2000年9月中旬の日記

Power Mac G4 Cubeに付属しているUSB接続外付けスピーカーの音がいいので、BGMを聴きながらの作業がますます快適です。DVDソフトも買ってみました。さて、15日からシドニー・オリンピックが始まり、自宅のテレビはほぼつけっぱなし状態になっています(苦笑)。(2000年9月25日記)

9月11日(月) 女性向けファッション雑誌は、どれがいいのかな?
[日記]女性としての実生活の歴史は浅いけれども、自分流のセンスで行動していれば、特に苦労をしなくてもとりあえずはなんとかなる(なっているはずだと思う)。ただし、着る服にだけは気を遣う。おシャレな人だと思われなくちゃイヤだからだ(笑)。
なにか特別な機会のためのファッションではなく、日常の生活着が周囲に違和感を抱かれることなく「さりげなく」おシャレっていうのは、実際のところかなり難度が高い。正直言って、毎日が綱渡りの連続みたいな気がしている。銀河の場合、実年齢よりも多少は若く見えるので、30代半ばのおシャレな女性をお手本にしようと思っているのだが、そういう人って町中じゃあんまり見かけない(というより、目立たない)んだよね。
そんなときにいちばん助かるのが、仲のよい職場の同僚の女性たちのアドバイスだ。で、彼女たちの助言に従って、この1年ほど大量の女性向けファッション雑誌に目を通して学習してきたのだが、なかなか自分にぴったりっていう雑誌を見つけられずにいる。大概のファッション誌って、元気な若いコ向けか、現実離れした海外ブランド(シャネルとかね)の紹介か、そうでなければ落ち着いたおばさま向けだったりする。30代から40代あたりって、ファッション業界の視界からはちょうどすっぽり抜け落ちてるんじゃないのかなあ(事情は、男性ファッション雑誌も同じらしいけど)。
そんなこんなでなんとかたどりついたのが、川原亜矢子さんが専属モデルをしている『Domani』(小学館)と、モデルが(読者モデルも含めて)全員30代の『VERY』(光文社)。この2冊は毎月買っている。あとは時々『Oggi』(小学館)かな。もっとピンとくる雑誌があればいいんだけど。

9月12日(火) 長*さんがiモードの携帯を買った。
[日記]ずっと、銀河の買ったNTTドコモのiモード対応の携帯(D502i)(5月19日の日記を参照)をうらやましがっていた長*さん(銀河のパートナー/同居人)が、パチンコで勝ったお金を資金に(笑)、とうとう自分の分を買うことになった(これまではJ-PHONEを使っていたのだ)。緑川りのちゃんのアドバイスに従って、銀河の名義で契約する。同一人の名義で2台契約すれば家族割引が適用されて、2台とも使用料が15%値引きになるからだ。
絶対にカラー液晶がいいという長*さんは、発売されたばかりのNECのN502itって機種を選ぶ。折りたたみ式の大画面で人気のN502iのカラー版だ(そういえば長*さんは、Palm OS搭載PDAもカラー液晶のPalm IIIcを使っている)。少しいじらせてもらったけど、使い勝手がよくて、自分でも欲しくなってしまった。最新の人気機種ってことで値引きがほとんどなく、他の機種の2倍以上の値段(3万円近く)だったので、長*さんはしばらくぶつぶつ文句を言っていたけど、少し操作したらすぐに気に入ったようで、今日は一日中上機嫌だった。
[読書記録]ケネス・トーマスマ『アメリカの空 大探検を助けた少女、サカジャウェア』(出窓社)。西暦2000年から流通し始めたアメリカの新1ドル硬貨には、サカジャウェアという名の実在のネイティヴ・アメリカン(いわゆるインディアン)の少女の肖像が刻まれている。非ヨーロッパ系として初めてアメリカのお金(紙幣と硬貨)を飾る人物となったのが、彼女だ。アメリカ史に残る「ルイス=クラークの探検」(1804〜6年)は、ナポレオンからのルイジアナ購入(1803年)を受け、当時のアメリカ大統領トマス・ジェファスンの命令でおこなわれた北アメリカ内陸部から西海岸にかけての大調査だが、サカジャウェアはその調査に同行し、多大な貢献をしたとして伝説化されている。当時の探検隊が残した日誌をもとに、サカジャウェアがどういう人物だったのかを解き明かしているのが本書。伝説のヒロインではなく等身大のサカジャウェアを、生き生きと描き出している。加原奈穂子氏(文化人類学者)の非常に読みやすい翻訳も特筆に値する。監修を担当された西江雅之先生(言語学者、文化人類学者)の有益な解説も含めて、興味深い内容をたのしく読み終えることができた。

9月13日(水) 長*さんの検査結果。
[日記]今日は朝から晩まで、千葉県内の某校舎に拘束される。夕方、長*さんに電話をかけた。今日が退院後初の通院で、血液検査だとか尿検査の結果が出ているはずだからだ。で、結局、血糖値が高すぎる(糖尿病のレベルだという)のが今回の体の異変の主原因ではないかという話だったらしい。今後は、定期的に病院で栄養指導を受けることになった(インシュリン注射ではなく、栄養士さんの指導のもと、食事療法で改善していくそうだ)。一緒に暮らしているのにこんなことになって、銀河もだいぶん反省している。これからは、長*さんの食事内容をもっときちんと管理していかなくてはならない。最近は、デパート地下の食料売り場などでも、糖尿病のための食事がパックになって売っていたりするそうだから、週末にでもどんなものかチェックしに行こうと思う。

9月14日(木) 東京オリンピックの思い出を語ろう。
[日記]明日からシドニー・オリンピック。オリンピックなんて、所詮はちょっとばかり規模の大きなスポーツのお祭りでしかないことは十分に承知しているが、それでも4年に1度だけ、この期間はちょっぴり特別な思いを抱いて過ごしてしまうのは、物心ついて初めて触れたオリンピック、小学校2年生のときの東京オリンピック(1964年)が幼い心に刻みつけた鮮烈な印象から、いつまで経っても逃れられないからにちがいない。
東京オリンピック(当時は、オリンピックというより「五輪」という呼び名の方が一般的だったように記憶している)はなんと言っても、田舎の子供にインターナショナルな感覚を植え付けてくれた最初のイベントだった。世界には日本以外にもいろんな国があるのだと初めて実感し、それこそ地図や百科事典と首っ引きで、オリンピック参加国の国名、地図上での位置、首都、国旗、特産物などを、2歳下の弟と競うようにして学習したものだ(たぶん多くの日本人がガーナだのジャマイカだのといった聞き慣れない国名に初めて接したのは、東京オリンピックのときだったんじゃないだろうか)。マラソンの円谷幸吉や重量挙げの三宅義信、そしてもちろん鬼の大松監督が率いる東洋の魔女たち(ニチボー貝塚を中心とした女子バレーボール・チーム)は当時の小学生のアイドルになったけど、個人的には、柔道のアントン・ヘーシンク(オランダ)とマラソンのアベベ・ビギラ(エチオピア)の圧倒的な強さに心惹かれた。そう、あのオリンピックで身につけたのは決して「愛国心」などというちゃちなものではなく、紛れもない「インターナショナリズム」だったのだ。
そして、ハイライトは閉会式。今ではオリンピックの閉会式で恒例となった、各国の選手たちが思い思いに入り乱れての入場行進がおこなわれたのは、東京オリンピックの閉会式が初めてだったはず(なんでも、予定では開会式同様に国別に分かれて行進することになっていたのが、ハプニング的にああいうことになったのだそうだ)。色とりどりの衣装に身を包んだ、肌の色もさまざまな選手たちが、肩を組み、笑い、手を振り、走りまわる。その姿を見て、感動して涙がポロポロ流れるなんて体験を、生まれて初めてすることになった(もっとも、日本選手団だけが隊列を乱さずに整然と行進していたのには、子供心にあきれてしまったが)。「世界人類、皆兄弟」(笑)的な、銀河の超楽観主義的で性善説に基づく世界観は、間違いなくあの閉会式で刷り込まれたものなのだ。
72年のミュンヘン選手村でのパレスチナ・ゲリラによるイスラエル選手殺害事件、80年の西側陣営によるモスクワ・オリンピックのボイコット、84年のロサンジェルス以降のオリンピック商業化と続くにつれて、あの東京オリンピックで幼い子供が学んだ理想主義はだんだんと色あせたものになっていったし、そもそも近代オリンピック自体がヨーロッパの貴族たちのための祭典だったという歴史はよくわかっているつもりだが、それでも、多少の感動のお相伴に預かりたくて、明日からの10日間、我が家ではテレビをつけっぱなしという日々が続くことになるだろう。

9月15日(金) 国営昭和記念公園でのんびり過ごす。
[日記]長*さんの事務所の近所にある居酒屋さんの主催で、立川にある国営昭和記念公園で朝早くからピクニック。ピクニックと言っても、広大な公園の敷地内をあちこち散策し、お昼になったら芝生の上にビニールシートを敷いて、用意してきたお弁当を食べるっていうだけ。おまけに、参加者(約10人)の中に長*さんと波長の合わない人がいたので、長*さんと銀河は集団からちょっと距離を置いて、芝生の上でゴロゴロしたりベンチでうつらうつらしたり。でも、普段は自然と縁のない生活を送っている身にとっては、貴重な半日だった。
6時頃、自宅に戻ってきて、テレビでシドニー・オリンピックの開会式。前半のショーみたいなのは退屈の極みだったが、選手入場から後は楽しく鑑賞。甘っちょろいことを言うようで、自分でも恥ずかしいんだけど、"marching together as Korea"というアナウンスで、南北朝鮮(大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国)の選手が統一旗を先頭に手を取り合って一緒に入場してきた姿は、やっぱり感動的だった。

9月16日(土) 川越の赤心堂病院へ。
[日記]月に2回の女性ホルモン注射のために、川越の赤心堂病院泌尿器科(内島豊先生)へ。注射(ペラニンデポー10mg)から、天然型エストラジオールの貼付薬(アルコールを使わない新製品。製品名はエストラダームM)に切り替えようかという話もあったのだが、実際に使用しているお友だちの意見も参考にした上で、内島先生と相談。月に2回の通院が負担にならないのだったら、今後も注射でやっていきましょうという結論になる。
今日のオリンピック。世間では田村亮子選手(柔道女子48kg級)が念願の金メダルを獲った日として記憶されるのだろうが、銀河的に印象に残ったのは、柔道男子60kg級で金メダルに輝いた野村忠宏選手。だって、爆笑問題の太田光に似てるんだもん(笑)。それと、決勝での野村選手の一瞬の一本勝ちを中継のアナウンサー(チャンネルはTBSだった)が「秒殺です」と報道したのには、ビックリしてしまった(「秒殺」ってもともと、パンクラスっていうプロレス/格闘技団体の試合レポートで『週刊プロレス』が使い始めた造語なんだよね)。
[BGM]椎名林檎『絶頂集』。13日に発売されたCDシングル3枚組。すべてがライヴ音源。息詰まるほど濃密なスタジオ録音盤に比べると、ラフで風通しがよい。ともすればエキセントリックなシンガーだと思われがちな彼女だが、このライヴ音源の曲を聴く限り、ロックとしては王道以外の何ものでもないことが実感できる。

9月17日(日) G4 CubeでDVDを観る。
[日記]G4 CubeにはDVD-ROMドライブが内蔵されている。せっかくだからDVDソフトを1枚買ってきて、試してみようと考えた。で、新宿西口のヨドバシカメラのDVDソフト売り場へ。映画は結構たくさん出ているようだが、銀河は映画だのテレビ・ドラマだのがいまひとつ苦手なので、音楽ソフトが並んでいる一画を物色する。音楽ソフトはまだそんなに充実していないみたいだけど、それでも、記念すべき1枚目のDVDはジミヘンにしようかストーンズにしようか、はたまた椎名林檎かと、頭を悩ませる。ふとレジに目をやると、出たばかりの『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(キューバ音楽をテーマにしたドキュメンタリー・タッチの大ヒット映画ね。CDの方の紹介はここを参照)が平積みになっている。一度は観たかった作品だし、なんだか買ってほしそうなたたずまいで積み重なっているので、これを買うことに決めた。
早速、家に戻って、G4 Cubeの例のトースター風のスロットに『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のディスクをインサートする。G4 CubeにはUSB接続のスピーカー(『ゲゲゲの鬼太郎』の「目玉のおやじ」みたいな形)が付属しているので、音はちょっとしたミニ・コンポ並み(中高音はまあまあだが、低音にやや難点があるかも。もっとも、作業のBGMとしてCDを聴くのには特に不自由は感じないけれども)。でもそれ以上に、画像が美しいので驚いた(G4 CubeにはATI RAGE 128 Proっていう高性能のグラフィックカードが標準装備されている)。卓上簡易映画館って感じ。これはいい。G4 CubeをDVDプレーヤー代わりに使うっていうのもアリだね。テレビを観ることができたらもっといいんだけど。
[読書記録]佐藤俊樹『不平等社会日本―さよなら総中流』(中公新書)。戦後、特に団塊の世代以降の日本社会は、管理職の子は管理職、専門職の子は専門職(もっとわかりやすく言えば、東大生の親は東大卒、国会議員の親は国会議員等々)といった階層の固定化が進行し、個人の努力ではなく生まれが人生を左右しているという、現代日本に生きていれば誰もがうすうす感じている事態を、半世紀にわたる「社会階層と社会移動全国調査」の詳細なデータを駆使して実証している。著者は東大助教授(社会学)。ベストセラーになっているようだが、データ分析の部分の記述が学術論文的で、社会学の訓練を受けていない者がこの本を最後まで読み通すのはかなりキツイ(読んでいて、途中で何度も投げ出したくなった)。

9月18日(月) Making the Macintosh Project。
[日記]今日はMac系の月刊誌『MAC POWER』(株式会社アスキー)、『MAC LIFE』(株式会社BNN)、『日経MAC』(日経BP社)の発売日。『MAC POWER』が980円、『MAC LIFE』が960円なのに対し、いちばん薄い(他の2誌の3分の2程度)『日経MAC』が1200円もするのは、毎月のことながら納得できないなあ。
ところで、『MAC POWER』に、Making the MacintoshというWebサイトが紹介されていた。スタンフォード大学のアレックス・パン氏(専攻は科学史)を中心とするプロジェクトだそうだが、Appleがスタンフォード大学に寄贈した段ボール箱数千箱にも及ぶ資料や、初期のMacの開発に携わった人たちへのインタビューなどをもとに、ヴァーチュアルなMac博物館が構築されている。巨大なサイトなので、まだほんの一部を見ただけだが、画像を眺めているだけでも楽しい。Macマニアなら見逃せないんじゃないかな。百聞は一見に如かず。ぜひ、ごらんになってください。

9月19日(火) 長*さんと一緒にあべメンタルクリニック。その後、秋葉原へ。
[日記]1ヵ月ぶりに浦安のあべメンタルクリニック(阿部輝夫先生)へ。単なる回数かせぎになってもつまらないんで(まあ、回数かせぎでもいいんだけどね)、今日は長*さんにも同行してもらう。といっても、阿部先生にはすでに、パートナーと安定した生活を営んでいる様子について十分にお話ししているので、近況を報告し(「順調です」と言っただけだ)、長*さんが自分の希望(「銀河にはガイドラインに沿った医療を全うしてほしい」とかいうこと)を熱弁(笑)した後は、阿部先生と長*さんで、お薬業界の内輪話を始める展開になった(他に待っている患者さんがいなかったので、いつも以上にのんびりとした雰囲気だった)。冒頭で長*さんを紹介したときには「名刺はいただかなくても結構ですよ」とおっしゃっていた阿部先生が、長*さんがお薬の会社の社長をしているということがわかると「やっぱり名刺をいただいておきますね」とおっしゃったのが、ちょっぴり可笑しかった。
終了後は、長*さんとふたりで秋葉原へ。イケショップ、ラオックスMAC館といったいつものコースを経て、ヤマギワLIVINA館に立ち寄ってみる。あまりにも高価すぎてとても手が出ない北欧の高級家具などを眺めながら、豊かな気分だけを味わう。

9月20日(水) G4 CubeのテレビCMのBGMは、ジミヘンだっ!
[日記]北米で放送が始まったG4 CubeのテレビCMのBGMは、なんとジミ・ヘンドリックスの"Purple Haze"だ(AppleのWebサイトのここで観ることができる)。Purple Haze(紫の煙)ってマリファナの煙のことなんだけど、「灰皿」とも揶揄されるCubeのCMのBGMが"Purple Haze"ってのは、ちょっとヤバくてステキかもしれない。日本では放送しないのかな。パーソナル・コンピューターはアメリカ西海岸のヒッピー文化から生まれた(もとヒッピーたちがコンピュータ業界に大量に流入した)って、よく言われるけど、MacのCMのBGMって、以前のストーンズの"She's a Rainbow"といい、現行Macのクリームの"White Room"といい、無茶苦茶わかりやすいセンスだ。


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If things are meant to work out, they will.