03j 日本の自然100選
 
〈九州・沖縄〉
 
  83 宝満山 ― 霊験で守られてきた自然(福岡県)
                                                                             
 宝満山ホウマンザンは九州で最も登山人口が多いといわれています。標高830m,「学問の
神様」で有名な太宰府天満宮の背後に,かまどを伏せた形で横たわり,別名竃門山カマド
ヤマと呼ばれています。麓の竃門神社下宮一帯は照葉樹林のスダジイなどが広がっていま
す。
 植物:スダジイ,カエデ類,ナラ,クヌギ,スギ,ヒノキ,モミ,ツクシシャクナゲ
 動物:フジミドリシジミ(チョウ)
 
  84 英彦山 ― 修験道の歴史とともに(福岡県)
 
 英彦山ヒコサンは,奈良県の大峰山,山形県の出羽三山とともに日本三大修験道場として
知られています。英彦山は添田郡添田町にあり,標高1200m,古い歴史と信仰の故に豊
かで学術的価値の高い自然が守り続けられてきました。
 植物:ブナ,シオジ,ヒコサンヒメシャラ,クマイザサ
 動物:タカチホヘビ,クマタカ,ブッポウソウ
 
  85 豊前海岸 ― 青ギスふえる「環境権」の海(福岡県)
 
 山口県と九州東岸に囲まれた周防灘の九州側は,地元では,豊前海トゼンカイと呼ばれま
す。潮干狩りなど土地の人びとの暮らしに深く結びついています。
 動物:シギ類,チドリ類,アオギス,ハゼ,カレイ
 
  86 虹の松原 ― クロマツが百万本(佐賀県)
 
 地元では,マツの小枝をサカキの代わりにして,潮に浸して清め,神前に供えます。
 虹ニジの松原は約240ha,ほとんどクロマツで約100万本が生育しています。江戸時代
の初期,三百数十年前に,唐津藩主寺沢志摩守が,潮風から田畑を守るための防風林と
して植えたのが始まりです。
 植物:クロマツ,ニセアカシア
 
  87 黒髪山 ― 雲海にそびえる岩びょうぶ(佐賀県)
 
 黒髪山クロカミヤマは標高518m,山域は伊万里市など2200haあります。雌岩,雄岩など奇岩
が巨大なびょうぶのようにそそり立ち,かつての溶岩流が浸食されたものです。
 植物:ヒレフリカラマツ,ヤツガシラ,ガンビ,クロカミシライトソウ(ユリ科),
カネコシダ
 
  88 多良岳 ― 「水筒のいらない山」(長崎県)
 
 多良岳タラダケは雲仙・天草,西海の両国立公園にはさまれた形で長崎,佐賀県境にそ
びえています。最高峰の経ケ岳(1076m),五家原岳(1058m),多良岳(983m)を中心
とした連山で,総称して多良岳と呼ばれます。広大な裾野は美しく,これらの山々が連
なる静けさも魅力です。
 植物:ツクシシャクナゲ,センダイソウ
 動物:ムササビ,カスミサンショウウオ
 
  89 千々石海岸 ― 活断層の絶壁の下に(長崎県)
 
 千々和チヂワ海岸は長崎半島と島原半島に囲まれた橘湾の最奥部にあります。砂浜が約
2qも続きます。夏は海水浴で賑わっていますが,海岸沿いの松原は,藩主松倉重政が
田畑を守る防風林,防砂林として植えたものです。
 植物:クロマツ,ソメイヨシノ
 
  90 江津湖 ― かがやき,いつまでも(熊本県)
 
 江津湖エヅコは熊本市の南東に位置します。水面積約50haで,上江津と下江津とに分か
れ,その境目がキュッとくびれたひょうたん型になっています。菊池,託麻原の両台地
からの地下水が湧いた湖水は加勢川に注ぎます。最深部でも2.5mと浅く,これが水生植
物のこのうえない宝庫にしています。
 植物:ヨシ(アシ),ホテイアオイ,オオカナダモ
 動物:ハクチョウ,カモ類,サギ類,ゲンジボタル,トンボ類,ボラ,スズキ,クル
メサヨリ,カゼトゲタナゴ,タカハヤ,ウスイロオカチグサ(巻き貝),カダヤシ,ア
メリカザリガニ
 
  91 市房山 ― ”お嶽さん”は天然の大植物園(熊本県)
 
 九州中央山地国定公園の中,熊本と宮崎の県境にそびえる市房山イチフサヤマは,標高1722
mで,人吉・球磨盆地の人々は”お嶽さん”といって親しんでいます。
 植物:スギ,ツガ,ブナ,ヒメシャラ,アオキ,ツクシアケボノツツジ,イチフサグ
ミ,ケクサスゲ
 動物:ニホンカモシカ,ヤマネ,コシジロヤマドリ,ゴイシツバメシジミ(チョウ),
ユキマダラセセリ(チョウ)
[次へ進んで下さい]