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対談


『天才たちのDNA』鈴木光司/監修・塩田久嗣(マガジンハウス)
笑い1.5点 涙0点 恐怖0点 総合4.0点
 「ダカーポ」で連載されていた対談をまとめた対談集。
 様々なジャンルで活躍する総勢26人の人々との対談する中で、鈴木光司氏は、「才能」の正体、「才能」の謎について 考えてみたかったという。そのために、この対談では、ブレインサイエンス・ラボラトリー所長の塩田氏監修のもと、 26人それぞれが、自分の得意とする分野・仕事としてやっている分野に取り組んでいるときの脳波を測り、一般の人の場合 と比較し、才能についての客観的な分析を試みている。
 鈴木氏のが対談しているのは、糸井重里・いっこく堂・秋本康・俵万智・柳美里・立川志らく・326・土屋敏夫・桜庭和志・ 横尾忠則などのほか計26人で、そうそうたる顔ぶれである。

 26人それぞれ印象的だったが、やはりホスト役の鈴木光司という作家が一番印象に残った。『リング』『らせん』『ループ』と ホラー小説のベストセラーを連発しているが、実はホラー小説を書いていこうという気はないのだという。どちらかといえば『楽園』とか 『光射す海』とかを読んでほしく、自身も海洋文学を書いていきたいと言っている。船で太平洋横断を計画中とかいう無類の海好き のようだから、これから面白い海洋小説をたくさん書いてくれるはずだ。これを読んだ後、『シーズ・ザ・デイ』を読んでみたいと思った。


『私の「戦争論」』吉本隆明<聞き手・田近伸和>(ちくま文庫)
笑い―点 涙―点 恐怖―点 総合4.0点
 「小林よしのり『戦争論』を批判する」「「新しい歴史教科書をつくる会」を批判する」「保守派の「思想」を批判する」 「私は「戦争」をこう体験した」「人類は「戦争」を克服できるか」と題して、それぞれ田近氏が”思想界の巨人”吉本隆明氏に インタビューするという形式。

 『なぜ人を殺してはいけないのか』という本に、戦後世代の日本人で、国政に直接かかわりのない国民一般の戦争責任について の記述がある。それは、「より正確な歴史認識を持とうとする努力を怠らず、政治参加の際にそれをなるべく生かす」という ものだった。歴史小説は好きだけど、戦争についてはほとんど知らない僕は、それを読んでから、もっと戦争についての 本を読もう、読まなくては、とひそかに思っていた。
 しかし、「正確な歴史認識」のためには、保守派や進歩派などどれかの思想に偏って読むのではなく、左右限らずいろいろな 思想の人の本を読んだほうがいいのかなと思う。
 過激で印象的な言葉が多かった本書だが、終戦の日の様子など、吉本氏の戦争体験の話がやはりもっとも僕は印象的だった。


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