「誘拐」11g3/横浜市内の百貨店

「どういうのがよいかしら…」
「これなんかどうかしら?」
「おお、それはよいのぉ」
「おばあちゃん、いつも洋子が着てくれないからって、こんな時に勇んで買うこともないんですよ」
「でも普通はやっぱりこういうのが好きなものじゃないかしら?」
「誘拐された時はTシャツにジーパンだったって話なんですよ。やっぱりそういうのが好きなんじゃないのかしら」
「公園で遊んだり塾に行ったりする時はそうかもしれませんけど、やっぱり女の子ですもの」
「とりあえず、先に下着を決めましょうよ」
「おやまあ、最近は下着もきれいな色がたくさんあるのねぇ。私が十歳の時は真っ白か汚れているかしか無かったものねぇ。」
「それは上と下が組になってるみたいですわね」
「それじゃあ赤いのと青いの、2組で良いわね」
「ブラジャーまでいるかしら。洋子もまだだし…」
「こういうのはこっそり入れておくものなのよ。靴下はこれがかわいいわね」
「うむうむ、それがよいのぉ」
「そうねぇ、もうすぐ秋だしねぇ。これなんかシックでいいんじゃない?」
「そうですねぇ、おとなしいチェック柄だし、派手なのが嫌いな子もこれなら…」
「あら、組のスカートとズボンがあるのね」
「それじゃあ上一組にスカートとスボン両方にしておきましょう。あと、もうちょっと普段着っぽいのもあった方が…」
「あら、このもこもこセーター、いいんじゃない?」
「じゃあ、それと普通のジーパンと。」
「そうね、そんなとこかしら」
「それじゃあ洋子とお父さんを呼び出して、あちらに行きますか?」


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