学名解説(属名)[H〜L]
 
 L
 
Lablab f.<ar. ヒルガオのアラビア名。巻き付く意味あり。フジマメの古い属名に転
 用。マメ科
Lactarius m.<1. lac(乳)。この属のキノコに乳汁を出すものがあるため。マツタ
 ケ科
Lactuca f.<1. チサ(L.sativa)の古名。葉や茎から乳(lac)を出すことから来た
 名。キク科
Lagenaria f.<1. lagenos(瓶)から付けられた名で実の形からの連想。ウリ科
Lagenophora f.<1. lagenos(瓶)+phores(有する)。頭状花の形からか。キク科
Lagerstroemia f.<人名 Linne の友人でスウェーデンの Magnus von Lagerstroem(
 1696〜1759)に因む。ミソハギ科
Lagotis f.<g. lagos(ウサギ)+ous(耳)。基準種の葉形がウサギの耳に似る。ゴ
 マノハグサ科
Laminaria f.<1. lamina(葉)。植物体が大きな葉状をなすため。コンブ科
Lamium n.<1. Pliny が言い出したイラクサ様の植物の古代ラテン名。一説にギリシ
 ャ語で laipos は喉ノドで,葉の筒が長くて喉状に見えるから。シソ科
Lampteromyces m.<g. lampos(輝く)+pteros(翼)+myces(キノコ)。ツキヨタ
 ケは襞ヒダが発光するから。マツタケ科
Lantana f.<1. 欧州産 Viburnum lantana のラテン名。花形や花序の類似から転用。
 クマツヅラ科
Laportea f.<人名 フランスの Castelnau の裁判官で19世紀の昆虫学者としても名高
 い Francois L.de Laporte の名に因む。イラクサ科
Lapsana f.<g. 欧州のダイコンに対して Dioscorides が使った名で,Apulia では今
 も使用。それを葉の広がりの全形が似るために転用。キク科
Larix f.<1. ヨーロッパカラマツに付けられた古代名。語源はケルト語で lar(豊富
 ),豊富な樹脂を持つため。マツ科
Lasianthus m.<g. lasios(粗い毛)+anthos(花)。花冠の内面に粗い毛が密生す
 るため。アカネ科
Lasiosphaera m.<1. lasios(髭ヒゲ)+sphaera(球)。オニフスベは皮が剥けて乾
 くと細い綿糸の塊状になるため。ホコリタケ科
Lastrea f.<人名 フランス人C.J.L.de Lastre の名に因んだもの。ウラボシ科
Laternea f.<ger. ドイツ語 Laterne(カンテラ,手提灯)。菌体の形から連想。カ
 ゴタケ科
Lathraea f.<g. 欧州の種類に Tournefort が付けた名で lathraios(隠れていた)
 の意。落葉の下に殆ど埋まっているから。ハマウツボ科
Lathyrus m.<g. 古く Theophrastus が付けた名 lathyros に基づく。la(非常に)
 +thyros(刺激する,情熱的)。この植物に催淫性があると信ぜられたため。マメ科
Laurus f.<1. ケルト語の laur(緑色)から出たラテン語。月桂樹が常緑であるた
 め。クスノキ科
Lavatera f.<人名 スイスの医者J.K.Lavater の名に因んだ名。アオイ科
Lawiella f.<属名 Lawia(属名)に似て小さなもの。カワゴケソウ科
Leathesia f.<人名 G.R.Leathes の名に因む。ネバリモ科
Lecanora f.<g. lecane(皿,水盤)。子器の形が浅い盤状をなしているため。チャ
 シブゴケ科
Lecanorchis f.<g. lecane(皿,盥タライ)+orchis(ラン)。皿状に副萼が付いてい
 るため。ラン科
Ledum n.<g. 芳香性の樹脂を出す Cistus(ハンニチバナ)属の古代ギリシャ名 led-
 on に基づく。Ledum の香りがこれに似ているため。ツツジ科
Leersia f.<人名 ドイツの植物学者Johann Daniel Leers(1727〜1774)の名に因む。
 イネ科
Leipnitzia f.<人名 ドイツの哲学者で数学者であった Gottfried Wilhelm Leipniz
(1646〜1716)に因む。キク科
Lemmaphyllum n.<g. lemma(皮)+phyllon(葉)。葉が乾いて皮質であるため。ウ
 ラボシ科
Lemna f.<g. Theophrastus によって名付けられた水生植物の名の転用。ギリシャ語
 の沼(limne)に由来。沼にあるため。ウキクサ科
Lentinus m.<1. lentus(柔らかくて丈夫な)。菌体の性質から付いた名。マツタケ
 科
Leontopodium n.<g. leon(ライオン)+podion(小足)。綿毛の密生した包葉状の
 葉と頭花とをライオンの足首に譬えた。キク科
Leonurus m.<g. leon(ライオン)+oura(尾)。長い花序の形に基づく。シソ科
Lepidium n.<g. ギリシャ名 lepidion から来た名で,小鱗(lepis)の意。果実の形
 を譬えたもの。アブラナ科
Lepiota f.<g. lepis(鱗片)+otos(耳朶ミミタブ)。キノコの傘に鱗片が多い特徴か
 ら。マツタケ科
Lepironia f.<g. lepis(鱗片)+eiro(結合する)からなる合成語。カヤツリグサ
 科
Lepisorus m.<g. lepis(鱗片)+sorus(子嚢群)。子嚢群に鱗片が混じるから。ウ
 ラボシ科
Leptochloa f.<g. leptos(細い)+chloa(草)。細長い穂状花の様子から付けられ
 た名。イネ科
Leptodermis f.<g. leptos(細い,薄い)+derma(皮)。さく果の果皮が薄いこと
 から。アカネ科
Leptogium n.<g. leptos(薄い)。地衣体が薄いため。イワノリ科
Leptogramma f.<g. leptos(細い,薄い)+gramma(線,葉の裏面の胞子嚢群の筋を
 指すことから転じてシダに屡々使う)。ウラボシ科
Lespedeza f.<人名 Michanx が18世紀後半に調査の際に,アメリカの東部 Florida 
 州知事のスペイン人Vincente Manuuel de Cespedes に捧げた名。誤植のため Lespedez
 となる。マメ科
Letterstedtia f.<人名 Lettersteat を記念する名。アオサ科
Leucothoe f.<g. バビロン王オルカモス(Orchamus)の娘 Leucothoe の名に因む。
 アポロと恋に陥り,父に地中に埋められて死んだ。ツツジ科
Leucoblyum n.<g. leuco(白い)+bryon(コケ)。全体が白っぽいため。オキナゴ
 ケ科
Liatris f.<g. 語源不明。一説にギリシャ語 leios(無毛)+iatros(医者)。キク
 科
Libanotis f.<g. libanos(薫香)を語源とする。植物体に香りが良いからの名。セ
 リ科
Ligularia f.<1. ligula(舌)の意から出た語で,小さい舌状の花弁を表す。キク科
Ligusticum n.<1. ligusticos(古代イタリアの Liguria 地方の形容詞)から出た
 語。同地方には栽培品の薬用ウドが多かったため。セリ科
Ligustrum n.<1. この属の一種 L.vulgare の古名。語源はこの植物の枝で物を縛シバ
 ったので,ligare(縛る)から。モクセイ科
Lilium n.<1. ラテン古名。ケルト語の li,ギリシャ語の leirion は共に白色を意
 味する。マドンナリリーの白花に基づく。ユリ科
Limonium n.<g. ギリシャ古名 leimonion に由来する名で,恐らく leimon(沼沢,
 草原)から出たもの。イソマツ科
Limnophila f.<g. limne(沼)+philos(好む)。湿地に生える習性を表す。ゴマノ
 ハグサ科
Limosella f.<1. limus(沼,泥濘ヌカルミ)の縮小形。湿地に生える性質から。ゴマノ
 ハグサ科
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