福田昌範の吹奏楽講座

第3章 フレーズの歌い方について考える

この第2章では、第1章で述べた、「フレーズ」について

より深い、歌い方を考えてみます。


A フレーズの句読点について考える。
 

あなたは、下記の文章をどのように感じますか?

<わたしはいしゃにいきました。>

<わたしは、いしゃに、いきました。> ←こうですか?
<わたし、はいしゃに、いきました。> ←それとも、こうですか?
<わた、しはい、しゃにいき、ました。> ←これはないでしょう!(爆)
   
つまり、文章は句読点によって、いろいろな意味に理解されます。

上記の例でしたら、同じ「医者」に行ったいったということであっても、
微妙にニュアンスが変わってきます。

音楽(フレーズ)におきなおして解釈すれば、それは主に「スラー」によって
分けられていることを、多く見つけることが出来るでしょう。

演奏者は、どこからそのフレーズが始まっていて、どこで終わっているのか?
を絶えず明確にしておく必要があります。

 

B.フレーズの中心を考える。
 
   それでは、次に皆さんよく知っている、
  「赤とんぼ」のメロディを元に考えてみましょう。
あなたは、このフレーズの中で、どこを最も強調しますか?
<♪ゆうや〜け こやけ〜の あかとんぼ〜>
 

ここですか?
 ↓ 
うや〜け こやけ〜の あかとんぼ〜

 
 

         それともここですか?
         ↓ 
♪ゆうや〜け やけ〜の あかとんぼ〜

 
 

                 きっとここでしょう?
                 ↓ 
♪ゆうや〜け こやけ〜の かとんぼ〜

 
 (この、曲の場合は歌詞が書いてあるのでわかりやすいかもしれませんが、)
多くのフレーズには、頂点となるべき部分が必ず存在します。
しかも、その頂点は必ずしも多くないのです。

 作曲家は、その頂点をわかりやすくすべく、いろいろな音楽記号を使って、
それを表示します。しかし、中には演奏者の自由にしてもらうために、あえて
記号を多く記入しない作曲家も多く見受けられます。

楽曲(楽譜)に、音楽記号が何も記されていないのは、「何もしてはいけない。」と、

言う意味ではなく、「自由に音楽表現をしても良い。」という意味

にとらえたほうが、より豊かな音楽表現につながる場合が多々あります。

(もちろん、作曲者が作品の性質を踏まえて、音楽記号を意図的に書き入れていない場合もあります。)

 

C.フレーズの性質を考える

 

第1章でも述べましたが、フレーズはいろいろな性格を持っています。
それは大きく分けて、
         ・明るい(とても明るい、少し明るい、など)

         ・暗い(とても暗い、薄暗い、など)

         ・はっきりしている(固い、など)

         ・やわらかい(かすんでいるような、など)

 の、4種類に分類されます。これらの性格(音色)を使い分け。演奏することが
演奏者には望まれます。

これらのフレーズは、実際にイメージ色で判別することもできます。

 アンサンブルなどでは「このフレーズ何色?」と、フレーズに関する
イメージの統一をしてみるのも、アンサンブル上達のための重要な手がかりとなります。
是非、試してみてください。

 

  (C)2017 Masanori Fukuda

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