03a 日本の自然100選
 
 9 白神山地のブナ林 ― 国内最大級の原生林帯(秋田県)
 
 白神山地シラガモサンチ,とりわけ秋田県北部の粕毛川流域から,青森県南部の標高1000m
の山並みに広がるブナ林は,面積実に16000haです。まとまって残るブナ林としては国
内最大規模の原生林帯です。一帯には太古の自然がそのまま残されており,里人でさえ
もマタギなどの案内人がなければ容易に近づけません。原生自然が完璧な形で保たれて
います。
 植物:ブナ,ミズナラ,ヒロハツリシュスラン,カラクサシダ,コバイケイソウ,サ
ンリンソウ
 動物:ニホンザル,ニホンカモシカ,ツキノワグマ(ワタリグマ),シノリガモ,イ
ワナ
 
 10 能代海岸の砂防林 ― 7百万本のクロマツ(秋田県)
 
 能代ノシロ海岸の砂防林は,日本海に沿って南北に伸び,その面積760haです。松林が延
々と約14qも続きます。緑の樹海はすべてクロマツの林です。その数はざっと700万本
です。なかでも能代市の市街地のすぐ西にある後谷地の松林は,日本の海岸砂防林のお
手本とされます。約300万本の松が整然と並び,樹齢百年を超す老松も多いです。
 植物:クロマツ,キンダケ(茸)
 
 11 今神山 ― 月山信仰が保存した自然(山形県)
 
 今神山イマガミヤマは,月山(1980m)の山麓に広がる標高300〜1000mの丘陵地帯の総称で
す。「みだりに踏み込むとたたりがある」と伝えられ,地元の人たちも,ほとんど入ら
なかったため,ブナの原生林が残りました。この標高では奇跡的といわれます。
 植物:ブナ,ミズナラ,ウワミズザクラ,ヒメサユリ,ヒメミズニラ
 動物:テン,ムササビ,キツネ,タヌキ,カルガモ,カイツブリ,ノスリ,オオタカ,
ケラ類,キセキレイ,サンショウクイ,ヤブサメ,キビタキ,オオルリ,カラカネトン
ボ,ルリイトトンボ,キイロマツモムシ,メススジゲンゴロウ,モリアオガエル
 
 12 寒河江川・朝日川上流のブナ林 ― わが国最大のブナ原生林(山形県)
 
 わが国最大のブナ原生林で,本当の魅力に触れようと思ったら,山登りの覚悟が必要
です。磐梯朝日国立公園の朝日連峰の一角です。主峰大朝日岳(1870m)に切れ込んだ
寒河江川サガエガワ・朝日川のV字渓谷に添い,山麓から標高1300m付近にかけ,計約2万
3千4百haの樹海が広がっています。樹齢は250〜600年です。直径1mを超す大木も多
いです。
 植物:ブナ,ヒメユリ,ミズバショウ,コバイケイソウ,
 動物:ツキノワグマ,ニホンカモシカ,ニホンザル,キツネ,ムササビ,アナグマ,
オオルリ,コガラ
 
  13 伊豆沼・内沼 ― 冬鳥飛来,数も種類も抜群(宮城県)
 
 伊豆沼イズヌマは宮城県の北部にあり,内沼ウチヌマとは浄土川で結ばれ,両沼を合わせま
すと520haあります。沼底が極端に浅く,両沼周辺には水鳥が好んで食べるマコモや,
鳥が姿を隠し易いアシが生い茂っています。
 植物:ヨシ(アシ),ハス,マコモ
 動物:ハクチョウ類,ガン,カモ類
 
  14 広瀬川 ― 杜の都,シンボルの清流(宮城県)
 
 広瀬川ヒロセガワは,奥羽山脈船形山に源を発し,太平洋に注ぎます。全長45.5qです。
山形県境関山付近の水を集め,仙台市の西部から南東部へと,蛇行しながら貫きます。
仙台市街地でも,大都会には珍しい清流を保ち,野鳥,魚,植物の宝庫で,市民の憩い
の場になっています。
 植物:イヌシデ,ケヤキ,ヤナギ類,オニグルミ,タヌキラン,オオイタドリ
 動物:ヤマセミ,カワセミ,チョウゲンボウ,アユ,ウグイ,ホタル,カゲロウ,ト
ビゲラ,カジカガエル
 
  15 信夫山 ― 「三山暁参り」のにぎわい(福島県)
 
 福島盆地を空から見ますと,市街地の真ん中に,ラクダのこぶのように飛び出してい
る緑の塊があります。それが信夫山シノブヤマです。
 三つの峰に分かれていますが,最も高い熊野峠でも268.2mです。
 植物:アカマツ,スギ,クリ,カエデ類
 動物:キビタキ,ホオジロ
 
  16 新舞子浜のクロマツ林 ― ”七浜の町”三百年の遺産(福島県)
 
 太平洋の波が寄せるいわき市新舞子浜の砂浜に沿って,クロマツの林が約10qにわた
って帯のように伸びています。「白砂青松」そのものです。市の面積が日本一,53qの
海岸線を持ち,「いわき七浜」の名でも知られる海の町のシンボル的な自然です。クロ
マツは「市の木」にも指定され,林は歴史的にも意義のある文化財的遺産でもあります。
 植物:クロマツ,タブ
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