−First Impression−
初めてEnyaの音楽を耳にしたのは、10年ほど前にオンエアされていたCMの中でした。
何の気なしに付けっぱなしにしていたテレビからふと流れ出した音楽に思わず目を上げると、目に飛び込んできたのは青い海と白い砂浜、そして青い空でした。
その楽園を思わせる海辺で、一人の女性が美味しそうにCMの商品であるお茶を飲み干すという内容でした。
CMとしてはよくある内容だったのかもしれませんが、その風景と音楽は実によく合っていて、私には強い印象を残しました。
何よりもそのとき耳にした、クラシカルで優雅さすら感じさせる音楽が耳から離れなかったのです。
悪いことに、今ならどのCMにでも表示されているようなアーティスト名の表示が、そのCMにはありませんでした。
おかげで、しばらくの間その謎の音楽についての情報を探し求める羽目になったのです。
そして2ヶ月もしたでしょうか、ふと本屋で立ち読みしたCM専門雑誌に、その答えが書かれていました。
そのアーティスト名はEnya、使われていた曲は「Caribbean Blue」でした。
早速CDショップへと走ってその曲が収録されている「Shepherd Moons」を購入し、残りの曲にも完全に魅了されてしまいました。
そしてまたたく間に、ファーストアルバム「Watermark」、そして当時発売されていたマキシシングルを買えるだけ買い揃えてしまいました(当時中学生だったので、結構な出費だったと思います)。
その後も作品が発表される度に、彼女の創り出す音の世界に感動させられています。
もちろんその音楽も、年数を重ねるごとに少しずつ変化している部分もあります。
ですが、私が「Enyaの音楽」と聞いてまず最初に思い出すのは、やはり10年前に聴いた「Caribbean Blue」なのです。
これからも彼女は私達を驚かすような音楽を創り出してくれるでしょうし、私もそれについていくことでしょう。
それでも、あの夏に聴いた「Caribbean Blue」は特別な場所に留まり続けるのだと思います。
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