16 山の実
 
                山の実
 
            参考:永岡書店発行「山菜・木の実・草の実ガイドブック」
 
〈山の実〉
 
カヤ [榧 かやのみ]イチイ科
 旬の姿 垂れ下がった枝の先に2,3個の実がなり,熟すと殻が割れて褐色の種子が
  散る。
 採取の適期 10月
 分布 本州・四国・九州
 生育環境 暖地の林に自生,神社の境内にもよく植えられている。
 採り方 殻が割れた頃に摘み採る。
 食べ方 渋があるので灰汁で茹で,更に灰汁に漬けて渋を抜き,煎って食べる。煎っ
  た種子から搾った油は高級な天麩羅油として利用される。
 ○カヤとイヌガヤの区別点 カヤの葉先には刺があって触ると痛く,実には柄がない。
  イヌガヤの葉先は柔らかく,触っても痛くなく,実には1p程の柄があり,食べら
  ない。
 
イチイ [一位・櫟 あららぎ・おんこ]イチイ科
 旬の姿 そろそろ山の木が色付き出す頃になると,黒々としている常緑のイチイがぱ
  っと明るくなる。葉の下にある実が真赤に熟すからです。
 採取の適期 9〜10月
 分布 全国
 生育環境 自然林のほか,人家にも植えられ,平地の木には実が着きにくい。
 採り方 熟した実をむしり採る。
 食べ方 ぬるぬるとして甘い(生食のみ)。
 ○中から覗いている種子は有毒のため,噛らないように。
 
イヌマキ [犬槙]マキノキ科(雌雄異株)
 旬の姿 葉陰に串団子のような一風変わった実が出来て,基の方が赤紫色に熟す。実
  の先の方の緑色の部分は実で,これは食べられない。
 採取の適期 10月
 分布 本州関東地方以南・四国・九州
 生育環境 暖地の海岸近くの林や,庭にもよく植えられる。
 食べ方 生食。
 
オニグルミ [鬼胡桃 くるみ]クルミ科
 旬の姿 殻は小さめで硬い。
 採取の適期 9〜10月
 分布 全国
 生育環境 谷川や沢沿いに生えている。
 採り方 落ちた実や落とした実を土に埋めて置き,やや緑色をした果肉が腐ってから
  掘り出す。
 食べ方 殻を割って中の仁を生食したり,煎って食べる。脂肪分が50%もある。菓子
  の材料や,和え衣など利用範囲は広い。
 ○店頭で売られている殻の薄い種は,外来種の菓子胡桃(手打ち胡桃)で割れやすい。
 
ツノハシバミ [角榛]カバノキ科
 旬の姿 種子を覆った総包は先が嘴のように長く伸びて,全面に毛が生えている。こ
  の総包が黄色味を帯びると,中に種子が熟している。
 採取の適期 9〜10月
 分布 北海道・本州(ハシバミは総包が2枚の葉を合わせたような形をし,北海道〜
  九州まで分布)
 生育環境 明るい林の周辺に生える。
 採り方 実は高さ2m程の位置に多く,枝を手繰り寄せてむしり取る。
 食べ方 採りたての種子は,しぎしぎとしてほんのり甘いが,数日干して生食又は煎
  って食べる。クッキーなどの飾りにも使える。
 
ブナ [山毛欅 やまそば]ブナ科
 旬の姿 数年に一度豊作になる。
 採取の適期 9月末
 分布 北海道南部〜九州
 生育環境 山地の自然林に生える。
 採り方 落ち葉の上にパラパラと降ってくる褐色に熟した実を拾う。
 食べ方 殻は蕎麦の実に似た三角形の形をし,歯で噛み割って中の種子を生食し美味
  しい。
 
クリ [栗 やまぐり・しばぐり]ブナ科
 旬の姿 毬イガが割れて,中から茶色の実が見えたときに採る。
 採取の適期 9〜10月
 分布 北海道南部〜九州
 生育環境 雑木林や明るい自然林に生える。
 採り方 落ちた実には虫が入っていることが多いので,木になっているものを落とし
  て採る。
 食べ方 山栗は栽培種より美味しい。2,3日干して水分を抜き,焼くか蒸して食べ
  る。栗ご飯,栗きんとんなど旨い。
 
ヤマボウシ [山帽子]ミズキ科
 旬の姿 花弁に見えるのが苞ホウで,中央に花が集まっている。この花の集まりが固ま
  ったまま実に生長し,艶のない実が黒ずんだときが旬である。
 採取の適期 10月
 分布 本州・四国・九州
 生育環境 自然林に点在する。花のときに見付けておかないと分かりにくい。
 採り方 赤く熟した果実を一粒ずつむしり採る。
 食べ方 水気の乏しい実はねっとりとして甘く,生食がよい。中の種子は硬い。
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