15 フラワー・ピクルス
 
            フラワー・ピクルス
 
 樹の花の塩漬けはいかがでしょうか。
 香りや色合いを楽しみながら,わが家のオリジナルなフラワー・ピクルスをつくって
みませんか。
 
 
T うめの花の梅紅肉漬け
 
 春のメッセンジャーは「梅の花」です。古来,鴬とともに日本人に親しまれてきまし
た。
 梅はまた,その実が健康食品です。ご飯を主食とする私共にとっては,一日1個の梅
干しは必要不可欠です。
 それでは,うめの花の梅紅(肉)漬けをつくってみましょう。
 
 ○梅花紅漬け(短期保存)
 
1 うめの花の採取
  一重咲きの梅花で7,8分咲きのものを萼ガクごと採取します。
  採取した桜花は,水洗いをし,布などでよく水を切ります。
 
2 漬け汁
  塩1.2リットル,水1.8リットル(塩2,水3)の割合の塩水を5分間程度沸騰させ
 た後,十分冷やします。
 
3 塩漬け
  水切りした梅花を容器に入れ,漬け汁を注いで軽い重石をします。
 
4 食べ方
  花湯(次項のさくら湯参照)や,塩出しして酢のものなどに用います。
 
 ○梅肉漬け(長期保存)
 
1 梅肉
  梅肉を摺りつぶします。
 
2 漬け方
  梅肉を容器(樽)の底に2,3pの厚さに敷き,水切りした梅花を並べ,そして晒
 木綿を敷きます。これを重ねていきます。
  最上部と底の梅肉は厚目にして下さい。
  冷暗所で保存します。
 
3 食べ方
  さくら湯(次項参照)のように利用します。
 
 
U さくらの花の紅漬け
 
 結婚式などおめでたい席には,「さくら湯」が出されます。
 白湯に浮かぶ薄紅色をしたさくらの花の優雅さは,その香りとともに日本人の文化意
識に合致します。
 
1 さくらの花の採取
  5〜6分咲きの花を花柄(つる)ごと採取します。満開の花ですと色があせたり,
 花弁が取れたりしますので,満開になる前に取りましょう。
  品種は,濃紅紫色の八重桜が最も適しています。
  仕上がりの色や姿などから八重咲きの桜「関山カンザン」が一番ふさわしいようです。
  紅色の濃さが決め手です。
  一重咲きの花でも差し支えありませんが,八重咲きより少し物足りない感じがしま
 す。
  一方,黄色の桜「鬱金ウコン」,緑色の桜「御衣黄ギョイコウ」などはまた別の趣がありま
 す。
  採取した桜花は,薄い塩水でていねいに洗った後,ざるに入れてよく水を切ります。
 
2 漬け汁
  塩と水を同量にして煮立てます。
  色の出を良くするためにヤキミョウバンを入れます。塩漬けしますと多少色があせ
 ますがやむを得ません。
  また赤梅酢を用いるのも良いでしょう。
 
3 塩漬け
  ひたひたになる位に漬け汁を注加し,4,5日間漬けます。
  重石は軽めにします。
  一夜漬けですと香りはいいですが,青臭みが少し残っています。
  取り出したら絞って水を切り,冷蔵して置きます。
  また水を切ってから,ざる又は新聞紙に広げ,半日ほど干しておくのも良いでしょ
 う。
  なお,長期間保存したいときは,桜花と塩を交互に敷き詰めて漬けます。
 
4 さくら湯
  漬けました桜花を清水で洗います。これは,桜花に付着している塩分をとるためで
 す。漬けたままの桜花ですと,お湯を注いでも塩辛いです。
  ひと洗いした桜花は絞って水を切り,白色無地の茶碗に2〜3ケ入れて熱めのお湯
 を注ぎます。
  又はお湯を茶碗に注いでから,桜花を浮かばせるのも良いでしょう。
 
5 食べ方のいろいろ
  吸物にも用いられます。
  おにぎりやまぜご飯,あるいはサラダなどにも合います。
  お酒好きの方は,熱燗に浮かべたり,お湯わり焼酎に入れたりすると,酒席が和や
 かになります。
 
 
V 一般的花類の塩漬け
 
1 花の採取
  満開の花を採取します。
  萼ガクを取り除いて,水洗いをし,水を切ります。
 
2 漬け汁
  塩3,水1の割合の塩水を沸騰させ,冷やします。
 
3 塩漬け
  花が丁度浸かるように漬け汁を注ぎます。
  冷暗所に1,2月間保存した後,漬け替えます。
 
4 漬け替え
  容器から花を取り出して,水を固く絞ります。
  花と塩を交互に敷きながら漬け替えます。底部には塩を厚く敷きます。
  冷暗所に置くと何カ月も保存できます。
 
5 花のいろいろと食べ方
  梅花,桜花のほか,モクレン,タンポポ,春蘭など,また菊や牡丹の花などはどん
 な色でもよろしいです。
  食べるときは塩ぬきし,何にでも利用できます。
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