学名解説(属名)[A〜B]
 
Aphananthe f.<g. aphanes(不顕著)+snthos(花)。花序が目立たぬため。ニレ科
Apios f.<g. apios は梨の意。そのやや洋梨状の塊根から来た名。マメ科
Apium n.<g. 古語で,Celt 語の apon(水)から来た名。水湿地を好むため。セリ科
Apocynum n.<g. apo(離れた)+cyno(犬)。有毒な乳液を出し犬が死ぬため付いた
 ギリシャ名から。キョウチクトウ科
Apodicarpum n.<g. a(無)+pos(足)+karpos(果)。分果に支条がない特徴か
 ら。セリ科
Aptenia f.<g. 翼がないの意。ツルナ科
Aquilegia f.<1. aquila(鷲)。曲がった距がワシの爪に似ていることから来てい
 る。また aqua(水)+legere(集める),つまり中空の距の基に集まる分泌物に原因
 した名とも云われる。キンポウゲ科
Arabidopsis f.<g. Arabis +opsis(外観)。Arabis に似たの意。アブラナ科
Arabis f.<1. Linne により命名されたものでArabia の国名に因んだもの。アブラナ
 科
Arachis f.<g. 最初に曲がった地中結実性の果実を持つクローバーの一種に付けられ
 た名”arachidno”の短縮形。マメ科
Aralia f.<土名 French-Canada 名の aralie から。Quebec の医者Sarrasin によっ
 て Tournefort(仏)にもたらされた最初の標本に付いていた名から。ウコギ科
Archidium n.<g. arche(昔)。古型のコケであるため。蘚類
Arcterica f.<g. arktos(北)+属名 Erica。北方に産するエリカの意。ツツジ科
Arctium n.<g. arktos(熊)。キク科
Arctous m.<g. arktos(熊)。クマコケモモの日本名はこの直訳。ツツジ科
Ardisia f.<g. ardis(鎗ヤリ先,矢先),雄蘂の葯の形が似ている。ヤブコウジ科
Areca f.<土名 Malay 名(areec)から来た。ヤシ科
Arenaria f.<1. arena(砂)。この属の多くの種が砂地に生えるために付けられた
 名。ナデシコ科
Arethusa f.<g. ギリシャ神話の Arethusa の名に因む。黄金の林檎を植えていたペ
 スヘルスの娘の一人。花が美しい上に,地下に一球茎があるのをリンゴに見立てての
 名であろう。ラン科
Argemone f.<g. Pliny により付けられた草の名,それを今の植物に転用。ケシ科
Arisaema n.<g. Arum(植物名)の一種(aris)+haima(血)の意で,葉にある斑点
 に因んで付けられたもの。サトイモ科
Aristolochia f.<g. aristos(最良)+lochia(出産)の意。曲がった花の形が胎内
 に於ける人間の胎児を連想させ,また基部の膨らみが子宮を想わせるので,出産を助
 ける力を持つと考えられた。ウマノスズクサ科
Armeria f.<1. Celt 起源の古語から来たと云われるラテン名。イソマツ科
Armillaria f.<1. armilla(腕環)。傘の柄に鍔ツバのあるのを譬えた。マツタケ科
Arnica f.<1. ラテン名で,子羊の意。この名の起源は,特定の種に限られているら
 しい。キク科
Arrhenatherum n.<g. arrhen(男性)+ather(芒)。雄花には芒が著しいため。イ
 ネ科
Artemisia f.<g. ギリシャ神話の女神 Artemis(Diana)を記念して付けられたヨモ
 ギの古名。婦人病に効くためと云う。キク科
Arthraxon m.<g. arthron(関節)+axon(軸)。関節のある花軸に基づく。イネ科
Arthrothamnus m.<g. arthron(関節)+thamnos(低木,枝)。葉が広い枝状に見
 え,旧葉は関節で落ち去るため。コンブ科
Aruncus m.<1. 古語 aruncus(山羊の鬚ヒゲ)の意で,Pliny が付け,後にヨーロッ
 パのこの属の研究者等により採用された名。バラ科
Arundinaria f.<属名 Arundo(アシ)から来た名。茎がアシの太いのに似るため。イ
 ネ科
Arundinella f.<属名 Arundo の縮小形。イネ科
Arundo f.<1. アシの古代名。イネ科
Asarrum n.<g. ギリシャ古語 asaron に因むが,出所不詳。一説には花が半ば地下に
 埋もれて咲くことから。a(無)+saroein(装飾)とも云う。また asaron(枝を打た
 ぬ)で根茎が分岐しないことから来たとも云う。ウマノスズクサ科
Asclepias f.<g. ギリシャの医者Aesculapius に因んで付けられた名。ガガイモ科
Asiasarum n.<属名 アジア特産の Asarum の意。ウマノスズクサ科
Asparagus m.<g. ギリシャの古名 asparagos から,甚だしく裂けると云う意。葉状
 枝が細線状に分枝した状態を表す。ユリ科
Asperella f.<1. asper(ざらつく)から。葉面の性質からか。イネ科
Asperula f.<1. asper(粗面)の縮小形。葉面がざらつくから。アカネ科
Aspidistra f.<g. aspidion(小楯)+aster(星)。楯形で放射状に拡がった柱頭の
 形から。ユリ科
Asplenium n.<g. 脾臓(splen)の病を癒すと考えられる或るシダの名。a は語呂を
 よくするための接頭語。ウラボシ科
Aster m.<g. aster(星)。頭状花が放射状をなすことから来ている。キク科
Astilbe f.<g. a(無)+stilbe(光沢)。原種のインド種の葉がこれと似た Arun-
 cus に比して艶のなかったことによる。ユキノシタ科
Astraceus m.<g. aster(星)。皮殻が星形に割れることから。ツチグリ科
Astragalus m.<g. ギリシャの古語で,距骨(踝クルブシの骨)の意と同様にマメ科植物
 の名前にも用いられた語。マメ科
Asyneuma f.<g. a(否定)+syn(共に)+aeuma(属名 Phyteuma の略)。Phyteuma
 属と異なったの意。キキョウ科
Athyrium n.<g. athyros(入口のない)。胞子嚢の生長が,包膜の外側の縁にゆっく
 り押し付けられて出来た形を執るため。一説に athyrein(変わる),これは嚢堆の形
 がいろいろ変わることから付いたとも云う。ウラボシ科
Atractylis f.<g. atrakton(紡錘)の意。硬い総包の形から。キク科
Atriplex f.<1. 古代ラテン名。アカザ科
Aucuba f.<jap. アオキバ(日本名の方言)から。ミズキ科
Aulacolepis f.<g. aulax(溝)+lepis(鱗片)。包穎が内折して溝をなすことによ
 る。イネ科
Aulacomitrium n.<g. aulax(溝)+mitrion(帽子)。蘚帽に多数の縦溝のあること
 による。蘚類
Auricularia f.<1. auricula(耳朶ミミタブの縮小形)。体が耳朶状で質も似ている。
 キクラゲ科
Auriscalpium n.<1. auri(耳)+scalpellum(小さいメス)。体がメス状で然も先
 が耳状であることから。ハリタケ科
Avena f.<1. 古代ラテン名。初めは食物を意味した。イネ科
Avicennia f.<人名 ペルシャの学者と云われる Avicenna(980〜1036)に因む。この
 人は正しくは今のアラル海に面した10〜11世紀のホレズム国の文化が栄えたときのア
 ブ・アリ・イブン・シナと同一人である。クマツヅラ科
Azolla f.<g. 昔から意味不明。サンショウモ科
Azukia f.<jap. アズキの日本名。マメ科
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