pelle の名に因む。苔類
Pellionia f.<人名 19世紀のフランスの軍人Alphonse Pellion が発見したため。イ
 ラクサ科
Peltigera f.<1. pelta(盾)を持つ意。楯状の子器を付けるから。ハナゴケ科
Pelvetia f.<人名 フランスの19世紀の自然愛好家Pelvet に因む。ヒバマタ科
Pennisetum n.<1. penna(羽毛)+seta(刺毛)。小穂の毛から付いた。イネ科
Pentapetes f.<g. pente(五)+petalon(花弁)。一説には petes は Potentilla 
 の名。アオギリ科
Pentarhizidium n.<g. pente(五)+rhizidium(根の縮小形)。五つの小根のある
 意。根茎から出る根の維管束の数から付いた。ウラボシ科
Penthorum n.<g. pente(五)+horos(標準,特徴)。花が五数性であることから来
 たもの。一説に pentos は悲しみ。ベンケイソウ科
Pentstemon m.<g. pente(五つ)+stemon(雄蘂)。実際には4本しかない。仮雄蘂
 1本が目立つので5本の雄蘂と見たため。ゴマノハグサ科
Peracarpa f.<g. pera(嚢)+carpos(果)。嚢状の果実の意。キキョウ科
Perilla f.<土名 東部インドの土名。シソ科
Perillula f.<属名 Perilla(属名)の縮小形。シソ科
Peristylus m.<g. peri(周囲)+stylos(花柱)からなる合成語。芯柱の頭部が広
 く,柱頭がその周辺にあるため。ラン科
Persica f.<1. ラテン語で「桃の木」を指す。語源は persicus(ペルシャの)に由
 来する。バラ科
Persicaria f.<属名 persica(モモ)に似ていると云う意味。この植物の葉がモモの
 葉に似ているため。タデ科
Pertya f.<人名 スイスの自然科学者A.M.Perty(1800〜1884)の名に因む。キク科
Perularia f.<1. perula(鱗片,ささくれ)。唇弁の基部にささくれ状の小突起ある
 ため。ラン科
Petalonia f.<g. petalon(花弁)。体の扁平で広いのを花弁に見立てた。カヤモノ
 リ科
Petasites m.<g. フキに対するギリシャ名 petasos(鍔ツバ広の帽子)から来た名。
 葉が広く大きいため。キク科
Petrophiloides f.<g. Petrophila(属名)+oides(類する)。Petrophila に似た
 の意。クルミ科
Petrosavia f.<人名 この属を採集した Petrosav を記念する名。ユリ科
Petunia f.<土名 タバコに対するブラジル土名 petum から来た名。それに似るため。
 ナス科
Peucedanum n.<g. peuce(マツ)+danos(低い)からなるギリシャ名から付いた。
 香りがマツの木に似ているため。セリ科
Peziza f.<1. キノコの一種の古い名 pezis からラテン名 pezica となったものから
 付いた。チャワンタケ科
Phacellanthus m.<g. phacelos(束)+anthos(花)。総状の花の意。ハマウツボ科
Phaenosperma f.<g. phaeinos(輝く)+sperma(種子)。光沢のある丸い果実から。
 イネ科
Phalaris f.<g. ギリシャ古名。多分冠毛状の花序によって付けられた名。イネ科
Phallus m.<g. ギリシャ語で陰茎を指す。形態からの連想。スッポンタケ科
pharbitis f.<g. pharbe(色)に基づいて付けられた名。豊富な色彩に基づく。ヒル
 ガオ科
Phaseolus m.<g. インゲンマメの古名。莢を丸木舟(phaseolus)に譬えたものと云
 う。マメ科
Phegopteris f.<g. phegos(ブナ)+pteris(シダ)からなる語。生育地に因む。ウ
 ラボシ科
Phellodendron n.<g. phellos(コルク)+dendron(樹木)。材に厚い皮が付くか
 ら。ミカン科
Phellopterus m.<g. phellos(コルク)+pteron(翼)。コルク質で然も翼のように
 稜のある果実の形に基づく。セリ科
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