ワジャリヤの御者のこと
アジャイアとアジャイルスはイムリエスの馬車ワジャリヤの御者である。
アジャイアとアジャイルスはかつてバレエスを暴虐のもとに支配していた八暴神の陪神であり、大いなる光放つ十二の神々がバレエスに光臨した際、イムリエスの手によりて捕縛され、ワジャリヤの御者となった。巨大な漆黒の鎖で縛された御者神どもは、つねに腰をおり、額からはどすぐろい汗を滝のように流しながら、血まみれの足で地を踏みしめて馬車をひく。
火急の際などイムリエスは、七つの宝輪をアジャイアとアジャイルスに与えるという。その宝輪に足のまわりを囲まれると、アジャイアとアジャイルスは風の神イア・イア・トゥオラと肩をならべて走ることができるほど速くなる。だが御者神の肩にのしかかる重荷の重さは千倍にもますのだという。
御者神どもはかつて、アリハク山より巨大なその七つの肢をもって地をはうひとびとを踏みつぶしながら、暴虐に、あらゆる世界をかけめぐっていたのだという。
光輝ある神をのせた、このバレエスでもっとも重い馬車をひくのは、かれらの受けた罰である。