16a 山の実
 
トチノキ [橡・栃・七葉樹 とちのみ]トチノキ科
 旬の姿 葉が枯れて茶色になる頃,枝先に着いたピンポン玉大の実は縦に割れて,中
  から艶々した焦茶色の種子が現れる。
 採取の適期 9〜10月
 分布 北海道〜九州北部
 生育環境 山の林に生育する。
 採り方 落ちた実を拾うか,落として採る。
 食べ方 よく乾燥した実を10日程水に漬けて皮を剥き,更に20日程木灰を入れた水で
  アク抜きする。糯米と共に蒸して餅に搗き,黄粉や砂糖を付けて食べる。
 
ズミ [桷・棠梨 こりんご・こなし(小梨)]バラ科
 旬の姿 秋に赤又は黄色に熟す。
 採取の適期 9月末
 分布 全国
 生育環境 川縁の堆積地など水気の多い処に群生するる
 採り方 真赤に熟した実を房毎摘み採る。
 食べ方 酸味があるので生食はあまりせず,焼酎に漬けると上等の果実酒になる。一
  寸渋味がある。
 ○北海道に生育するエゾノコリンゴやオオウラジロノキなどの実も,同様に果実酒に
  する。
 
ウワミズザクラ [上溝桜・上不見桜 あんにんご(杏仁子)]バラ科
 旬の姿 若い葉と蕾は山菜とし,熟した実も食べられる。
 採取の適期 芽は4〜5月,実は9〜10月
 分布 全国
 生育環境 山地の林内に生える。
 採り方 たおやかな枝を手繰り寄せて房状の実を採る。
 食べ方 極若い芽は塩茹でし,菜飯にすると香りが立ち美味しい。塩揉みすると杏の
  ような香りがし,これを杏仁子と云う。実は焼酎に漬けて果実酒にする。
 ○近似種のシウリザクラやイヌザクラは利用されない。
 
シロバナノヘビイチゴ [白花の蛇苺 もりいちご(森苺)]バラ科
 旬の姿 オランダイチゴの仲間で,長い茎を伸ばしてその先に実をぶら下げ,真赤に
  色付く。途中で虫に喰われたり,とろけてしまうので,花の数より実の数は少ない。
 採取の適期 7月
 分布 本州中部地方
 生育環境 山の中の草地に生える。
 採り方 実は柔らかいので,一粒ずつ丁寧にカップなどに摘み採る。
 食べ方 酸味相和は美味,生食にする。ケーキに載せたり,ジャムなどにもする。
 
ノウゴウイチゴ [能郷苺]バラ科
 旬の姿 オランダイチゴの仲間で,シロバナノヘビイチゴより葉も実も小さい。赤熟
  した実を食べる。
 採取の適期 7〜8月
 分布 北海道・本州の日本海側
 生育環境 シロバナノヘビイチゴよりも深い山の草むらに生える。
 採り方 実の下の柄を付けると見栄えが良く,一粒ずつ摘み採る。
 食べ方 普通は生食し,ジャムにもする。
 
ナナカマド [七竈]バラ科
 旬の姿 紅葉した枝先で赤く熟した実を利用する。
 採取の適期 9〜10月
 分布 全国
 生育環境 亜高山帯に生育し,街路樹としても植えられている。
 採り方 房毎切り採る。
 食べ方 生食はせず,専ら焼酎に漬けて果実酒にする。苦味が出るので1ケ月経った
  ら実を捨てる。
 
ヤマブドウ [山葡萄]ブドウ科
 旬の姿 数mの高さの木に絡み,黒く熟す。
 採取の適期 9〜10月
 分布 北海道〜四国
 生育環境 他の木に蔓で絡んで生育する。
 採り方 蔓を手繰り寄せて房毎むしり採る。
 食べ方 酸味が強く,ジュース(種子と皮は除く)にすると美味しい。発酵酒は造れ
  ない。
 
マタタビ [木天蓼 かたしろ]マタタビ科(雌雄異株)
 旬の姿 成熟前の緑色の実と,虫が寄生して瘤コブになった実を利用する。マタタビの
  実には柄がない。
 採取の適期 9月
 分布 全国
 生育環境 林の周辺の低木に絡んで生育する。
 採り方 実のなっている枝を手繰り寄せて,一つずつ採る。
 食べ方 生食はせず,塩漬けにして食事のときに数個食べる。虫瘤の実は蒸して(中
  の虫を殺す)から干し上げ,焼酎に漬けて薬酒とする。
 
サルナシ [猿梨 こくわ・しらくちづる]マタタビ科
 旬の姿 葉の付け根に柄の付いた緑色の実が鈴なりになる。
 採取の適期 9〜10月
 分布 全国
 生育環境 山の林の周辺に生える。
 採り方 木に登って実を一つずつ採る(枝を手繰り寄せておくと,次年度以降採取が
  楽になる)。
 食べ方直ぐに食べないで追熟させ,少し萎びた頃に生食,美味しい。ジャムにもする。
 ○西日本のシマサルナシも美味しい。
 
クロマメノキ [黒豆の木 あさまぶどう(浅間葡萄)]ツツジ科
 旬の姿 浅間山の産で,青黒い実に白い粉が一面に吹いた頃が食べ頃。
 採取の適期 9月
 分布 北海道・本州中部地方以北
 生育環境 高い山の礫地などに生育する。
 採り方 熟した実を一粒ずつ摘み取る。木の下に布などを敷くと,こぼれた実も集め
  られる。潰さないように注意する。
 食べ方 ジュース,ジャム,ケーキなどのトッピングにする。
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