03 希少野生動植物種の保護
 
           希少野生動植物種の保護
                                        
                           参考 林野時報 H05.11.01
 
〈国有林野における希少野生動植物種の保護管理事業を実施〉
 
〈生息・生育環境の整備〉
 国有林野には,多くの希少な野生動植物が生息・生育しており,絶滅のおそれのある
野生動植物の種の保存に関する法律の制定にみられるように,国有林野内に生息・生育
する希少な個体及びその生息地等の保護のみならず,積極的な生息地等の管理が求めら
れている。
 林野庁においては,これまで森林生態系保護地域,植物群落保護林,特定動物生息地
保護林等の保護林を設定し,希少な野生動植物の生息・生育地を保護してきたところで
あるが,以上のような状況を踏まえ,希少な野生動植物を保護増殖するため,平成5年
度より積極的な生息・生育環境の整備等を行う希少野生動植物種保護管理事業を創設し,
実施することとした。
 5年度は,「種の保存法」に基づく政令指定種及び今後政令指定が予定される等保護
増殖の実施に関し緊急性の高い次の8種について希少野生動植物種保護管理事業を実施
する。シマフクロウについては巡視及び生息地等環境管理,その他については巡視及び
保護管理対策調査を実施する。
                                                                              
 △シマフクロウ(北見営林支局)
  対象区域:知床森林生態系保護地域及びその周辺区域
 @アジアの極東部だけに生息するフクロウで,本邦では主に北海道東部に生息
 A個体数は,90〜100羽程度
 B河川の周辺区域にあるミズナラ等の大径木の樹胴に営巣し,河川や湖沼の周辺で繁
  殖活動を行う。
 C魚類が主食であるが,カエル等の両性類やネズミ等も餌としており,そのハンティ
  ングは,樹木等に待機し,直接又は,水中及び地上に降りて行う。
 D冬季にペアとなり,3月上旬に通常2個産卵し,4月上〜下旬にふ化,5月末に巣
  立ちし,通常1羽しか成鳥にならない。
                                                                              
 △タンチョウ(帯広営林支局)
  対象区域:別寒辺牛タンチョウ特定動物生息地保護林及びその周辺区域
 @北海道東部に生息
 A個体数は,約500羽程度
 B営巣地は,ヨシやスゲの広い湿原の中にあり,巣は枯れたヨシを折りとって積み上
  げる。
 C餌は小魚,水生動物,昆虫及びヨシの芽等で,冬季には餌の確保が難しいため人為
  的な給餌場に集まる。
 D3月下旬から4月にかけて産卵し,5月にふ化し,100日目ごろから飛べるように
  なる。
                                                                              
 △レブンアツモリソウ(旭川営林支局)
  対象区域:レブンアツモリソウ群生地植物群落保護林及びその周辺区域
 @礼文島の固有種で高さ25〜40pのラン科の多年草
 A個体数は,約3千個体程度
 B花は,3.5〜5.0pの大きな遍球形をした袋状の袋弁をもち,色は淡黄緑色で茎頭に
  1個つける。
 C開花期は,5〜6月で,他の草木より早く開花する。
 D発芽後,開花するまで約10年を要するといわれている。
                                                                              
 △クマタカ(前橋営林局)
  対象区域:燧ケ岳周辺森林生態系保護地域及びその周辺区域
 @日本の個体群は固有の亜種で日本国内だけに分布し,全国の山岳地帯に生息
 A個体数は,900〜1000羽程度
 B低山から亜高山の森林に生息し,留鳥性が強く,一年中同一地域で生息する。
 Cアカマツ,ヒメコマツ,モミ等の針葉樹の大径木の地上高10〜30mに営巣し,また,
  一つの縄張りの中に常に数個の営巣箇所を保有する。
 D主な餌取り方法は待ち伏せ型で,木の枝などから地上を見張り,餌はノウサギを最
  も好み,ヤマドリ等の鳥類,ヘビなども捕食する。
 E12月から1月ごろ求愛行動や巣材運びが始まり,産卵は3〜4月で1〜2個を産み,
  45日程度抱卵してふ化し,75日程度の育雛期間を経て8月上旬ごろまでに巣立ちす
  る。
 F巣立ち雛は,1羽のことが多い。
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