学名解説(属名)[D〜G]
 
 E
 
Ebulus f.<1. ソクズのラテン名。ギリシャ語の eu(良)+boule(思案)からと云
 う。スイカズラ科
Eccoilopus m.<g. eccoilizo(腹を凹ます)+pous(足)。イネ科
Echinochloa f.<g. echinoa(ウニ)+chloa(草)。開出した芒の形からの連想。イ
 ネ科
Echinopanax n.<g. echinos(ウニ又はハリネズミ)+Panax(属名)。葉及び茎に生
 ずる刺を譬えたもの。刺だらけの Panax。ウコギ科
Echinops m.<g. 初め echinos(ウニ又はハリネズミ)+pos(足)であったのをリン
 ネが ops(姿をするもの)に変えた。球形の頭状花集団が刺だらけに見えるから。キ
 ク科
Ecklonia f.<人名 アフリカ植物の研究者C.F.Ecklon(19世紀)の名に因んだもの。
 コンブ科
Eclipta f.<g. ecleipo(不完全の,欠けた)。冠毛のないことを表したもの。キク
 科
Edgeworthia f.<人名 イギリスの植物学者M.P.Edgeworth 夫妻の名に因む。ジンチョ
 ウゲ科
Ehretia f.<人名 ドイツの植物画家G.D.Ehret(1708〜1770)の名に因んだもの。ム
 ラサキ科
Eichhornia f.<人名 ドイツ(プロシャ)の政治家Johann Albrecht Friedrich Eich-
 orn(1779〜1856)に捧げられた名。ミズアオイ科
Eisenia f.<人名 Eisen 博士に因む。コンブ科
Elaeagnus f.<g. elaia(オリーブ)+agnos(セイヨウニンジンボク Vitex Agnus-
 castus のギリシャ名)。前者に似た果実と後者に似た白っぽい葉を持つから。グミ科
Elaeocarpus f.<g. elaia(オリーブ)+carpos(果)。オリーブの実に似た果実か
 ら。ホルトノキ科
Elaphoglossum n.<g. elaphos(鹿)+glossa(舌)。舌状の葉形に基づく。ウラボ
 シ科
Elatine f.<g. elatine はギリシャ名で,Dioscorides が使用した。これは elate(
 モミノキ,Abies cephalonica)の形容形であって,Elatine alsinastrum が丁度上記
 のモミの芽生えに似ているからである。ミゾハコベ科
Elatostema n.<g. elatos(弾性)+stemon(雄蘂)。雄蘂が初め曲がっていて,成
 熟時に弾力で飛び出るから。イラクサ科
Eleocharis f.<g. eleos(沼)+charis(飾る)。この属の多くの種が沼地性の植物
 であるため。カヤツリグサ科
Eleorchis f.<g. eleos(沼)+orchis(ラン)。沼地性のランで生態を示す。ラン
 科
Eleusine f.<g. 収穫の女神 Ceres が崇拝された町 Eleusis の名に因む。イネ科
Elsholtzia f.<人名 ドイツの医者で植物学者でもあった Johann Siegesmund Elsho-
 ltz(1623〜1688)に因んで付けられた名。シソ科
Elymus m.<g. 穀物の一種に付けられたギリシャ名で,elyo(卷く)に由来する。穀
 粒が内外の果穎に固く抱かれていることによる。イネ科
Emilia f.<人名 婦人の名 Emilia によるものか,詳細は不明。キク科
Empetrum n.<g. ギリシャ古名。en(中)+petros(岩),岩の上の意。高山の岩上
 に生ずるため。ガンコウラン科
Endarachne <g. endos(内部)+arachne(蜘蛛の糸)。植物体の内部(髄層)で細
 長い細胞が縦に連なり,蜘蛛の糸のように絡み合っているところから付いた名。カヤ
 モノリ科
Enkianthus m.<g. enkyos(妊娠する)+anthos(花)。膨らんだ花の意。花形から
 来た名。一説に鱗片葉が開花時に膨らんだまま付いているからと云う。ツツジ科
Entada f.<土名 インドのマラバール地方での土名。マメ科
Enteromorpha f.<g. enteron(腸)+morph(形)。葉状体を作る内外二層の細胞層
 の間に空間があって中空の袋状になっているため。アオサ科
Entoloma f.<g. ento(内部)+loma(縁辺)。傘の縁ヘリが軽く内側に曲がるためか。
 マツタケ科
Ephedra f.<g. epi(上)+hedra(座)。石の上に生じるためと云う。マオウ科
Ephippianthus m.<g. ephippion(馬の鞍)+anthos(花)。花形から。ラン科
Epigaea f.<g. epi(上)+gaia(地)。紐のように地上を這って伸びる様を表した
 もの。ツツジ科
Epilobium n.<g. ion(スミレ)+epi(上)+lobon(莢サヤ)。スミレ色の花が長い
 子房の先に着くことを表現したもの。アカバナ科
Epimedium n.<g. 地名 Media に由来する epimedion から出た名。ただしこの epi-
 medion は別の植物の名であったとされている。メギ科
Epipactis f.<g. Helleborus 属に対する古語 eppebolos の一部が転用されたもの。
 又は epi(上)+pactos(硬い)からとも云う。ラン科
Epipogium n.<g. epi(上)+pogon(尖ったもの又は髭ヒゲ)。唇弁が倒立し距が上
 にあるから。一説に古くは植物学者が唇弁を髭ヒゲ(bead)と云っていたからとも云
 う。ラン科
Equisetum n.<1. equus(馬)+saeta(刺毛)。細い枝を多数,段々に輪生するスギ
 ナの形を馬の尾に譬えたもの。トクサ科
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