16 植物基本用語
 
           植物基本用語
                           参考:牧野日本植物図鑑
 
落葉樹:春から夏に葉が茂り,秋から冬には落葉する樹木
常緑樹:秋から冬にも落葉せず,1年間を通じて常に緑葉のある樹木
 
1年草:春に芽を出し,その年のうちに開花,結実して枯れる草木
2年草:秋に発芽し,翌年に開花,結実して枯れる草木
多年草:地上部は毎年枯れるが,地下部は枯れずに何年も残る草木
 
 
【花】
 
雌雄同株:雄花と雌花とが同じ1本の株につく。
雌雄異株:雄花と雌花とがそれぞれ別の株につく。
離弁花 :花弁はそれぞれ分かれており,基部で癒合していない花。
合弁花 :花弁が基部で癒合している花。
花被  :がくと花弁をまとめて花被といい,両者の区別がつかない場合も花被という。
裸花  :無花被花ともいい,花には花被がない。
花托  :花柄の先端で,花がついている部分をいう。花床ともいっている。
柱頭  :雌ずいの先端で,花粉を受ける雌性の生殖器官の一部。
雄ずい :おしべともいい,やくと花糸よりなる雄性の生殖器官。
雌ずい :めしべともいい,柱頭,花柱及び子房よりなる雌性の生殖器官。
やく  :おしべの一部分で,中に花粉が入っているふくろ。
花糸  :おしべの一部分で,やくをおさえている柄。
仮雄ずい:退化した雄ずいのことで,ふつうの雄ずいより小さく,その機能をなさない。
子房  :めしべの下部のふくらみのことで,内部に胚珠があり,後に果実になること
     が多い。
心皮  :子房の壁のことで,結実すると種子を包み,果皮となる。
胚珠  :めしべの子房の中の部分で,花が終わると種子になるもの。
胎座  :子房の中の胚珠がつくところをいう。
副がく :普通のがくの外側に生じたがく状のもの。
がく筒 :がく片が互いにくっついていて,筒形になってる部分のことをいう。ナンテ
     ンハギ,チョウセンアサガオなど。
頂生花 :花軸の先端についている花で,チューリップなど。
花軸  :花がつく枝で,又は茎のことである(花柄とはちがう)。
花柄  :花硬ともいい,花がじかに花軸につかず,柄がついて,その先に花をつける
     場合の柄が花柄である。また柄のない花もある。
冠毛  :舌状花や管状花の子房の先にある毛のようながくの変形したもの。
両性花 :雌ずいと雄ずいのある花をいう。雌ずい,雄ずいのどちらかのないような花
     を単性花という。
りん片 :生物体の表面に生じるウロコ状のもの。花序の一部で花被のない花につき,
     保護しているものをいう。
 
【花冠】
 
花冠  :花の花弁の全部を花冠といい,めしべとおしべの外側にある。植物によって
     放射状,左右相称など形が異なる。
     形の例 ノイバラなどのバラ形,ハマギクなどの舌ゼツ状形,キリなどの筒
     形,フジなどの蝶形,スイカズラなどの唇形,ゴマキなどの車形,サラサド
     ウダンなどの釣鐘形,ドウダンツツジなどの壷形,クサギなどの高盆タカボン
     形,アサガオなどの漏斗ロウト形等
副花冠 :花冠ののどの部分で,おしべにくっついているたく葉に相当するもので,花
     弁のようにみえる。スイセンの内側の花冠。
距キョ  :距には花冠の距,がくの距がある。これは花弁やがくの一部が袋状に細長く
     突き出したものである。スミレ,ヒエンソウなど。
 
【花序】
 
花序  :花が茎又は枝に規則正しく排列する状態。無限花序と有限花序に大別。
     花序には次のようなものがある。
     総状花序,頭状花序,散房花序,散形花序(傘形花序),肉穂花序,円錐花
     序,穂状花序,尾状花序,岐散花序,互散花序,巻散花序,隠頭花序,輪散
     花序,密錐花序。
 
【果実】
 
偽果(仮果):子房が生長してできた果実を真果といい,子房以外の花床(托),がく,
     総包などの部分が生長して果実になったもの。イチゴ状果,クワ状果など。
真果  :花の子房が熟してできた果実のことで,偽果に対しての語,大部分の果実は
     真果のものが多い。
殻斗カクト :コナラ,カシワなどの果実のもとにさかずき状,又は袋状のからがついてい
     る。このからを殻斗といい,これは多数の包葉が生長したものである。
仮種皮 :種皮と種子の間にある種子をつつんでいる薄い膜をいい,花のときの胚珠の
     柄や胎座の一部が大きくなったもので,そのまま成長したもの。
ミカン状果:ミカンなどの柑橘類の果実をいい,多くの心皮が互いにくっついている液
     果。
石果(核果):果実の外果皮が薄く,多肉の中果皮があり,その中に石のように堅い核
     がある。種子は核の中にある。モモ,ウメなど。
液果  :漿ショウ果ともいい,中果皮,内果皮が水分の多い肉質でやわらかく,熟しても
     さけない。また,多少堅い種子がある。ブドウ,トマトなど。
乾果  :熟すると果皮が乾燥する果実のことをいい,不裂果と裂開果とがある。アブ
     ラナ科キク科など。
そう果 :種子のようにみえる果実で,果皮は薄い膜質で熟すと乾燥するがさけない。
     タンポポ,ウマノアシナガタなど。
ウリ状果:液果の一種で,果実の外果皮が堅く,その中に水分の多い液質の組織があり,
     熟してもさけない。また多少堅い種子がある。ウリなど。
袋果  :果実の心皮が1枚で,熟するとたてにさける。アケビ,ボタンなど。
朔サク果 :子房が多心皮でてきており,多室で,熟すとさけて種子がでる。ヤマツツジ,
     ヤマユリなど。
蓋ガイ果 :果実が熟すと横にさけ目ができ,上の方がふたのようにとれ,その中に種子
     がある。オオバコなど。
穎エイ果 :殻果ともいい,みたところ種子のようで,果実の果皮は薄い皮になっている。
     イネ,コムギなど。
胞果  :小さな袋状(薄い膜状の果皮)のものの中に1個の種子がはいっている。熟
     すとさける。イヌビユなど。
翼果  :堅果に果皮がのびてできた翼がある果実。カエデ科の果実。
堅果  :木質の果皮が乾燥してかたくなり,裂開しない果実。コナラ,クヌギなど。
集合果 :多花果,複果ともいう。いくつか集まった花の子房が熟して,全体で一つの
     果実のようにみえるもの。クワ,パイナップルなど。
球果  :円錐果ともいう。裸子植物のスギやマツの果実のように雌花の球花が発達し
     て,厚く木質になった多数の果鱗が中の軸のまわりに密につき,球形か円錐
     形になる。
イチゴ球果:偽果の一つで,花托が頭状に肥大して多漿になって果実状になり,真の果
     実は種子のように表面に散在する。イチゴなど。
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