学名解説(属名)[D〜G]
 
             学名解説(属名)
 
                    参考:北隆館発行「牧野新日本植物圖鑑」
 
 D
 
Dactylis f.<g. dactylos(指)。Pliny が指状の穂状花を持つイネ科植物に対して
 付けたもの。一説には dactyぃs はブドウの一品種で花穂が指状に分かれているか
 ら。イネ科
Dactylostalix f.<g. dactylos(指)+stalix(杭)。芯柱の形から。ラン科
Daedalea f.<1. daedalus(巧みな)。このキノコの傘の子実層が巧妙な迷路状に出
 来ていることから。サルノコシカケ科
Dahlia f.<人名 18世紀のスウェーデンの植物学者で Linne の高弟であった Andreas
 Dahl(1751〜1789)の名に因んだもの。キク科
Damnacanthus m.<g. damnao(優る)+acantha(刺)。細枝の変化した鋭い刺針を持
 っているから。アカネ科
Daphne f.<g. ギリシャ神話の女神の名。転じて月桂樹ゲッケイジュのギリシャ名。葉形
 の類似から再転してこの属に使用。ジンチョウゲ科
Daphniphyllum n.<g. daphne(月桂樹の古名)+phyllon(葉)の意。葉形の類似に
 よる名。トウダイグサ科
Dasyphora f.<g. dasys(密毛のある)+phora(有する)。葉の表裏に長い褐色の絹
 のような毛を密生するため。バラ科
Datura f.<ar.,hind. この植物のアラビア名 tatorah,又はヒンズー名 dhatura か
 ら変化した名。ナス科
Daucus m.<1.<g. 古代ギリシャ名の別の植物。その語源は daiein(温める)とも云
 われ,薬用とすると身体が温まるためと云う。その後ラテン名でニンジンに転用され
 た。セリ科
Davallia f.<人名 英国の Edm.Davall(1763〜1799)の名に因んだもの。ウラボシ科
Debregesia f.<人名 S.I.de Bregeas の名に因む。イラクサ科
Deinanthe f.<g. deinos(異常の)+anthos(花)。不思議な花の意。ユキノシタ科
Deinostema f.<g. deinos(変わった)+stemon(雄蘂)。雄蘂の花糸が途中で反転
 した輪を作っているから。ゴマノハグサ科
Delphinium n.<g. delphinos(イルカ)。蕾ツボミの形からの連想であろう。キンポウ
 ゲ科
Dendrobium n.<g. dendron(樹木)+bion(生活する)。樹木に着生生活するから。
 ラン科
Dendropanax m.<g. dendron(樹木)+Panax(属名)。Panax に似て高木になるか
 ら。ウコギ科
Dennstaedtia f.<人名 19世紀のドイツ植物学者でワイマールの flora を発表した
 August Wilhelm Dennstadt に因んだ名。ウラボシ科
Dentaria f.<1. dens(歯)。根茎の頭に硬い鱗片葉が数個恰も歯のように付くから。
 アブラナ科
Deschampsia f.<人名 フランスの自然愛好者Jean Louis Auguste Loiselreur des 
 Longchamps(1774〜1849)に因んだ名。イネ科
Desmarestia f.<人名 フランスの学者A.G.Desmarest の名に因む。ウルシグサ科
Desmodium n.<g. desmos(絆キズナ,鎖クサリ)+eidos(構造)に由来する語で,果実の
 途中が括クビれて鎖状に連なっていることによる。マメ科
Deutzia f.<人名 Thunberg の後継者でオランダの Johan van der Deutz に対して,
 1781年に捧げられたもの。ユキノシタ科
Dianella f.<1. 狩猟の神 Diana の縮小形。ユリ科
Dianthus f.<g. ギリシャ名。Dios(ギリシャ神話の神,ジュピター)+anthos(花
 ),即ちジュピター自身の花の意。花の美しさを称えたもの。ナデシコ科
Diapensia f.<g. Sanicula(セリ科)の古代名を Linne がこの属に付けたもの。イ
 ワウメ科
Diarrhena f.<g. dis(二)+Arrhen(雄蘂)。二個の雄蘂を持つことから来た名。
 イネ科
Diaspanthus m.<g. di(二)+aspi(楯)+anthos(花)。キク科
Dicentra f.<g. dis(二)+centron(距)。二枚の花弁に距が突出しているため。
 ケシ科
Dichondra f.<g. di(二)+chondros(果粒)。丸い二個の分果が並んでいるため。
 ヒルガオ科
Dichrocephala f.<g. di(二)+chroa(色)+cephala(頭)。この属の基準種の頭
 状花序の色彩に基づく。キク科
Dicliptera f.<g. diclis(戸のような二重の襞ヒダ)+pteron(翼)。二枚の総包葉
 の形を譬えたもの。キツネノマゴ科
Dicranopteris f.<g. dicranos(又状の)+pteris(シダ)。葉柄の先が必ず二又に
 分かれて左右の二葉を付けるため。ウラジロ科
Dicranum n.<g. dicranos(又状の)。種類によっては葉の裏の主脈上に二又状の鋭
 い刺が付いているからか。蘚類
Dictamnus m.<g. 古くからのギリシャ名。Dicte(山)から来た名。ミカン科
Dictyocline n.<g. dictyon(網)+cline(床)。嚢堆が鮮やかな網目状に葉の裏に
 浮き彫りになっているため。ウラボシ科
Dictyophora f.<g. dictyon(網)+phora(持つ)。頭部から茎を囲んで,白く大き
 な網になったマントのような傘を持つため。スッポンタケ科
Dictyopteris f.<g. Dictyota(属名)+pteron(翼)。Dictyota に近く然も葉は中
 央に筋があって翼状に見えるから。アミジグサ科
Dictyota f.<g. dictyon(網)。乾燥した植物体に明瞭な網目の模様が見られる。ア
 ミジグサ科
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