久木野に住みたいとの思いを更に深めたのが、小雪まじりの寒風にさらされた、
里山の自然の中にたたずむ廃屋を訪ねた時でした。

庭の雑草や木々にまつわりつくカズラを見渡しても、何となく安らぎを感じます。
それはかって私が幼い頃に、転げ回って遊んだ懐かしい土の臭い、草の臭いと、漂う凛とした冬の空気が
脳裏を刺激したのかもしれません。

水と排水

まずは水の確保です。久木野は各地区毎に地区の簡易水道がありますが、
この廃屋はすでに給水が止められていました。

地区の再給水の願いは、いろんな問題で当分は無理と判断、ボーリングをする事にしました。

「このあたりでは地下50m位で良質の水脈にあたるはずですよ」との説明。
20m程で上水(うわみず)が出ます。この水は飲料水には適しません。更にその下の岩盤をくり貫きます。
ドリルが堅い岩盤に当たると、機械が上下にガタガタ振動し始めます。
すかさずダイヤモンド付きのドリルに換えると、
振動はおさまり、徐々にパイプは沈んで行きます。単純な作業ですが、興味深く見学しました。

約10日位堀り続けて予想通り50mで水脈に到達しましたが、念の為更に20m掘り下げました。
良質の水脈に当たりました。パイプの中の水位は7mまで上がりました。もう少しで自噴するんですが、残念です。
水中ポンプを入れ、運転すると勢い良く粘土混じりの濁り水が吹き出しました。
大量の粘土を入れながら掘るので、まずこの粘土を吹き出します。しばらくすると水は澄んできました。

初めて口にする我が家の天然水は、柔らかく甘いようでとてもうまい!

南外輪山水系の天然水です。


10項目による 我が家の水質検査結果です。飲料水として合格しました。
項  目
試 験 結 果
単  位
基 準 値
 一般細菌
 0
/ml
 100/ml以下
 大腸菌群  不検出
---
 検出されないこと
 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素  0.2
mg/l
 10mg/l以下
 塩素イオン  2.2
mg/l
 200mg/l以下
 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)  1.0
mg/l
 10mg/l以下
 PH値(水温°C)  7.4(24.4)
---
 5.8以上,8.6以下
 味  異常なし
---
 異常でないこと
 臭気  異常なし
---
 異常でないこと
 色度  1未満
 5度以下
 濁度  0.1未満
 2度以下
(参考値  塩素残留)  0.05未満
mg/l
 遊離;0.1mg/l 以上  結合;0.4mg/l 以上
(熊本県薬剤師協会 医薬品検査センター)

同じ南阿蘇でも地域によっては地下水の水質は違います。
久木野村の水道は、各地区毎に湧水を利用した簡易水道ですが、特にこの辺の地下水は上質だそうです。
公共の水道(簡易)は必ず塩素消毒を施さねばなりません。
しかし我が家独自の飲料水は、水そのものが水質検査に合格していますので、消毒の必要はありません。

大切な排水

人が生活する為には水は欠かせないものですが、しかしそれによって生まれるのが汚水。
自然の中で一番気を付けなければならないのが、この汚水処理です。

一昔前の別荘分譲地では、規制がないのを幸いに、汚水の垂れ流しや地下浸透が普通でした。
つい最近、
隣接の村で、ボーリングした120mの地下水に大腸菌が検出されました。
何でこんな所でと、関係者はビックリ。

よくよく調べたところ、確定は出来ませんが、
原因は上部の山中に建つ数件の別荘地からの垂れ流し(地下浸透)では、との疑い。
阿蘇地方は火山で溶岩大地が多く、空洞ができています。
浸透した汚水が120mの地下水脈に入り込む可能性はありました。

久木野では、各家庭に合併浄化槽の設置を極力奨励し、設置工事には補助金も出ます。
このあたりの排水は、すぐ下を流れる農業用水の清流に入れまが、
それを利用する為には、久木野村土地改良区の許可がいります。

まだ住民ではありませんので補助金は受けられませんでしたが、
早速、我が家にも大型10人漕の合併処理浄化漕を設置し、排水許可を戴きました。


村内用排水路清掃美化作業4月7日)

年に2回水路の水を止めて、一斉に掃除をします。
受益世帯から必ず出なければならない区役ですが、
地域の方達と、ふれ合う事が出来る唯一の機会ですので、私はこの区役が楽しみです。
地区毎(私の地区は19世帯)に行う作業は一時間くらいで終わりますが、その後みんなで
出された弁当を囲み焼酎を飲みながらの懇談は、色んな話題や情報が飛び交い実に楽しいものです。

今日はあいにく朝から小雨。作業が終わった後は公民館での懇談。
我が家の「喫茶ルーム」開店間近の報告と、県道沿い数カ所の看板設置をお願いしましたところ、
快く承諾していただきました。次の日曜日、皆で我が家でのバーベキュー会が楽しみです。