学名解説(属名)[C]
Coriandrum n.<g. 古代名。語源は coris(南京虫)+annon(アニスの実)で何れ
も果実の持つ異臭による。セリ科
Coriaria f.<1. ラテン名。corium(鞣皮ナメシガワ)から出た名。葉にタンニンを含み
皮のなめしに使ったためと云う。ドクウツギ科
Cornopteris f.<1,g. cornu(ラテン名,角)+pteris(ギリシャ名,シダ)から成
る合成語。葉の中軸上羽片の付け根に小さい角状突起が数個ずつあるため。ウラボシ
科
Cornus f.<1. cornu(角)に由来する語。材質の堅いのを意味する。ヨーロッパ種の
C.sanguinea は古くから屠殺人の剣材として用いられ,イギリスでは skewerwood(剣
の木の意)及び古典英語 dagge(短剣,鋭く尖った物)の意から来た dagwood の名が
ある。ミズキ科
Cortinellus m.<1. cortina(クモの網の膜)。傘の柄に蜘蛛の巣状の附属物が付く
から。一説に cortina はアポロの神殿にある三足の鼎カナエ。マツタケ科
Cortusa f.<人名 イタリアの本草学者J.A.Cortusi(1513〜1553)の名に因む。サク
ラソウ科
Corydalis f.<g. Korydallis(雲雀ヒバリ)。長い距を持った花の形からの連想。ケシ
科
Corylopsis f.<属名 Corylus +opsis(ギリシャ語,似)。葉形の類似から。マンサ
ク科
Corylus f.<1. 古名で恐らくギリシャ語の corys(兜カブト)から来た名。小総包の形
によるものだろう。カバノキ科
Cosmos m.<g. cosmos(飾り)の意。キク科
Costaria f.<1. costa(中脈)。葉面に太い線条が目立つから。コンブ科
Cotyledon f.<g. Cotyledon umbilicus(今は Umbilicus pandulinus と云う)のギ
リシャ名。kotyle(臍ヘソ)は葉が多数集まった中央が凹むから。ベンケイソウ科
Crataegus f.<g. ギリシャ名 kratos(力)+agein(持つ)。材が堅いためとされて
いる。バラ科
Crataeva f.<人名 ギリシャの著述家Krataevas の名に因む。フウチョウソウ科
Craterellus m.<g. crater(椀,容器)の縮小形。菌体の形から。イボタケ科
Cremastra f.<g. kremannymi(懸垂する)+astron(星)。星形の花が下向きに咲く
ため。ラン科
Crepidiastrixeris f.<属名 ワダン(Crepidiastrum)とヤクシソウ(Paraixeris)
との天然雑種とされるため,両者の属名を繋いだもの。キク科
Crepidiastrum n.<属名 Crepis(キク科の一属名)+astrum(似)。Crepis に似た
の意。キク科
Crepidomanes n.<g.+属名 crepis(靴)+Trichomanes(属名)の略。コケシノブ科
Crepis f.<g. ギリシャ古名。crepis(長靴)の語に由来するもの。キク科
Crinum n.<g. crinon(ユリ)。花の外形がユリによく似ているから。ヒガンバナ科
Crocosmia f.<g. crokos(サフラン)+osme(匂い)。サフランの香りの意。アヤメ
科
Crocus m.<g. crokos(サフラン)又は croke(糸)から。雌蘂が糸状をなすため。
アヤメ科
Croomia f.<人名 北アメリカの植物学者H.B.Croom(1799〜1837)の名に因む。ビャ
クブ科
Crotalaria f.<g. crotalon(玩具のガラガラ)。莢の中で,ばらばらの種子がガラ
ガラ鳴るため譬えたもの。マメ科
Croton m.<g. この科の”トウゴマ”のギリシャ名。croton(ダニ)に由来する語で,
種子の形がダニに似ていることによる。トウダイグサ科
Cryphaea f.<g. cryphio(隠れる)。胞子嚢が葉に隠れているため。蘚類
Crypsinus m.<g.+1. cryphi(隠れる)+sinuo(湾曲)の合成語か。ウラボシ科
Cryptogramme f.<g. cryptos(隠れた)+gramme(線)の意で,胞子嚢が最初,反り
返った葉縁に隠れたいることから来た。ウラボシ科
Cryptomeria f.<g. cryptos(隠れた)+meris(部分)よりなる合成語。しかし意味
は不明。スギ科
Cryptoporus m.<g. cryptos(隠れる)+horos(孔)。管孔面が外から見えないた
め。サルノコシカケ科
Cryptotaenia f.<g. cryptos(隠れた)+tainia(紐ヒモ)。油管が隠れていることか
ら。セリ科
Cryptotaeniosis f.<属名 Cryptotaenia(属名)+opsis(ギリシャ語で”似た”)。
セリ科
Ctenitis f.<g. cteno(櫛クシ)。葉の形態から。ウラボシ科
Cucubalus m.<1. ラテン名 cocobolus(cakos 悪+bolos 投)に由来する。ナデシコ
科
Cucumis f.<1. ラテン名でウリの意。語源は cucuma(壷形の容器)で果実の形の連
想か,或いは実際に果実をくり貫いて容器としたため。ウリ科
Cucurbita f.<1. ヒョウタンに対する古代ラテン名の転用。cucumis(ウリ)+orbis
(円形)から成る。ウリ科
Cudonia f.<1. cudo(皮製ヘルメット)。子実体の頭部の形が似るため。テングノメ
シガイ科
Cudrania f.<g. ギリシャ名 cudros(光栄ある)から。一説にマレー土名 cudrang
から。クワ科
Cunninghamia f.<人名 支那(アモイ)に住んだ英人の医者で植物採集家でもあった
J.Cunningham(1791〜1839)の名に因んだもの。スギ科
Curculigo f.<1. curculio(コクゾウムシ)に由来する名。ヒガンバナ科
Curcuma f.<ar. kurkum(黄色)から来たアラビア名。根茎から黄色の色素(カレー
粉の色素)を得るため。ショウガ科
Currania f.<人名 採集家Curran に因む。ウラボシ科
Cuscuta f.<g. kassyein(絡み付く,巻き込まれる)から来た名と云い,またアラビ
ア起源の語であるとも云う。ヒルガオ科
Cutleria f.<人名 Sidmouth に住んだ Cutler 女史の名に因る。ムチモ科
Cyathea f.<g. cyathos(杯)。胞子嚢の包膜が杯状をしているため。ヘゴ科
Cyathus m.<g. cyathos(杯)。菌体が杯状をなすところから来た名。チャダイゴケ
科
Cycas f.<g. ソテツのギリシャ名 cykas から。ソテツ科
Cyclamen n.<g. cyklos(円)に由来。球形に近い塊根から付いた名。サクラソウ科
Cyclophorus m.<g. cyklos(円)+phoreo(有する)。嚢堆が多数円形をなして葉裏
に付くため。ウラボシ科
Cyclosorus m.<g. cyklos(円)+sorus(包膜)。円形の包膜に包まれた嚢堆を持つ
ため。ウラボシ科
Cydonia f.<地名 地中海クレタ島の Cydon 市の名に因む。バラ科
Cymbidium n.<g. cymbe(舟)+eidso(形)。唇弁の形に基づく。ラン科
Cymbopogon m.<g. cymbe(舟)+pogon(髭ヒゲ)。穎が舟形で髭が多いため。イネ科
Cynanchum n.<g. cyno(犬)+anchein(殺す)。犬に対して毒害のあると考えられ
ていたこの属の一種の古代名。ガガイモ科
Cynara f.<g. 植物名。cyno(犬)から。キク科
Cynocrambe f.<g. cyno(犬)+Crambe(属名)。ヤマトグサ科
Cynodon m.<g. cyno(犬)+odons(歯)。小穂が歯状に密集して並ぶ様を譬えたも
の。イネ科
Cynoglossum n.<g. cyno(犬)+glossa(舌)。葉の形とざら付きに由来する。ムラ
サキ科
Cynoxylon f.<g. cyno(犬)+xylon(木)。dogwood を直訳したもの。ミズキ科
Cyperus m.<g. 古代ギリシャ名。cypeiros に由来する語。カヤツリグサ科
Cypripedium n.<g. Cypris(女神ビーナス)+pedilon(スリッパ)。唇弁が大きく
前へ突出した袋状をなすので婦人用のスリッパに例えた。英語で lady's slipper と
云う。ラン科
Cyrtomidictyum n.<属名+g. Cyrtomium(属名)+dictyon(網)。Cyrtomium に近
いから。ウラボシ科
Cyrtomium n.<g. cyrtoma(曲がり)。羽片が鎌形に曲がるから。ウラボシ科
Cystophyllum n.<g. cystis(気胞)+phyllon(葉)。葉の先に気胞があるから。ヒ
バマタ科
Cystopteris f.<g. cystis(嚢,気胞)+pteris(シダ)。ウラボシ科
Cytisus f.<g. 或植物,多分 Medicago arborea(ウマゴヤシ)の古代ギリシャ名。
マメ科
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