福田昌範の吹奏楽講座

第5章 ピッチについて考える

(ピッチあわせの合理的な方法)

 ピッチを合わせるのは、管楽器奏者にとって必要不可欠。

しかし、実際にやってみるとあわせることはたいへん困難!な実情があります。

 そこで、このコーナーでは、「ピッチあわせの合理的な方法」についてお話します。

 


 その1

自分の楽器の癖を知ろう!

 

 楽器は、メーカによっていろいろなくせ(ピッチの個性)があります。

まず、自分の使用している楽器の「ピッチの癖」を覚えておく必要があります。

(たとえば、私などは使用している楽器(Euph)は、チューニングのBを0centでチューニングした場合、
 LowBは高く、Hも高く、Cも高く、Dはやや高く、Eは合い、Fは高く、Gもやや高く、Aは低い。といった
 具合です。)

♪ワンポイントアドヴァイス

ピッチは、気温や使用するマウスピースやリードでも変わってきます。また、
楽器メーカーや種類によっても、基本的なピッチの高低が変わってきます。

気温では、約24度〜26度で442HZぐらいに設定しておくとよいでしょう。
(ピッチは夏場は高くなり、冬場は低くなります。)

 

その2

チューニングメーターを使おう!

 

 チューニングメーターを使用して、正しいピッチを確かめましょう。

よく、「耳でよく聞いてピッチをあわせなさい。」という言葉を聞きますが、それは、上級者!に当てはまる言葉!

まず、文明の利器?チューニングメーターを使って、自分の音を合わせてみましょう。(正しいピッチを確かめてもましょう。)

    (最近では、Y社のキーボードなど、細かいピッチを表示してくれる機械もあります。長三和音の第3音は
     やや低め(約-14cent)、短三和音の第3音はやや高め(約+16cent)にあわせるとよりよい、
     協和した響きを作ることができます。)

 

         ♪ワンポイントアドヴァイス

               メータは、他人に見てもらおう。
         (チューニングメーターは針式のものをお薦めします。)

最初のうちは、チューニングメーターは自分で見ないで、他人に見てもらいましょう。

(自分でメーターを見てあわせると、あわせる感覚がなかなか育ちにくくなります。
 他人にメータを見てもらい、「マイナス○○cent」「プラス○○cent」という風に
 より具体的に、声を出して言ってもらいましょう。そのときに「もっと大きな音で。」
 とか、「姿勢を良くして。」「もっと息を吸って。」「まっすぐ吹いて」などのアドヴァ
 イスが相手からあると、さらに正しいピッチを身に付ける有効な手段になります。)

 

その3

いつも、チューニングの音を確かめよう!

 

 チューニングをして合奏に望んでも、いつかはピッチが狂ってきます。
そうすると、次第に周りと音が合わなくなり、合奏和音も崩壊してしまいます。

 そのときには、あわない特定の音を合わせる前に、

「まず、チューニングの音が合っているかどうか確かめましょう。」

その後、あわない音を重点的に合わせてみましょう。

(当たり前の話ですが、チューニングの音を合わせないで、特定の音を合わせても
 結局は、狂った状態のままになってしまいます。)

 

 

         ♪ワンポイントアドヴァイス

 合わない音は、「変え指」「抜差し管の調整」「アンブシュアで調整」を使おう。

音合わせは演奏者にとって永遠の課題です。上記の3つの方法を中心に音をあわせましょう。

★それぞれのリスク
○アンブシュアを変えて音を合わせると、タンギングがしずらくなり、音質を損ないかねません。
○変え指は音質を損なう可能性がある。
○抜差し管の調整は、特定の音は合うが、同じ指使いの他が合わなくなる可能性があります。

        

(C)2017 Masanori Fukuda

 このページをダウンロードする際には、必ずメールでご連絡ください。 (無断転用禁止)