1999年6月上旬の日記

少し体調を崩したりしましたけど、平穏な10日間だったんじゃないでしょうか。仕事が忙しくなり始めました。(1999年9月1日記)

6月1日(火) りのと久しぶりに話し込む。
[日記]朝9時半に新宿に出て、長*さん(銀河の彼氏)と朝食をいただく。その後、初台の東京オペラシティータワー(アップル・ジャパンの本社も入っているビル)に向かい、レクソールの商品(栄養補助食品と化粧品)の仕入れ。12時過ぎまで新宿西口の喫茶店「ピース」で一緒にお茶を飲んでから、取引先に出向く長*さんと別れ、いったん自宅に戻る。
自宅に戻ってインターネットに接続すると、会社にいるりのからメールが届いていた。急遽、会社が終わった後で会うことにする。それまで家事を片付けたり、ホルモンを打ちに行ったりする。
7時過ぎに銀河の自宅近くのJRの駅でりのと待ち合わせ。りのと銀河は同じ大学の出身なんだけど(勢いでこんなリンク張っちゃった。りの、ごめん)、銀河の自宅がある場所は2人の母校の本拠地みたいなところ。学生時代の思い出がたくさんあふれている街なのだ。そんな話をしながら(この店はよく来たとか、この喫茶店で朝まで徹夜したとか)、まずは牛タンで腹ごしらえ。その後喫茶店に場所を移し、りのはビール、銀河はコーヒーを飲みながら、久しぶりに「二次会さむらい」モード(あのね、女装会館「エリザベス」ではね、「女装」を楽しんだ帰りによくみんなで「二次会」と称して居酒屋に寄っていったりするんだけど、お酒の飲めない銀河としては平日などの人の少ない時に「二次会」で行く「珈琲道場侍」って喫茶店が好きだった。少人数でよく「女装論」みたいなことを語り合ったものでした。りのと仲よくなったのも、去年の6月のとある平日に「侍」で初めて2人だけで語り合ってからだったなあ。今日はその時のことも思い出して、なつかしかった。銀河のサイトの掲示板の名前は、フレッシュ・トマトジュースがおいしかった「侍」からとってるんです)。
今日2人で話した内容の詳細はここではまだ明らかにできないんだけど(そのうち、双方のホームページのコンテンツに反映されるはず)、ここのところ遠い人になっちゃったような気がしていたりのが、やっぱり近くにいるんだということが確認できてうれしかった。りののこと、いろいろと心配してたけど、当面は大丈夫だろう。りのはね、銀河と似ているところの多い子だから、考えていることもよくわかるし、見ていてハラハラすることも多い。そして何よりも、一緒にいると幸せな気持ちになれる。ありがとう。
さて、この1週間ほどずっと考えていたんだけど、このサイトの体裁を少々手直ししようと思う。数日中にはなんとかしようと思っているので、手直しが終わった時に、またコメントします。
[回想記]この頃はりのが情緒不安定で、そのことを銀河が心配していたのです。おまえが人のことを心配している場合じゃないだろうと言われそうですね。去年の6月に初めて2人だけで語り合ったときは、銀河が「エリザベス」の常連客の中心としてみんなをまとめる役どころ、りのはまだ通い始めて半年の初々しい新人さんという時期でした。でも人を惹きつける魅力を持った宝石の原石のようなりのの資質に気づいて、銀河はりのに「1年後は私はエリザベスにはいないはず。その頃にはあなたがエリザベスの中心としてみんなをまとめる役をこなさなければならないの。そのためにこれから1年、私がしていることをよく観察しておいてね」なんて偉そうなことを言ってしまいました。あれから1年以上経ち、りのはすべてを銀河以上に立派にこなしています。(1999年9月1日記)

6月2日(水) このサイトの体裁を少々手直しした。
[日記]今日は半端じゃなく疲れている。昨晩から微熱が続いており、ちょっとつらい。書くべきことはいろいろあるけど、それらについては明日以降の日記で・・・
先日(5月27日)掲示板に書き込んでくださったemukoさん(尾崎翠のサイトの主宰者)。emukoさんのサイト経由で立ち寄ってくださったまちぞうさん(5月31日)。今日(6月2日)いらしてくださった梶原由佳さん(『赤毛のアン』の作者モンゴメリーのサイトの主宰者)。どうもありがとうございます。本当にうれしく思っています。銀河にとってジェンダーだとかセクシュアリティーとかって大きな問題ではあるけど、銀河という人間総体からすれば、そのアイデンティティーのごく一部でしかない。このサイトだってTV/TG/TS(用語についてを参照)の「租界」というわけではない。広く開かれた場所にしていきたいと思っています。
[回想記]このときに考えていたこと、ようやく今回の新装開店を機に果たせそうな気がします。(1999年9月1日記)

6月3日(木) 私ってTSなのかなあ?
[日記]体調がすぐれず、とうとう仕事をお休みしてしまった。予約してあったメンタルクリニックもキャンセル。でも午前中ゆっくり休んでいたので、午後には復調のきざし。夕方にはうちの近く(6月1日の日記を読めばどこだかわかっちゃうね)まで出てきてくれた長*さんとお茶を飲んだ。明日は元気で仕事に行けそうなので、ご心配なく。
メンタルクリニックに通ったり、あちこちのホームページを見てまわったりしながら、自分の性別違和(用語についてを参照)について突き詰めて考えてきた。銀河と同じようにトランスジェンダーを自称し性別違和を語る人たちにも、いろんなバリエーションがあるんだなあと思ったりした。最近やっと、答えらしきものが見えてきたように思える。結局は、男の肉体がイヤだという一点だけなのだ。銀河はずっと、自分はTSではなく狭義のTG(用語についてを参照)だと思ってきたが(まあこんな分類をしても仕方がないと言えば仕方がないんだけど、とりあえず便宜上ね)、実はTGではなくてTSだったのかもしれない。よくわかんないけど。いずれにしても、手術、必要なんだろうな、たぶん。みなさんの意見も伺いながらもう少し検討してみてから、ホームページ上で自分の考えを発表しようと思う。
ところで、このサイトの構成を手直しした理由についてコメントをしたいんだけど、少々重いことを書かなくちゃならないんで、もう少し体力の余っている時に書くことにする。今日はちょっとムリ。でも、わかる人にはもうわかってるよね。ひとことで言えば、銀河なりの「自立」なんだけど。
今日の日記は大好きな小説からの引用で締めくくります。「銀河にはよくわからなかった。この世はわからないことだらけだと思った」(酒見賢一『後宮小説』より)。
[回想記]自分が担わなくてはならない男性的な性役割(用語についてを参照)には違和感を覚えるが、男性の肉体にはそれほど嫌悪感はない(だから女性ホルモンの投与も行わない)というような発言をなさっているトランスジェンダーの方(用語についてを参照)などと自分を比べると、性別違和もいろいろあるんだなと思います。そういう人も性同一性障害(GID)(用語についてを参照)と言えるのでしょうか。銀河は他のいろんなことは我慢できても、自分の男の肉体だけは不快でたまりません。そういう意味ではTSです。自分がTSだとわかってみればさまざまなことが腑に落ちます。ところで銀河という名前は、酒見賢一さんのデビュー作『後宮小説』(新潮文庫)の主人公の少女の名前からいただいたものです。中国の架空の王朝を舞台に数奇な運命をたどる少女を主人公に据えたこの小説は、第1回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した傑作です。(1999年9月1日記)

6月4日(金) 尾崎翠『不思議の国のララ』はお勧め。
[日記]今日は仕事に行った。お昼は同僚の女性(彼女も英語科の講師)と。どういうわけか、性差別の問題を語り合う展開に。
一度自宅に戻り、3時過ぎには新宿へ。長*さんとヴェローチェでお茶を飲み、紀伊国屋の中をふらふらしてから、新宿3丁目の鹿児島料理の店『薩摩おごじょ』へ。前々から屋久島出身の長*さんと一緒に行きたいなと思っていたのが、今回初めて実現した。産地直送だけあって、さすがにおいしいです。ここでは長*さんの学校時代の後輩の方が同席した。長*さんが銀河を後輩の方に紹介する際、「鹿児島の****(ある有名な男子校)の出身で、6年間鹿児島で暮らしていた」とか言うものだから、後輩の方はなにがなんだかわけのわからない顔をして、ポカンとしていた。
その後、長*さんといったん別行動に。銀河は紀伊国屋で尾崎翠の『不思議の国のララ』(メタローグ)を買った。5月末に出たばかりの作品集で島田雅彦のエッセイ付き。筑摩書房の2巻本の『尾崎翠全集』を持ってるのに、やっぱり買って手元に置いておきたいんだなあ。尾崎翠入門としては、筑摩書房の文庫版『日本文学全集』の尾崎翠の巻と並んで、お勧め。収録作品もあまり重なっていないし、両方とも買ってもいいと思うよ。
夜8時過ぎ、再び長*さんと合流して、長*さんの取引先の飲み屋さんへ。西新宿(というよりは初台)のこのお店のママさんは長崎出身。九州の話題で盛り上がる。ここでも完全にパスしてたなあ。疲れてたので10過ぎには帰宅。今日の長*さんはちょっとばかりhornyだったもので、すごく申し訳なかったんだけどね。ごめんなさい。
さて最後は今日のひとこと。「人間をいたわるかのごとき運動は、かえって多くの兄弟を堕落させた」(全国水平社創立宣言より)。
[回想記]尾崎碧の『不思議の国のララ』、帯に書かれた島田雅彦さんの「私は彼女から青二才の生き方を学んだ」という言葉がすべてを語っています(1999年9月1日記)

6月5日(土) 沖香住ちゃんに会う。ヒロリンさんにも会う。
[日記]疲れていたせいか、目が覚めるともう正午。12時間近く眠っていたことになる。ホームページの更新をしたりメールをチェックしたりしていると、大阪の沖香住ちゃん(TVNEWS in Kansai の主宰者)から携帯に連絡が入る。週末に東京に出てくるので会おうということになっていたのだ。3時から6時まで新宿2丁目の「青い鳥」にいるとのこと。「青い鳥」はいわゆる女装スナックなのだが、昼間は大森さんという女性が店舗を借りて喫茶店をやっているのだ。
準備に手間どり自宅を出たのは4時半。暑かったのでデニムのショートパンツとシースルーの花柄の半袖ブラウス。最近になくフェミニンな出で立ちだし、こんなに脚を露出したのも久しぶり。すずしくて気持ちいいなと思ってたら、うちの最寄りの駅の構内で、女性にナンパ(?)される。話を聞きたいからお茶でも飲まないかというのだが、これって完全に読まれている(男だと思われている)ってことだよね。で、反省。ショートパンツに合わせるんだったら、上はTシャツにした方がパスしやすかったはずだ。こうやって、ひとつひとつ学習していくのです。
5時前には「青い鳥」に到着。諸般の複雑な事情により夜の方の「青い鳥」には1年以上前から行かなくなっていたので、店内に足を踏み入れると感慨深いものがあった。すでに到着していた香住ちゃんや香住ちゃんのお友だちの女性(ネイティブ)、椎路ちひろちゃんたちと談笑。3か月ぶりにあった香住ちゃん、かわいくて楽しい人だ。TVNEWS in Kansai の1周年パーティーの写真を見せてもらったりする。サングラス姿の男装の座長(美々さん)が素敵だ。香住ちゃんのお友だちの女性とは、ソウル・フラワー・ユニオンと前田日明の話題で盛り上がる(!)。まもなく都美也子ちゃんも来店。ちょっと疲れているようで心配だな。なんやかんやしているうちに6時になり、香住ちゃんは次の予定地へ。銀河は今夜のデパートメントH(そういうイベントがあるんです)には行かないので、香住ちゃんとはこれでお別れ。近いうちに大阪に行きたいなあ。
「青い鳥」を出て丸井地下のVirgin(大型CD店の名前ね)に寄ってから、例によって新宿西口「嵯峨野」で長*さんと夕食をいただく。長*さんの仕事関係の人も同席。その後、帰宅しようかと思っていたのだが、長*さんがもっと一緒にいたい様子だったので(昨日のこともあるし)歌舞伎町の喫茶店「上高地」でグダグダする。そこに「CDサークルChange」で支度中の中澤清美ちゃん(「たかみ」週末スタッフ)から連絡が入る。なんと銀河のホームページの掲示板常連客のヒロリンさんが来ているというのだ。ヒロリンさんは昨年の暮れあたりから月に1回のペースで新宿に遊びに来ているそうで、銀河のページで知った「Change」を今回初めて利用してくれたのだ。ヒロリンさんには絶対にお会いしたかったので、あとで「たかみ」(女装スナック)で合流することにする。
9時過ぎに長*さんと「ジュネ」(女装スナック)に到着。いつも通り眠りこける長*さんを抱きかかえながら過ごす。12時ごろヒロリンさんに会いに「たかみ」へ、とりあえず眠っている長*さんは置いていく(あとで「たかみ」に来てくれた)。初対面のヒロリンさんはね、とても優しげで清楚な感じの人。でもお酒を飲み過ぎたみたいで、しばらくいろいろ話したら睡眠モードに入っちゃった。お店には他にも久しぶりのみっくんや東西三千子ちゃんもいて、なごやかな雰囲気。清美ちゃんが美也子ちゃんにやってもらったというヘアスタイル、とっても素敵でした。
お店が終わった後、村田高美さん(「たかみ」のママ)の発案で、カラオケへ。メンバーは清美ちゃん、ヒロリンさん、長*さんと銀河。1人2曲ずつ1時間ほどで閉店時間(ちなみに高美さんは軍歌と巨人軍応援歌を歌った)。その後みんなで「シエン」でお茶を飲んでお開きとなった。ヒロリンさん、今度お会いする時はもっとゆっくりいろんなことをお話ししましょうね。
久しぶりの新宿での夜遊び、今日は楽しかったなあ。お会いしたみなさま、どうもありがとう。
[回想記]沖香住ちゃんのお友だちの洋美さん(Web上ではさすけさん。ハシケンのホームページの主宰者です)とはこれをきっかけに仲よしになりました。紹介してくださった香住ちゃん、ありがとうございました。ヒロリンさんとはその後お会いしていませんが、お元気なのでしょうか。(1999年9月1日記)

6月6日(日) 5色のiMacが大好き。
[日記]朝帰りだったため夕方に目が覚め、授業の準備とテキスト関連の原稿執筆に頭。BGMにはルルも大ファンだというフランク・ザッパShut Up 'N' Play Yer Guitarを。
5月2日の日記にも書いたけど、やっぱりすべての始まりはiMac。それも5色のiMacの方。初代のボンダイブルーのiMacにも心を動かされたが、欲しいと心の底から思ったのは5色のiMacが出てから。それも、ローリング・ストーンズの "She's a Rainbow" をバックに5色のiMacがくるくるまわるCMを見てから。ストロベリーとライムとどっちにしようかさんざん迷って、結局ストロベリーを買ったんだけど、どの色もみんな欲しい。で、思ったんだけど、フォルムの美しさもさることながら、この5色の取り合わせが絶妙なんだよね。いまだにひまさえあれば新宿西口のT-ZONEだのソフマップだのキャノン・ゼロワンショップだのに立ち寄って、5色のiMacが並んでいるのを舐めるように眺めている。眺めているだけでもたぶん1時間は飽きないね。家にあるストロベリーのiMacもかわいくてたまらないけど、1台だけではやっぱり物足りないんだ。5色揃ってなければ。捨てるほどお金があれば、5色全部買うんだけどなあ。仕方ないから家では、フロッピーだかCD-ROMだかの整理ボックスを5色分全部買って並べている。5色のiMacがくるくるまわるCMも、アップル・ジャパンのサイトのここでダウンロードして、繰り返し何度も見ている。中毒だね、これは。今年の終わり頃にはコンシューマー向けのポータブルが出るらしいけど、iMacテイストならいいんだけどな。銀河はパソコンマニアではないから、性能とかの細かいことは基本的にどうでもいいの。デザインがすべてさ。
[回想記]5色のiMacの外側だけを売ってくれるところってないのでしょうか。本気で欲しいと思っています。7月末にニューヨークでのMACWORLD Expoで発表されたコンシューマー向けポータブルのiBookは期待通りでしたね。タンジェリンを買うつもりです。(1999年9月1日記)

6月7日(月) 仕事の時に心がけていること。
[日記]夜の現役高校生のクラスの授業が終わった後も、学校に居残ってお仕事。銀河が執筆した2種類の夏期講習のテキスト、日程上は校了日が過ぎているのに銀河の校正が終わらないので、しびれを切らした教材作成部署の担当職員が講師室まで取り立てに来たのだ。というわけで、担当職員に見張られながら(「先生、今日は終わるまで絶対に帰しませんからね」と言われる)校正に専念。わき目もふらずに集中したおかげで。8時をまわる頃には終了。その後、例によって新宿に出て「嵯峨野」でNさんと夕食。長*さんの事務所に寄り、ヴェローチェでお茶を飲み、といういつものパターン。今日は湿度も高く、疲れてもいたので、11時前には帰宅。
今日はお仕事の話でもしましょうか。銀河は大学受験生(現役の高校生と浪人)に予備校で英語を教えるという仕事をしている。1年間(正確には10か月くらい)という限られた時間で確実に志望校に合格する学力を身につけるための手引きをするわけ。その場合大切なのはね、「何を教えるか」ということではなくて、「何を教えないか」ということなの。あれこれ教えるのは、ある程度の知識があれば誰でもできる。若くて情熱にあふれる講師なんかだと、自分の知っていることを何もかもみんな教えたがったりする。だけどね、奇妙に聞こえるかもしれないけど、「教えたがり」は少なくとも予備校の講師には向かない。知識をひけらかして生徒に尊敬してもらう必要なんてまったくないのよ。生徒は限られた時間で何教科も勉強しなければならないわけだし、そもそも入試なんて満点をとる必要はない。60点もとれば合格なの。「あれも覚えろ、これも覚えろ」だとね、生徒は情報過多の中でおぼれてしまって、結局何も身につかない。だから、予備校の講師には、「教えたい」だけど「教えない」という自制心が大切なんだよ。たとえ話をひとつするね(4月の最初のうちに生徒にもしてあげる話)。紙を切る必要があったとする。だけどハサミが見つからない。だったら、ナイフを持っていたことを思い出して、ナイフで紙を切ればいいわけ。あるいは電話中メモをとる必要があったとする。筆記用具も紙もない。でもさ、手元にある飲みかけのコーヒーに指を突っ込んで、読みかけの新聞紙にメモしたっていいわけでしょ、極端な話。受験に必要なのはそういう応用力(サバイバル能力ね)。たしかに、何種類ものハサミ、何種類ものナイフ、何種類もの包丁を取りそろえて、用途に応じて使い分ければ、スマートな仕事ができる。でもね、受験に必要なのは、汎用性のあるナイフを1本だけ手元に置いて、多少荒っぽくてもいつもそれ1本で用を足せる力なの。学校側が生徒に授業内容についてアンケートをとったりすることがあるんだけど、銀河の授業について多くの生徒が書いてくれるのは、「他の先生は、あれを覚えろ、これも大切って言い方をするんだけど、**先生は、これは覚えなくてもいい、これは知らなくてもこう考えれば正解が出るって教え方だから、勉強しやすい」っていうことなのね。で、本当に必要なことについては基本の基本にまで立ち戻って、徹底的に説明して身につけてもらう。どうしても覚えてもらいたいことだったら、「あのね、大変申し訳ないんだけど、これは暗記してほしいの。悪いね、ごめんね。お願いだから覚えてね」なんて言い方をしても覚えてもらう。そういうことなの。
なんだか今日の日記は、教壇の上に立って生徒を相手にしている時と同じ口調になってしまったので、このくらいにしておこう。仕事の話は書き出すと止まらなくなる。こういう内容でも面白いと思っていただけるのなら、また仕事のことについて書くこともあるかと思います。
[回想記]仕事の話になるとつい饒舌になってしまいますが、この日の日記の内容は結構評判がよかったようです。掲示板でもレスをいただきましたし、何通かメールもいただきました。汎用性のある1本のナイフでなんでも用を足せる能力って、受験勉強だけでなくどんなことにおいても大切なことなのかもしれません。(1999年9月1日記)

6月8日(火) アンミラの制服について考える。
[日記]正午過ぎに新宿に出て、長*さんと昼食(なんと焼き肉)。今日は珍しくパンツルックではなく、キャミソール風のワンピの上にブラウスを羽織る。その後2人で初台駅前の東京オペラシティータワーへ。1階にあるレクソール・ショウケース・ジャパンのショールームで商品の仕入れ。お茶でも飲もうということになって地下に降りると、あれっ、こんなところに「アンナミラーズ」がある。アンミラには大昔に1回だけ行ったことがある(当時つきあっていた女の子と品川駅前のビルの中にあった支店に行ったんだっけ)。で、久しぶりだし面白そうだから(何が?)入ってみることにする。りの菜摘ちゃんと同じような格好をしたウェイトレスさんがたくさんいて、なんか変(正確には、アンミラの制服と同じようなレプリカをりのや菜摘ちゃんが着ているわけなんだけどね)。今にもりのと菜摘ちゃんが注文を取りに来そうな感じがして、長*さんと2人で受けてしまう。でもね、アンミラの妙に胸を誇張した制服、銀河はあまり好きではないんだ。大昔に1度行ったとき、うまく言葉で表現できないような不快感を覚えてしまって、以降2度と行こうと思わなかった(一緒に行った彼女も「エッチだ」と言って怒ってしまったっけ)。そのときはよくわからないままだったけど、今回「ああ、そういうことだったんだ」と合点がいった。別にフェミニスト的な観点からイヤだと思ったんじゃない。嫉妬してたんだよ、あの制服を着た女の子たちに。誇らしげに胸を張って歩く女の子たちに。ああ、イヤだイヤだイヤだ、なぜあそこにいるのが自分じゃないんだろうって、無意識のうちに思ってたんだ。わかってみれば単純なこと。でもやっぱり、あの制服は好きになれない。
アンミラを出た後、いったん長*さんと別れて、都内某所へホルモン注射を打ちに行く。自宅に寄って少しインターネットに入ってから、再び新宿へ。長*さんと合流し、東口の「三国一」(手打ちうどんの店。サラダうどんが美味)の本店で夕食をいただく。その後、長*さんの事務所でくつろいで、8時過ぎには自宅に戻る。明日の授業の準備をしなくちゃ。
[回想記]ナチュラルな女性に対しては憎悪を感じていますね、どうも。ところでアンミラを経営しているのは肉まんやあんまんで有名な井村屋なんですね。この回想記を書くためにインターネットで検索しているうちに気がつきました。ご存じでしたか。なんだかおもしろいですね。「三国一」は新宿東口に1軒、西口に2軒ありますが、こしのある手打ちの麺が絶品です。(1999年9月1日記)

6月9日(水) サイクルネットと BetterTelnet の顛末。
[日記]今日は一日中仕事。夜9時過ぎに帰宅したが、明日の授業の準備に結構手間取りそうなので、今晩は寝ている時間があまりないかもしれない。
みどり子ちゃんの主宰しているサイクルネットというBBSにインターネット経由で入るため、いろいろと試行錯誤した。サイクルネットの入り口にはWindowsユーザー向けの接続方法が紹介してあるだけだったので、マックユーザーでしかも初心者の銀河は、そもそもどうやったら入れるのか見当もつかず、それ以上先に進めなかったのだ。何週間ものあいだ、サイクルネットの入り口の画面をうらめしそうな目でながめるしか為す術がなかった。そのうちに本屋で買い込んだパソコンの用語辞典だとかを見ていると、どうやらなにか特別なソフトが必要だということがわかってきた。だけど具体的になにをどう使っていいのやら、さっぱりわからない(今考えてみると、Telnetという用語だけは知っていたのだから、この時点でインターネットで検索していればよかったのだけどね)。そうこうするうちにみどり子ちゃんが銀河のホームページの伝言板にサイクルネットのことを書き込んでくれたので、これ幸いと入り方がわからない旨の書き込みをしてみた。早速返答してくださったのが神戸のさいこさん(救世主!)。マックユーザーは BetterTelnet というソフトを使えばよいことを教えてくださった。ありがたいことです。すぐにインターネットで BetterTelnet を検索(わからないことはインターネットで検索すればよいということだけは、すでに学習していた)。200件以上の表示があったが、上からいくつか見るだけで入手方法と使い方がわかった(フリーウェアだった)。結構いろんなページで配布しているようだ。喜び勇んでダウンロードし設定をする(設定にずいぶん手間取ったけどね)。さあ、ドキドキしながらサイクルネットに接続。うまくつながった。この日を待ち望んでいたんだ。涙が出そうになるほどうれしい。でもGUESTだとどのコンテンツにも入れないみたい。入会の申し込みというコーナーを見つけたので、まずはここからだなと思い、入ってみる。で、いろんな説明を読んで、さあ申し込もうとすると「あなたには入会の資格がありません」との表示。何回繰り返しても同じだ。涙が出るほど悲ピー。今度はその資格とやらをどこかで取得しなければならないのかな。試験があるんだろうか、受験勉強しなくちゃなどとバカなことを考えながら、とりあえずあきらめて寝る。私ってサイクルネットとは縁がなかったんだと悲しい気分で、今日一日を過ごして帰宅すると、伝言板にサイクルネット側の設定ミスだったというみどり子ちゃんからのメッセージ。わぁい、入れるんだ。でも今日は仕事が忙しいから、時間がない。残念だけど明日の晩ね。
というわけで、こうやって少しずつ学習しながら、マック初心者の域を脱却していくんだなと、しみじみ思いました。
[回想記]コンピューターを使っていると試行錯誤ばかりです。でも、その試行錯誤自体がまるでRPGをやっているみたいで楽しかったりします。なお現時点ではTelnetではなく、クラリスワークス(iMacにバンドルされているアプリケーション)のパソコン通信ソフトを利用しています。(1999年9月1日記)。

6月10日(木) サイクルネット、無事入会申し込みしました。
[日記]今日の出講校舎は、先週体調不良でお休みしたため2週間ぶり。生徒たち、すごく心配してくれてたみたい。申し訳ない。
仕事は午前中で終わり。軽く昼食をとってから急いで新宿へ出る。南口の東急ハンズの裏側のベンチで本を読みながら待っていてくれた長*さんと合流。高島屋近辺をお散歩してからお茶を飲む。長*さんは昨日、親友のお父さまが亡くなったため静岡までお通夜に行って来たせいか、お疲れのご様子。銀河も昨晩あまり寝てないし、原稿書きの仕事が締め切りを過ぎているので、4時過ぎにはバイバイして帰宅。
というわけで、今日は日記も淡泊にこれで終わり。そうそう、サイクルネット、今日はちゃんと入会申し込みができました(たぶん)。パソコン通信ってやったことないもんだから、画面の感じがインターネットと全然違っててとまどうばかりです。
[回想記]インターネットをやっている人って、パソコン通信出身か、パソコン通信を体験していなかったかで、文化が分かれるみたいです。まだはっきりと説明はできませんが、銀河が掲示板とかのシステムがいまひとつ苦手なのも、パソコン通信を体験していなかったことが原因なのでしょうか。(1999年9月1日記)


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The iron has entered into my soul.