学名解説(属名)[H〜L]
I
Iberis f.<g. ギリシャ古名。恐らく Iberia 半島から入ったためか。アブラナ科
Idesia f.<人名 オランダの植物収集家E.Ysbrant Ides の名に因んだもの。イイギリ
科
Ileodictyon n.<1. ileo(小腸)+dictyon(網)。菌体の外形を譬えた名。カゴタ
ケ科
Ilex f.<1. holly(セイヨウヒイラギ),或いは holly oak(Quercus)の古代ラテ
ン名。モチノキ科
Illicium n.<1. illicio(引き寄せる,誘惑する)。芳香を有するため。モクレン科
Illysanthes f.<g. ilys(泥)+anthos(花)。生態に因む。ゴマノハグサ科
Impatiens f.<1. impatient(不忍耐)の意で,さく果に触れると急に弾けることか
ら,それが一般名となったもの。ツリフネソウ科
Imperata f.<人名 16世紀のイタリアの自然科学者Ferrante Imperate に因む。イネ
科
Indigofera f.<1. indigo(藍)+fero(有する)。藍染アイゾメの染料を採るため。マ
メ科
Inocybe f.<g. ino(繊維)+cybe(頭)。傘の縁ヘリに屡々根本の壷から由来する組
織があるためならん。マツタケ科
Inula f.<1. Inula Helenium の古代ラテン名。ギリシャ名は elenion。キク科
Ipheion n.<属名 Asphodelus に似せて作った名らしいが詳細は不明。ユリ科
Ipomoea f.<g. ips(芋虫)+homoios(似た)の意で,物に絡み付いて這い登る習性
から来た名。ヒルガオ科
Iridaea f.<g. Iris(虹)。体がいわゆる iridescence(蛍光)を発するからであろ
う。スギノリ科
Iris f.<g. 虹の意,転じて植物名。アヤメ科
Isachne f.<g. isos(同)+achne(籾モミ)。護穎が同大であるため。イネ科
Isanthera f.<g. isos(同)+anthera(葯)。イワタバコ科
Isatis f.<g. 暗色の染料を採る或植物(恐らくタイセイ)に対するギリシャ名。ア
ブラナ科
Ischaemum n.<g. ischaimos(止血)の意から出た名。イネ科
Ishige f.<jap. イシゲ(日本名)。イシゲ科
Isodon m.<g. iso(等)+dons(歯)。萼が同大の裂片に裂けるから。シソ科
Isoetes f.<g. Pliny が Sedum(ベンケイソウ科)の一種に対して付けた名が転用さ
れたもの。原義は isos(同じ)+etos(年)で四季を通じて常緑なため。ミズニラ科
Isopyum n.<g. Fumaria(ケシ科)の古代ギリシャ名を転用したもの。葉形が似てい
るため。キンポウゲ科
Itea f.<g. 元ヤナギのギリシャ名。葉形の類似から転用。ユキノシタ科
Ixeris f.<? 語源不明。キク科
J
Jacobinia f.<地名 ブラジルのバヒヤ州の Jacobinia に発見されたため。キツネノ
マゴ科
Japonobotrychium n.<属名 Japonica(日本)+Botrychium(属名)。一時日本特産
と思われた一種を独立させたことから付いた名。ハナワラビ科
Japonasarum n.<属名 Japonia(日本)+Asarum(属名)。日本産の本種(フタバア
オイ)を Asarum 属から独立させたもの。ウマノスズクサ科
Japonolirion n.<g. Japonia(日本)+leirion(ユリ)。日本特産のユリ科植物の
意。ユリ科
Jasminum n.<ar. アラビア語の植物名 ysmyn のラテン語化。モクセイ科
Juglans f.<1. Jovis glans(ジュピターの堅果)の意。美味な果実から付いた名。
クルミ科
Juncus m.<1. 古名。語源は jungere(結ぶ)で,この草で物を結んだためと云われ
る。イグサ科
Juniperus f.<1. ラテンの古名。ビャクシン科
Jussiaea f.<人名 フランスの植物分類学の創始者Bernard de Jussieu(1699〜1776
)の名に因んだもの。アカバナ科
Justicia f.<人名 18世紀のスコットランドの園芸家で植物学者だった James Justi-
ce に因む。キツネノマゴ科
K
Kadsura f.<jap. 日本名サネカズラの一部を採る。モクレン科
Kaempferia f.<人名 ドイツの植物学者で最初わが国に渡来した E.Kaempfer に因む。
ショウガ科
Kalimeris f.<g. kalos(美しい)+mero(部分)。花弁が美しいから。キク科
Kalopanax n.<g. kalos(美しい)+Panax(属名)。葉の切れ込みが端正であるた
め。ウコギ科
Kandelia f.<土名 インドのマラバール地方での呼び名。ヒルギ科
Keiskea f.<人名 本草学者伊藤圭介の名に因んだもの。シソ科
Kerria f.<人名 イギリスの植物学者John Bellenden Ker(1764〜1842)の名に因む。
1804年以降は John Gawler と呼んだ。バラ科
Keteleeria f.<人名 18世紀フランスの園芸家J.B.Keteleer の名に因む。スギ科
Kinugasa f.<jap. 日本名キヌガサソウから採った名。ユリ科
Kirengeshoma f.<jap.日本名キレンゲショウマから出た名。ユキノシタ科
Kochia f.<人名 ドイツの有名な植物学者Wilhelm Daniel Joseph Koch(1771〜1849
)の名から付けられた名。アカザ科
Koeleria g.<人名 ドイツの Mainx の教授でイネ科植物の研究者Georg Ludwig Koe-
ler(1765〜1807)の名から。イネ科
Koelreuteria f.<人名 ドイツの植物学者Joseph Gottlieb Koelreuter(1734〜1806
)に因む。ムクロジ科
Korthalsella f.<人名 採集家P.W.Korthals の名に因む。ella はその縮小形。ヤド
リギ科
Krascheninnikovia f.<人名 ロシアのS.Krascheninnikow の名に因む。ナデシコ科
kraunhia f.<人名 Kraun の名から。マメ科
Kummerowia f.<人名 採集家Kummerow の名に因む。マメ科
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