03 日本の自然100選
 
              日本の自然100選
 
                    朝日新聞社と森林文化協会が昭和58年に公
                   募した「二十一世紀に残したい日本の自然
                   100選」です。
                    あなたが旅行されたところは,何個所です
                   か。
                    GLN「日本の自然100選(百選)」もご覧下
                   さい。              SYSOP
 
〈北海道〉
 
 1 知床半島の自然林 ― ヒグマ100頭前後が生息
 
 知床シレトコはアイヌ語のシリエトク(地の果ての意),オホーツク海に突き出た長さ70
qの半島で,総面積40万haです。中央を羅臼岳(1660m)を主峰とする知床連峰がそび
え立っています。険しい地形と厳しい気候は,人が容易に近づき,住むことを長い間阻
み続け,わが国でも数少ない原始の姿を保ってきました。
 植物:エゾマツ,トドマツ,エゾイタヤ,ダケカンバ,ハイマツ,イワベンケイ,エ
ゾヨモギギク,ハクサンチドリ,シレトコスミレ,コマクサ
 動物:ヒグマ,エゾシカ,オジロワシ,オオワシ,アザラシ
 
 2 釧路湿原 ― タンチョウヅルの生息地
 
 わが国最大の低湿地帯の釧路湿原は,釧路市の背後に,左の掌を開いた形で広がりま
す。面積は2万9千haで茫々と広がっています。
 植物:ハンノキ,エゾイソツツジ,ツルコケモモ,ヨシ,スゲ類
 動物:タンチョウヅル,オオハクチョウ,カモ,ガン,バン,エゾカオジロトンボ,
サケ,マス,イトウ,キタサンショウウオ
 
 3 富良野の樹海 ― 野鳥の楽園,東京大学演習林
 
 富良野市の大麓山山麓に東京大学北海道演習林があります。面積は2万3千haです。
 植物:トドマツ,エゾマツ,ミズナラ,ヤチダモなど430万本,野生植物379種
 動物:エゾシカ,イタチ,タヌキ,ヒグマ,クマゲラ
 
 4 函館山 ― 植林の歴史が育てた自然
 
 麓に古い町並みの続く函館山は,自然がたっぷりの憩いの場です。山頂に続く旧山道
の周囲には,スギやマツ,カシワの深い木立が山を覆っています。この自然は,単に自
然がそのまま残ったわけではありません。長い間の植林の歴史がこの自然を育てあげて
きました。
 植物:スギ,アカマツ,カシワ,トドマツ,ヒノキ,ハコダテネコノメ
 動物:ウグイス
 
〈東北〉
 
 5 屏風山湿原 ― 海岸高層湿原の南限(青森県)
 
 屏風山ビョウブサンは,岩木山(1625m)と並んで津軽地方で最も親しまれています。岩
木山が津軽平野にそびえ立つ秀峰なのに対し,屏風山は「山」というイメージからは程
遠く,高さ79m,南北約30q,東西3〜5qの,日本海に沿った細長い丘陵地です。
 もともと砂丘でしたが,江戸時代,津軽藩が岩木川流域を新田開発するため,防風,
防砂などを目的に植林しました。平野部から眺めますと,あたかも屏風を立てたように
見えますことから,屏風山と呼ばれるようになりました。
 植物:カシワ,クロマツ,ミズゴケ,ニッコウキスゲ,ノハナショウブ,イトハコベ,
スイカ,メロン
 
 6 蔦温泉の自然林 ― 清澄な沼と典型的な「雪田」(青森県)
 
 高知県出身の紀行文家大町桂月(1869〜1925)は,十和田湖,奥入瀬渓流を全国に紹
介し,辞世の歌として「極楽に越ゆる峠の一休み蔦のいで湯に身をば清めて」と詠みま
した。八甲田山の南側,標高780m,峠を少し下ったところに蔦ツタ温泉があります。桂月
の思い入れは激しく,晩年には戸籍を移し住みついたほどです。今,小高い丘の林の中
で眠っています。かたわらの薬師堂には,日本画家小杉放庵作の「薬師如来像」が置か
れています。
 植物:ブナ,トチノキ,ミズナラ,サワグルミ,カツラ,ツタ
 動物:ニホンカモシカ,キツネ,ノウサギ,ムササビ,ヒメマス,コイ,ニジマス,
イワナ
                                                                            
 7 櫃取湿原 ― 北上山地の奥にひっそり(岩手県)
 
 四国四県に相当する岩手には,まだ未開の自然が数多く残されています。地元民さえ
行かぬ昔のままの姿がそこに眠ります。櫃取ヒツトリ湿原もその一つといえます。
 ミズバショウが一面に咲く5月から,その周囲にハクサンシャクナゲが群生する7月
までが,この湿原の一番にぎわう季節です。一部のハイカーや渓流釣りを楽しむ太公望
以外,訪れる人も少ないです。
 一年の大半は深い雪で覆われ,容易に人を寄せつけません。厳しい気象条件に加え,
交通の不便さが,櫃取湿原を昔のままの姿に保全しているのかも知れません。
 植物:ミズナラ,カンバ,ブナ,ハクサンシャクナゲ,ハンゴンソウ,ヤマドリゼン
マイ,チシマザサ,ミズバショウ,ヒメシダ,ミズギク
 動物:ツキノワグマ,ニホンカモシカ,アナグマ,ムササビ,テン,ヤマネ,クマタ
カ,フクロウ,イワナ
 
 8 五葉山 ― ホンシュウジカの宝庫(岩手県)
 
 岩手県内に数多く残っています自然の中で,ホンシュウジカの生息地として知られま
す五葉山ゴヨウサン(1341m),6月にはツツジが,7月には山頂付近のシャクナゲの群生
がそれぞれ満開の花をつけます。この山のシーズンは4月から10月までです。春には,
ハイカーばかりでなく,地元の人たちが大勢,豊かな山菜を求めて山に入ります。また,
五葉山からは三陸海岸,遠く金華山などが望めます。
 植物:ハイマツ,ミズナラ,ダケカンバ,ウリハダカエデ,アオダモ,ミネコザクラ,
ナナカマド,ミネカエデ,コバノトネリコ,コメツガ,ヒノキアスナロ,ゴヨウザンヨ
ウラク,ミヤマニガイチゴ,キタノカワズスゲ,アカンスゲ,ミヤマホンツツジ,シロ
バナシャクナゲ,
 動物:ホンシュウジカ,ニホンザル,ツキノワグマ,テン,タヌキ,ホオジロ,ウグ
イス,ヒヨドリ
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