福田昌範の吹奏楽講座

第16章 アンサンブルの向上について考える(その1)

 

 ピッチあわせについては第5章で、お話した通りなのですが、ピッチは合っいても
良いサウンドがするとは限りません。
 ここでは、日ごろか私が考えている考え方を皆さんに紹介します。

良い音で、音質を揃えよう!

 

良い音の定義

豊かな音良い音

良い音とは、「太くて、丸くて、響きのある音。」の事です。
その逆に、悪い音とは、「細くて、ギザギザして、響きのない音」の事です。

 

 

例えば、こんな感じの「細い音」(悪い音)が2つあったとします。

 →    ← 
 (A)            (B)

                            

                       この2つの音を合わせようとすると、

 →← 
     ↑ この接点はつまようじの先と先をあわせるが如く非常に
      大変な作業になります。

                       

                       しかし、こんなかんじの「太い音」(良い音)が二つあれば、

□     □
 (A)             (B)

 

 □□
     ↑ この接点をあわせるのはそんなに大変な作業とはなりませんね。

 


                      では、3重奏ではどうでしょう?

                      こんな感じの「違った音質の音」が3つあったとします。

 □  ⇔  ☆ 
 (A)       (B)       (C)

                      

                      この3つの音を合わせようとすると、

 □⇔☆ 
    ↑   ↑ やはり、この接点を合わせることは大変困難になります。

 

                     しかし、こんなかんじの、「太く同じ音質の音」が三つあれば、

 

□  □  □
 (A)    (B)     (C)

 

 □□□
     ↑  この接点を合わせるのはそんなに大変な作業とはなりませんね。
          よしんば、多少ずれたとしても、融合(ハーモニー)する事は容易ですね。

 


                      大人数(合奏、アンサンブル)になるとなおさら、

 

全員の音質が違う例:

○★□⇔▲☆■
   ↑   ↑  ↑  ↑   ↑  ↑  これでは、融合(ハーモニー)の仕様がありませんね。

   

メンバーの中の数人の音質が違う例:

□★□□▲□□ ←これでもやはり困ってしまいますね。


 つまり、いくらピッチをあわせても、良い音(太くて、丸くて、響きのある音)で演奏しなければ、
決して良いハーモニー(サウンド)は生まれてこないのです。

 また、よしんば細い音(悪い音)でハーモニーをあわせても、
結局は「つまようじの先と先を合わせるが如く」、そのあわせる作業は難航するばかりか、
すぐにピッチやハーモニーは崩れてしまいます。

*例えば、3人でハーモニーを組む時に2人が良い音、1人が悪い音でハーモニーを作っても
 決して良い響きは得られないのです。これは大人数(合奏)になればなるほど、一人一人の
 響きのある音質(良い音)が求められてきます。
 (大人数だから、一人ぐらい悪い音の奏者がいても「ごまかせる」ということは決してありませんね。)

 逆に、良い音質で演奏していれば、ピッチは少々合わなくても、響きで合っているように聞こえます。
これは、プロのオーケストラや吹奏楽団の演奏を聞く時に、実感できると思います。

(ただし、ピッチをあわせなくて良いと言うことにはつながらないので、ご注意を!)

*この章で勘違いしてはいけないことは、プロに奏者であれ、アマチュアであれ、「誰にも音質の個性はある。」
  と言うことです。しかし、プロの奏者は「高いレヴェル」で音質に個性を持っているため、アンサンブルなどで
  容易に音や響きを合わせることが出来るのです。

 

(C)2017 Masanori Fukuda

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