10a 美味しい野草 食べ方いろいろ
フキ(蕗) きく科 分布 日本全国
1 フキの葉柄は芳香と苦味があり,特殊の風味がある。茹でて皮をむき,和え物,
煮物,佃煮,汁の実に適している。或いは塩漬や糠漬として貯蔵する。
2 フキの薹トウはホロ苦い風味があり,生又は軽くあぶって利用する。
アキタブキ(秋田蕗) きく科 分布 本州北部〜北海道
1 フキの砂糖漬けアンゼリカは,アキタブキを緑色に着色し砂糖で煮て乾燥したも
ので,大層美味である。
2 秋田県八幡平地方の焼きフキは,葉柄を焚火のオキか,炭火で焼き,乾燥させて
貯蔵したもので香ばしく美味しい。
ツワブキ(石蕗) きく科 分布 関東地方以西
1 葉柄を採り,煮熟して水晒し,苦味を去った後に,煮物,和え物,揚げ物などに
する。
2 葉を生薬の搾汁にして内用すると,フグ(河豚)やカツオ(鰹)の中毒を消す効
能がある。
セリ(芹) せり科 分布 日本全国
1 茹でて菜として食べてもよく,すき焼きに入れても美味しい。
秋田県北部の名物料理「キリタンポ」には欠かせない(SYSOP)。
2 2p位に切ったセリ20gを椀に入れ,塩と醤油で調味した煮出汁を注いで,トロ
ロ昆布を浮かして吸いものとする。
3 茹でて手早く冷やし,カボチャの種子を細かく刻み,又はゴマ,クルミをかけて
お浸しとして食べる。
4 朝鮮漬としては,セリ50gと白菜200gを手早く熱湯に通し,大根200g,ネギ50g,
ショウガ10gとも好みの大きさに切って全部の材料を容器に入れる。塩25gと少量の
トウガラシを加え,材料が浸る位の水で漬ける。
アシタバ(明日葉) せり科 分布 房総半島,伊豆七島,紀州
若葉を茹で,浸し物,汁の実にすると美味しい。またその根は煮て食べる。
ハマボウフウ(浜防風) せり科 分布 日本全国(海岸砂地)
1 一種の香気があり,少し辛い味がするので,刺身のツマとして適当で,アイ(藍)
と共に愛用される。
2 茹でて,浸し物,和え物などにして食べる。
シシウド(獅子独活) せり科 分布 日本全国
ハナウド(花独活) せり科 分布 本州〜九州
1 シシウド,ハナウドとも若茎を茹でて皮を剥ぎ,1日流水に晒す。適当に切った
ものを胡麻油を熱した鍋に入れ,ゼンマイ,銀杏,シイタケ等と共にさっと炒め,
ミリン,砂糖,醤油を加えて5分程炒め煮し,最後に白胡麻を振りかける。
2 茎の皮を剥いて生食したり,火に炙って食べるとよい。また茎を乾燥させて貯蔵
して煮食する方法もある。
ノラニンジン(野良胡蘿蔔) せり科 分布 京都府,大阪府,兵庫県など
ニンジン(胡蘿蔔) 同上
主根を食用とし,また若葉を食べる。
ミヤマニンジン(深山人参) せり科 分布 本州中部〜北海道
1 主根を味噌漬,塩漬にするとまことに美味しいほか郷の味を口にすることができ
る。
2 若葉も漬物,茹で物,煮物にして,これまた下界のニンジン類やミツバの及ぶと
ころではない。
ヨモギ(艾) きく科 分布 本州〜九州
1 酢味噌和えとして,若葉30gを灰汁で茹でて細かく刻み,寒天2gに水を加えて煮,
溶けたときに刻んだヨモギを加えて火から下ろし,そのまましばらくかき混ぜ,少
しさめた時に流し箱に流し入れて冷やし,固まったら形をよく切って器に盛り酢味
噌をかける。また,ツルナとツユクサの酢味噌和えにヨモギを加えると,その美味
しさは別世界のものかと思われる程である。
2 蒸しパンは,ヨモギ50gを重曹で茹でて細かく刻み,砂糖,味噌に適量の水を加え
ながらよく混ぜる。別に小麦粉100gとフクラシ粉をよく混ぜ,先のヨモギの中に入
れて手早くかき混ぜる。これを適量の大きさに分けて蒸器の中で10分位蒸す。
3 すいとんとしては,ヨモギ10gを重曹水で茹でて,細かく刻んで20gの小麦粉と混
ぜて団子にまるめる。鍋に適当に切ったツルナと魚粉少々を入れ,水と塩を加えて
煮る。これが半煮えになった時,ヨモギ団子を入れてよく煮る。醤油味で食べると
よい。
4 サトイモ料理には,ヨモギ10gを灰汁で茹でて細かく刻む。サトイモ50gを蒸して
潰し,小麦粉20g,塩,砂糖適量を加えて全部を混ぜ,好みの形,大きさに切って強
い湯気で蒸す。
ワレモコウ(吾木香) ばら科 分布 日本全国
若葉を茹でて苦味を去り,水に浸して数回水を換えてアクを除く。これを油で炒
める。その葉は茶の代用ともなる。
ダイコンソウ(大根草) ばら科 分布 日本全国
根,茎,葉を煮て食べる。その主成分は配糖体である。
カワラサイコ(河原柴胡) ばら科 分布 日本全国(河原の砂地)
若葉を茹でて和え物にするのが美味しい。
オケラ(求) きく科 分布 本州〜九州
若葉は茹でて用い,根は皮を剥ぎ,薄く切って2,3日間水に浸し,よく苦味を取
り去ってから煮る。時には生の若葉に飯を包んで食べる。
万葉集第十四巻「恋ひしけば袖も振らむを武蔵野の 宇気良ウケラ(=オケラ)が花の色に出ズ
なゆめ」
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