学名解説(属名)[A〜B]
 
Akebia f.<jap. 日本名「アケビ」。アケビ科
Alangium n.<Malabar土名 ミズキ科
Alaria f.<1. ala(翼)から起こった名。体は中肋の両側に広く翼状に拡がるため。
 コンブ科
Albizzia f.<人名 約2世紀前に,ヨーロッパにこの属を紹介したイタリアの Fili-
 ppo Delgi Albizzi の名を記念して付けられた。マメ科
Alchemilla f.<ar. 絹状の軟毛に関して付けられたアラビア語 alkemelyeh による。
 葉に一面に絹毛があるため。バラ科
Alchornea f.<人名 英国の S.Alchorne の名に因む。トウダイグサ科
Aldrovanda f.<人名 イタリアの N.Aldrovandi の名に基づく。モウセンゴケ科
Alectoria f.<g. alektor(牡鶏,延ヒいて鶏冠トサカ)。子器及び枝端の形が鶏冠状に
 なるから。サルオガセ科
Alectorurus m.<g. alektor(牡鶏)+oura(尾)。葉状が鶏の尾に似ていることか
 ら。ユリ科
Aletris f.<g. 粉挽き女の意。花被の外観が粉状を呈しているのを譬えて云う。ユリ
 科
Aleuria f.<g. aleuros(小麦粉)。胞子が一斉に白い粉を撒くように飛び散るから。
 チャワンタケ科
Aleurites f.<g. 小麦粉の意。基本種は全体に白粉を被ったように見える。トウダイ
 グサ科
Aleurithopteris f.<g. aleuros(小麦粉)+pteris(シダ)。葉の裏面が白く粉を
 吹いているから。ウラボシ科
Alisma f.<g. 由来不明の水草に対するギリシャ名。一説には海水(alis)に基づく
 と云う。オモダカ科
Allium n.<1. ニンニクの古いラテン名。語源は「匂い」と云う意の alere 又は ha-
 lium と云う。ユリ科
Alnus f.<1. ラテン語の古名。ケルト語の al(近く)+lan(海岸)が語源とも云
 う。カバノキ科
Alocasia f.<g. all(異なる)。Cololcasia に似た別物の意。サトイモ科
Aloe f.<ar. alloeh はアラビア語で苦味のある意。葉に苦い汁液があるため。ユリ
 科
Alopecurus m.<g. alopex(狐)+oura(尾)の意で,花補の状態に基づく。イネ科
Alpinia f.<人名 イタリアの植物学者P.Alpini(1553〜1617)の名に因む。ショウガ
 科
Alsine f.<g. alsos は小樹林の意。元 Parietaria cretica のギリシャ名を転用し
 た。ナデシコ科
Alsophila f.<g. alsos(小樹林)+philos(好む)。森林下に生えるから。ヘゴ科
Alternanthera f.<1. alterno(互生)+anthera(葯)。雄蘂と仮雄蘂とが交互する
 から。ヒユ科
Althaea f.<g. althaino は治療の意味。薬効があるため。アオイ科
Alyssum n.<g. a(否定)+lyssa(狂犬病)の意で,狂犬病を防ぐと思われた植物の
 ギリシャ名である。アブラナ科
Amana f.<jap. 日本名のアマナから。ユリ科
Amanita f.<地名 小アジアの Amanus 山脈に産することから付いたと云う。マツタケ
 科
Amaranthus m.<g. amaramthos(凋シボまない)の意。萼と小包葉が乾燥して凋まない
 ことから来ている。一説には,乾燥に耐えるためとも云う。ヒユ科
Amblygonon n.<g. amblyo(鈍い)+gono(角ツノ)。実が扁平で角張らぬから付いた。
 タデ科
Ambrosia f.<g,1. 「神の食物」の意。不老長寿の薬を意味するが,しかしこれ等数
 種の植物の花粉は烈しい花粉熱の原因となるから,これは最も不適当な名であろう。
 キク科
Ambulia f.<1. amblo 移動する意。ゴマノハグサ科
Amelanchier f.<土名 ヨーロッパ種に対するプロバンス(フランスの古州)での名。
 バラ科
Amesium n.<1. ames は鳥を捕る網の棒。ウラボシ科
Amethystea f.<g. amethystos は紫石英。花色から。シソ科
Amitostigma n.<g. a(否定)+Mitostigma(属名)。古く Mitostigma と云ったが,
 以前に同一名があり且つ観察が誤っていたので,a(否定)の言葉を冠せたもの。ラン
 科
Ammannia f.<人名 ドイツの植物学者Paul Ammann(1634〜1691)。ミソハギ科
Ammobium n.<g. ammos(砂)+bios(生活)。砂に生活する生態から付いた。キク科
Amomum n.<g. a(無)+momos(欠点)。香料として,完全無欠と云う意味。ショウ
 ガ科
Amorphophalus m.<g. amorphos(奇形)+phallos(陰茎)。肉穂花序の形から付い
 た。サトイモ科
Ampelopsis f.<g. ampelos(葡萄)+opsis(外観)。葡萄に似たの意。ブドウ科
Amphicarpaea f.<g. amphi(双方の)+carpos(果実)。二種類の果実を有すること
 から。マメ科
Amphiroa f.<g. amphi(周囲)+roa(漏れる)。サンゴモ科
Amsonia f.<人名 1760年に Virginia の Gloucester で医者をしていた植物学者Dr.
 Ch.Amson の名に因む。キョウチクトウ科
Anagallis f.<g. 恐らく ana(再び)+agallein(楽しむ)を意味するギリシャの古
 名。曇りには花を閉じ,陽が照ると再び開く習性によるものか。一説には an(無)+
 agallomei(自慢),花が後に下を向くから。サクラソウ科
Anaphalis f.<g. ギリシャ植物名 Gnaphalium(ハハコグサ)の anagram(語中の文
 字を並べ替えて作った語)。キク科
Anaptychia f.<g. ana(無)+ptycho(襞ヒダ)。表面が平滑なためならん。ムカデ
 ゴケ科
Ancistrocarya f.<g. ancistron(鈎カギ)+caryon(堅果)。果実の先端が鈎針のよ
 うに屈曲したいるため。ムラサキ科
Andreaea m.<人名 蘚類学者のアンドレアの名に因む。蘚類
Andromeda f.<g. ギリシャ神話の美女でペルセウスに救われた Andromeda に因む。
 ツツジ科
Andropogon m.<g. aner〔andr〕(男)+pogon(鬚ヒゲ)。穎エイに芒ノギがあるため。
 イネ科
Androsace f.<g. Pliny により用いられたある種の植物に対する名前。andros(雄)
 +sakos(楯)から来た。サクラソウ科
Aneilema n.<g. aneu(無)+eilema(被包),即ち「着物がない」。Commelina に
 比べて半月形の包葉がないから。ツユクサ科
Anemarrhena f.<g. anemos(風)+arrhen(男性,強)。風に強いと云う意味か。ユ
 リ科
Anemone f.<g. 地中海産のアネモネのギリシャ名で風の娘の意。一説にギリシャ神話
 の美青年 Adonis のセム語名で,彼の血によって本属の真紅の東洋種が咲いたと云う。
 (→Adonis)キンポウゲ科
Anemonopsis f.<属名 Anemone+opsis(<g. 似る)。葉花,葉共に Anemone に似た
 ところがあるため。キンポウゲ科
Anethum n.<g. 古語で,イノンドのギリシャ古名 anethon に因む。多分その刺激性
 の種子に原因した aithein(灼ける意)による。セリ科
Angelica f.<1. angelus(天使)に基づく。この属の植物に強心剤とした著効のある
 ものがあり,死者を蘇らすところからこの名が付いた。セリ科
Angiopteris f.<g. angeios(包む)+pteris(シダ)。葉柄の付け根にある附属物
 で根茎を包んでいるため。リウビンタイ科
Ananas m.<土名 ブラジルにおけるパイナップルの土名。パイナップル科
Anodendron n.<g. ano(上に)+dendron(樹木)。藤本で樹上に絡むため。キョウ
 チクトウ科
Antennaria f.<g. antenna(檣ホバシラの桁,触角)。果実にある長い冠毛が或種の昆
 虫の触角に似ていることから来た名。キク科
Anthoceros f.<g. anthos(花)+ceros(角ツノ)。角状の胞子嚢が付くから。苔類
Anthoxanthum n.<g. anthos(花)+xanthos(黄)。イネ科
Anthriscus m.<g. 或種のセリ科植物のギリシャ名 anthriskon から来たもの。セリ
 科
Anthurium n.<g. anthos(花)+oura(尾)。尾状の花序から。サトイモ科
Antidesma n.<g. anti(対する)+desmos(帯)。トウダイグサ科
Antirrhinum n.<g. anti(似)+rhinos(鼻)。特異な花冠の形から。Pliny により
 付けられた名前。ゴマノハグサ科
Antrophyum n.<g. antron(窪み)+phyo(生長)。窪みに胞子嚢が付くため。ウラ
 ボシ科
Anzia f.<人名 Anzi は恐らく18世紀の採集者であろう。ウメノキゴケ科
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