学名解説(属名)[P〜R]
 
Philadelphus f.<人名 B.C.283〜247のエジプト王 Ptolemy Philadelphus に捧げら
 れた名であると云われる。ユキノシタ科
Philydrum n.<g. philos(好)+hydor(水)。水湿地に生える性質から。タヌキア
 ヤメ科
Phleum n.<g. アシの一種のギリシャ名 phleos の転用。イネ科
Phlox f.<g. phlogos(火焔)から来た名で Lychnis の古名であったが,現在では北
 米産の属名に転用されたもの。ハナシノブ科
Phormium n.<g. phormion(篭又は筵ムシロ)。この植物の繊維で筵などを編んだ。ユリ
 科
Photinia f.<g. photeinos(輝く)から来た名。新葉が紅色で光沢あることから来た
 名。バラ科
Phragmites f.<g. ギリシャ名の垣根(phragma)から来た名。溝の周りを囲って垣根
 状に生えるのを表した。イネ科
Phryma f.<? 語源不明。アメリカインディアンの土名とも云われる。ハエドクソウ科
Phtheirospermum n.<g. phtheir(シラミ)+sperma(種子)。種子の形から。ゴマ
 ノハグサ科
Phyla f.<1. phyle 又は phylon(種族)の複数形。一つの包葉内に多くの花が集ま
 るからと云う。クマツヅラ科
Phyllanthus m.<g. phyllon(葉)+anthos(花)。この属の花が葉状に拡がった枝
 に着くため。トウダイグサ科
Phyllitis f.<g. 恐らくこの属のシダの一種のギリシャ名 phyllitis に基づく。ウ
 ラボシ科
Phyllodoce f.<女神名 ローマの詩人の Virgil が与えた海の女神の名。ツツジ科
Phyllospadix m.<g. phyllon(葉)+spadix(肉穂花序)。葉の基部に花序が埋まっ
 ているから。ヒルムシロ科
Phyllostachys f.<g. phyllon(葉)+stachys(穂)。葉片の付いた苞に包まれた花
 穂の形から。イネ科
Physalis f.<g. ギリシャ名 physa(水泡,気泡)から来た語で,膨らんだ萼(ホオ
 ズキの莢サヤ)から付けられた名。ナス科
Physaliastrum n.<属名 Physalis(属名)+astrum(似る)。Physalis 属に似たの
 意。ナス科
Physematium n.<g. physa(胞,膨らみ)に由来する語。包膜が袋状であるから。ウ
 ラボシ科
Physostegia f.<g. physa(胞)+stege(蓋をする,蔽う)。萼が膨らんでいること
 から来た名。シソ科
Phyteuma n.<g. この植物のギリシャ名から来た。キキョウ科
Phytolacca f.<g.+1. phyton(<g. 植物)+lacca(<中世の1. 深紅色の顔料)。
 液果に深紅色の汁を含むことによる。ヤマゴボウ科
Picea f.<1. 或種のマツに対するラテン名で,pix(ピッチ)から来た名。マツ科
Picrasma f.<g. picrasmon(苦味)。枝葉に非常に苦味のあることによる。ニガキ科
Picris f.<g. picros(苦い)から来た語で,或種の類似の苦い草本に対して付けら
 れたギリシャ名から転用された。キク科
Pieris f.<g. ギリシャ神話の詩の女神 Pieris から採った名。ツツジ科
Pilea f.<1. この属の一種の雌花の大きな萼の形から来た名で,丁度ローマ人のフェ
 ルトの帽子(pileus)のように果実の一部を覆っているのを譬えたもの。イラクサ科
Pilophoron n.<1. pileus(帽子)+phoros(持つ)。子器の形に基づく。ハナゴケ
 科
Pilotrichopsis f.<属名 Pilotrichum 属に似たの意。蘚類
Pimpinella f.<1. この属及びこれと似た植物に対する古名。最初は Pipinell であ
 った。セリ科
Pinellia f.<人名 イタリアの植物学者G.V.Pinelli(1535〜1601)に因む。サトイモ
 科
Pinguicula f.<1. pinguis(やや太った,やや脂肪性の)に由来する名。恐らく葉面
 に脂肪光沢が強いためか。タヌキモ科
Pinus f.<1. ラテン古名。語源はケルト語の pin(山)に基づくと云う。マツ科
Piper n.<1. 古いラテン名。アラビア語の babary から来たとする説もある。コショ
 ウ科
Pirola f.<1. pirus(ナシ)の縮小形で,葉の形が似ているため。イチヤクソウ科
Pisum n.<g. 古い植物名。マメ科
Pittosporum n.<g. pitta(ピッチ)+spora(種子)。種子が真黒で艶があり,然も
 粘着性のあることによる。トベラ科
Plagiochila f.<g. plagios(斜めの)+cheilos(唇)。歪ユガんだ葉の2片を唇に
 譬えた。蘚類
Plagiogyria f.<g. plagios(傾いた)+gyros(輪)。胞子嚢の弾環が斜めに付くか
 ら。ウラボシ科
Plantago f.<1. planta(足跡)に由来するラテン名。大きな葉から付いた。オオバ
 コ科
Platanthera f.<g. platys(広い)+anthera(葯)。基本種では葯隔が広いから。
 ラン科
Platanus f.<g. platys(広い)から出た名。大きい葉に由来する。スズカケノキ科
Platycarya f.<g. platys(広い)+caryon(堅果)。他のクルミと違い,果実が扁
 たいから。クルミ科
Platycerium n.<g. platys(広い)+ceras(角ツノ)。葉状がオオシカの拡がった角
 に似ていることから来た名。ウラボシ科
Platycodon n.<g. platys(広い)+codon(鐘)。花の形から来たもの。キキョウ科
Platycrater f.<g. platys(広い)+crater(椀)。花の形に基づく。ユキノシタ科
Plectranthus m.<g. plectron(距)+anthos(花)。距のある花の形を表す。シソ
 科
Pleioblastus m.<g. pleios(多)+blastos(芽,胚)。ササに比べて節に多数の芽
 が集まるから。イネ科
Plenasium n.<? (語源不明)。ゼンマイ科
Pleuropteropyrum n.<g. pleura(肋)+pteron(翼)+pyros(小粒)。肋の翼にあ
 る果実の形による。タデ科
Pleuropterus f.<g. pleura(肋)+pteron(翼)。中肋に広い翼のある宿存萼があ
 るため。タデ科
Pleurospermum n.<g. pleura(肋)+sperma(種子)。分果の背に三本の著しい肋が
 あるのによる。セリ科
Pleurotus m.<g. pleura(肋,肋膜)+otos(耳)。耳状の傘には多数の肋状の襞
 ヒダがあるから。マツタケ科
Pleuroziopsis f.<属名 Pleurozia(属名)+opsis(似たもの)。蘚類
Pleurozia n.<g. pleura(肋)+ozia(枝)。体の両側に肋骨状に多くの枝を分かつ
 から。蘚類
Plocamium n.<g. plocamos(毛の総)。特殊の小羽枝を毛の房に見立てた名。ユカリ
 科
Poa f.<g. 草又は牧草マグサのギリシャ古代名 paein に基づく。イネ科
Pocockiella f.<属名 Pocockia(属名)の縮小名。アミジグサ科
Podocarpus m.<g. podos,pous(足)+carpos(果)。種子の付け根(花托の部分)
 が肥大する特徴から付いた。マキ科
Podophyllum n.<g. pous,podos(足)+phyllon(葉)。根生葉の著しい柄による。
 メギ科
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