50a 米国の国有林野におけるレクリエーションの現況
〈国有林のレクリエーション資源とレクリエーション実例〉
19,100万エーカー(7,730万ha)の国有林の中には25万マイル(1マイル=1.6q)の林道があり,
レクリエーションのアクセスとして使われているほか,次のような資源があります。
○10万マイルのトレール・・・・・・積雪期はスキー・スノーモビル用として使われます。
○13万マイルの河川・・・・・・九つの原生・景勝指定河川を含み,釣り・ボート・ラフティ
ングなどが行われています。
○6,000ヶ所のキャンプ場・・・・・・約60万人の収容能力
○1,500ヶ所のピクニックエリア
○320ヶ所の遊泳施設
○310ヶ所の冬季専用施設・・・・・・スキーリゾートを含みます。
○1,110ヶ所のボートランディング施設
○25,000ヶ所の文化・歴史・考古学的場所
○660ヶ所のインタープリテーション・サイト・・・・・・うち52ヶ所はビジターセンター
国有林でのレクリエーション形態は,原生自然の中でのバックパッキングから,スキー
リゾートまで幅広いです。ここでは,森林局が用いているのはROS(Recreation Op-
portunity Spectrum)というレクリエーション形態分類システムにしたがって実例を紹
介しましょう。
ROS分類とレクリエーション活動
分 類 定 義 レクリエーション活動
原始区域 自然環境は原生に近く,利用者数は低く抑え バックパック・登山・
られている。利用者間の接触はほとんど無い。 乗場・カヌー・クロス
レクリエーション施設も最低限に抑えられてお カントリースキー
く原動機不可。レクリエーションにおいてある
レベルの技術が必要。
準原始/原動 原始区域に近いが利用者数がやや多く利用者 ハイキング・フィッシ
機不可区域 間の接触がある。利用規制も有り得る。レクリ ング・ハンティング・
エーション施設はあるが粗野。原動機の使用は バードウォッチング
不可。
準原始/原動 原動機の使用は認められている地域でアクセ キャンプ・ボート・ラ
機可区域 スが容易。従い利用者間の接触も多くなる。利 フティング・スノーモ
用規制も有り得る。道路状況は必ずしも良くな ビル・山菜採り
い。施設はあり。大型動物の接触もまだある。
林道付帯型自 景観的には自然に近いが,人工的改変がある オートキャンプ・レジ
然区域 。他人の存在・騒音がしばしばある。通常の車 ャーボート・水上スキ
両の交通が可能。施設は良い。小動物の接触も ー・水泳・ピクニック
まだある。
里型区域 環境は基本的に人工的改変がある。他人の存 オフロード車,山小屋
在・騒音が頻繁になる。施設は多人数で使用で ・貸別荘・野外スポー
きるものとなり駐車場も整備されている。 ツ
都市型区域 都市型環境が出現。リゾートタイプ。植生も スキー場・各種リゾー
人工的。人造建造物(ホテル・スキー場)が多 ト
い。
注:レクリエーション活動の欄の例は,その活動が,その区域から下位の区域にかけ
て見かけられるもので,決してその区域だけで行われているものではありません。
上の表以外に,原生自然地域と呼ばれる特別区においては,ROSの原始地域よりさ
らに厳しい環境保護が行われており,バックパッキングや登山などが厳しいルールの下
で許可されています。
〈国有林と国立公園におけるレクリエーションの違い〉
一般的にいえば国立公園では観光・見物的レクリエーションであり,国有林では自然
体験型レクリエーションということができます。この両者の相違点は,基本政策とそこ
から派生する具体的レクリエーション方針の違いに因るものです。
国有林と国立公園におけるレクリエーションの相違点
区 分 国有林 国立公園
監督官庁 農務省森林局 内務省国立公園局
政策 「多目的利用・持続的利用」 「自然環境の保全とレクリエーショ
ン利用」
∞林業・牧畜・レクリエーション・ ∞原則的に消費型産業(林業・牧畜
水源保護・野生生物・原生自然地 ・鉱業)は禁止
域の管理
∞民間企業数比較的少数 ∞民間企業多数参入
レクリエー ∞ハンティング認可 ∞ハンティング禁止
ション活動 ∞フィッシング認可 ∞フィッシング認可
の特色 ∞スキー・リゾート/貸別荘 ∞スキー・リゾート少数
∞オフロード車認可 ∞オフロード車禁止
∞入園(山)料なし ∞入園料あり
∞解説者によるインタープリテーシ ∞解説者によるインタープリテーシ
ョン少ないが,説明板などあり ョン多い
資源概要 管理地 19,100万エーカー 管理地 7,400万エーカー
∞156国有林区分,9国立レクリエー ∞48国立公園,78国立記念物,62国
ション区域,19原生・景勝指定河 立歴史記念物ほか400以上の管理
川,3,200万エーカー原生自然保護区 ヶ所,3,500万エーカー原生自然保護
区
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